J:COMで放映された映画をベースに、今まで観た映画、これから観たい映画を順次、整理し、並べてみます。ご活用下さい。
日本の映画音楽を代表する一人である久石譲が初めて監督に挑んだ青春ドラマ。音大を卒業しながら、プロとして活躍できない4人の若者たち。彼らはカルテット(弦楽四重奏団)を結成し、コンクール優勝と音楽家としての道を新たに志す。地方を回り演奏会を開いてもお互いの気持ちを一つにできず、ぶつかり合う毎日。しかし、演奏を重ねるうち4人の間にきずなが芽生えていく。
70年代初頭の全寮制中学で、合唱に情熱を燃やす2人少年の姿を描く青春映画。主演は伊藤淳史と藤間宇宙。共演は香川照之ら。緒方明の初監督作でベルリン国際映画祭新人監督賞を受賞した。
没落貴族の終焉を描いた太宰治の人気作『斜陽』がNHKの朗読番組。「千年の恋ひかる源氏物語」の堀川とんこう監督が演出し、女優の田中裕子が朗読する。戦争の終わった昭和20年冬、没落貴族のかず子と母は東京の邸宅を売り払い、伊豆の山荘で暮らし始める。召集された弟・直治が帰ってくるが、家の金を持ち出しては放蕩にふけり、かず子を困惑させる。直治は作家の上原を慕うが、実はかず子と上原は以前に関係があった。
西條八十の絶賛を受けながらも26歳で夭折した童謡詩人・金子みすゞの半生を描く伝記映画。『地雷を踏んだらサヨウナラ』の五十嵐匠監督が、優れた作品を残しながらも若くして自ら死を選んだ理由、あまりにも美しく優しい詩作の裏に秘められた真実に迫る。1923年。みすゞというペンネームで詩作を始めた20歳のテルは、従兄弟の正祐と心密かに慕いあっていた。だが正祐が実は彼女の実弟であったことから、テルは意にそまぬ相手と政略結婚させられてしまう。[amazon.co.jp 金子みすゞ 検索]
人に自分の考えを読まれてしまう能力を持った青年と、彼を取り巻く人々の葛藤を描いた群像ドラマ。『踊る大捜査線THE MOVIE』の本広克行監督が佐藤マコトの同名マンガを映画化。天才的頭脳を持ち、自分の思考を周囲の人々に伝えてしまう“サトラレ”。政府による保全委員会は、サトラレたちを本人に悟られないよう保護していた。自衛官・洋子(鈴木)は外科医・健一(安藤)の元に派遣され、彼の能力を目の当たりにする。
1985年の北海道。レコード店の店頭に飾られていた尾崎豊のアルバム『17歳の地図』が、松岡と彰子の二人を引き合わせた。店員の松岡はいずれは自分のレコード店を持ちたいと熱く語り、彰子はそんな彼に惹かれていく。だがある日突然、松岡は店を辞め、上京してしまう。彰子は松岡を捜すために東京へと旅立つのだが。伝説のシンガー・尾崎豊の名曲にのせて、青春の挫折と再生が綴られる。
『アイ・ラヴ・ユー』の主演俳優、忍足亜希子とメイン・スタッフが再結成した「アイ・ラヴ」シリーズ第2作。京都を撮り続けているカメラマン美樹は聴覚障害者。亡き夫が残した写真館を義妹の遥と守りながら一人息子の優太を育てている。ある日彼女は、美しい桜草の咲く広場で造園技師の青年、柴田と出会う。交通事故で子供の命を奪ってしまった過去に苦しみ、人と交わろうとしない彼を励ましたいと思う美樹は・・・。
九州の地方都市でバスジャック事件が発生し、運転手の沢井(役所)、中学生の兄・直樹(宮崎将)、小学生の妹・梢(宮崎あおい)だけが生き残る。その2年後、町に戻ってきた沢井は、兄妹と彼らの従兄である秋彦(斉藤)とともに共同生活を始める。しかし、地元を騒がせる連続殺人事件の容疑が沢井に向けられ、彼ら4人はバスに乗って町を旅立つのだった。「ユリイカ」とはギリシャ語で"発見する"という意。第53回カンヌ映画祭コンペティション部門に正式招待され、たった一度きりの上映にもかかわらず批評家連盟賞とエキュメニック賞(全キリスト教会賞)をダブル受賞。青山真治監督35歳での受賞は、同賞を受賞した日本人の最年少である。バスジャック事件の悪夢から逃れられない人々の旅を通して、彼らの心の再生を描くと同時に、生きることの意味を「モノクロ・シネマスコープ・3時間37分」の映像で探求する。映画完成後に現実のバスジャック事件が発生し本作に注目が集まったことも記憶に新しい。
石川淳、晩年の最高傑作と呼ばれる「焼跡のイエス」を西島秀俊が朗読する。監督は文学への造詣が深く、自身もまた小説家である『EUREKA ユリイカ』の青山真治。終戦後の上野のやみ市を舞台に、人間の魂の原型を無頼的に描いた石川淳の短編小説「焼跡のイエス」。私小説と異質の世界を創造したこの傑作を朗読するのは俳優の西島秀俊。作品世界の光景が次第に浮かび上がり、いくつもの出来事が交錯して奇妙な空間が生まれる。
若く逞しい漁師と美しい少女の初恋を描いた三島由紀夫の代表作を朗読化。『ビートたけし×松本清張 点と線』を手がけた演出家・石橋冠が演出を手がけ、中井貴一が朗読する。伊勢湾口にぽつんと浮かぶ大自然に囲まれた歌島。若い漁師の新治は、養子先から戻された網元の娘・初江と運命的に出会い、恋に落ちる。しかし島の有力者の息子・安夫が権力を使って横やりをいれ、初江の父の照吉も2人の仲を裂こうとする。恋人たちは結ばれるか?
“9.11同時多発テロ”に対するアメリカの強権的な政策を批判しつづける言語学者で、『9・11―アメリカに報復する資格はない! 』の著者ノーム・チョムスキーのインタビューや講演を収録したドキュメント。アメリカを“世界最悪のテロ国家”と訴える。監督は画家の丸木位里・丸木俊夫妻を描いた『却下ーヒロシマからの旅』『老人と海』『映画 日本国憲法』など、日本を題材にしたドキュメンタリーで知られるジャン・ユンカーマン。撮影は小川紳介作品や土本典昭作品を支えた大津幸四郎。忌野清志郎の挿入歌 「ギビツミ」「クラス」「あふれる熱い涙」がメッセージ性を高めている。
ボクサーとして未来を嘱望されていた太一は、突然の事故で下半身不随となってしまう。車いす生活を余儀なくされ、自暴自棄になった彼だったが、ひょんなことから車いすでもできる合気柔術(AIKI)の存在を知り衝撃を受ける。太一は、AIKIを学んで行くうちに、かつてボクシングで感じた手ごたえと、生きる希望を見出して行く。加藤晴彦の熱演とともに、柔術の先生を演じた石橋凌の存在感が光る。
『天使の卵』の冨樫森監督作。性に目覚めた思春期の少年の恋と成長をコミカルに、温かな眼差しで描いた青春コメディ。原作は『お引越し』の、ひこ・田中の同名小説。大阪に住む小学6年生のセイ(久野)は、京都に住む中学2年生の少女ナオコ(櫻谷)に一目惚れ。歳の差も、住んでいる距離も何のその、ようやく初デートにまでこぎつけ、不思議な関係を築きあげていくが。主演二人の初々しくも元気ある存在感が好もしいキッズ・ラブ・ストーリー。
70年代を背景に家庭用ビデオ開発競争に関わった企業戦士たちの感動秘話。TV番組『プロジェクトX』で好評を呼んだ日本ビクタービデオの回に基づいた佐藤正明のノンフィクションを映画化した。「半落ち」「夕凪の街 桜の国」の佐々部清の監督デビュー作。日本ビクター開発部に勤める技師・加賀谷(西田)は、突然、横浜工場への異動を受ける。そこでの新たな仕事は大規模なリストラ敢行だった。しかし加賀谷は従業員たちに家庭用VTR開発を提案し、ライバル社ソニーと闘おうと呼びかける。
林芙美子の傑作「浮雲」を名取裕子が朗読する朗読紀行シリーズの一編。成瀬巳喜男監督で映画化もされたこの作品を、『千年の恋・ひかる源氏物語』の堀川とんこうが手がける。戦争中、赴任先のインドシナで愛し合った富岡とゆき子。しかし終戦後、帰国した彼らは日本の現実に打ちのめされる。妻と別れるとゆき子に約束した富岡だが、いつまでたっても態度は煮え切らない。そんな富岡に幻滅しながらもゆき子は彼と離れられない。
作家・車谷長吉の同名小説を『どついたるねん』など数々の映画をプロデュースした荒戸源次郎が完全映画化。人生に絶望した男が運命の女と出逢い、心中の旅に出る。本作で寺島しのぶが主演女優賞を独占した。この世に居場所を失くした青年・与一(大西)は尼崎に流れ着き、アパートの一室で臓物をさばく仕事を得る。同じアパートに住む美女・綾(寺島)と互いに惹かれ合い、やがて二人はこの世の外へ向かう旅に出る。
アメリカ人少女と日本人少年の淡い恋が美しい自然を背景に描写された、切ないラブストーリー。長野県の由緒正しい古寺・善福寺に、交換留学生ジェニファ(ホームズ)がやって来る。すぐに寺の一人娘・郁代(浅見)や修行僧たちと親しくなるが、寄宿する少年・隆志(山田)だけはジェニファを寄せ付けない。しかし天真爛漫な彼女に自分と似た哀しみがあると気づいた隆志は、少しずつ心を開いてゆく。隆志役を当時20歳の山田孝之が好演。
表向きはピザ屋、裏家業は“逃がし屋”の一家がひょんなことから警察と闘う異色のホームドラマ。PFF出身の新鋭・川合晃監督が関西出身の俳優を迎え軽妙なテンポで描く。祝い事がある日はファミレスに集合する太田家。その日、次男(西興)の誕生日を祝うため一家はファミレスに集まったが、父・慎一郎(國村)のジャケットから銃やナイフなど多数の武器がこぼれ出す。そして店内の人々を人質に、彼らはそこに篭城するハメに。
『半落ち』の佐々部清監督が、1977年の下関を舞台に日本の女子高生と韓国の少年との純粋な初恋を描いたラブ・ストーリー。高校生・郁子は、親善陸上競技会のために韓国からやってきた少年と出会う。同じ出場競技だったこともあり、互いにひかれ合った2人は、七夕の日に翌年の夏の再会を約束する。そして1978年の夏、再び下関の港に釜山の高校生を乗せた船が到着する。
「GO」の原作者・金城一紀の短編を大沢たかお、柄本明共演で映画化。病に冒された青年と、愛する妻の記憶を取り戻そうとする初老の男が、旅を通して人生の意味を探ってゆく。動脈瘤で倒れたサラリーマンの野崎(大沢)は緊急手術を勧められるが、成功しても記憶障害が残る危険があった。以来、無気力になって日々を送る野崎に、東京から鹿児島まで車を運転するバイトの話が。依頼主・鳥越(柄本)を助手席に乗せて旅が始まった。
1998年5月3日、レース中の大事故により意識不明の重体に陥ったレーシング・ドライバー・太田哲也は、そこから奇跡の生還を果たすも、重度の火傷により変わり果てた自分の姿に生きる意味を失う。5年にわたる過酷なリハビリと、それを支えた妻子の愛情を記録した感動のドキュメンタリー。「日本一のフェラーリ遣い」と呼ばれた太田は、豪雨の中で行われたレースに出場。 スタート直後に起きたクラッシュ事故に巻き込まれ、意識不明の重体で死の淵をさまよった。10日後、奇跡的に意識を取り戻すが。 監督は数々の話題作を手がけてきたプロデューサーとして名高い奥山和由。
沖縄ポップ・ミュージックを代表する“りんけんバンド”の稀代の歌姫、上原知子を追う音楽ドキュメンタリー。監督は、彼女の歌声に惚れこんだ「EUREKA」の青山真治。沖縄の伝統音楽をベースに新たな音楽の創造を目指し、照屋林賢が結成した“りんけんバンド”。幼い頃から沖縄民謡を歌ってきた上原知子の加入で、バンドは大人気を博す。映画はインタビューやレコーディング風景を通して、彼らの唯一無比な魅力に迫る。CDアルバムも出ている。
600 年以上の伝統を誇る、日本の古典芸能「能」の世界を追ったドキュメンタリー。伝統芸能でありながらも、現代にも通じるエンタテインメント性をも兼ね備える「能」。能楽界の重鎮、観世流シテ方の関根祥六と、彼の息子で、98年に芸術祭新人賞を受賞した関根祥人の二人にスポットをあて、「能」の美しさ、魅力を映し出していく。
人気ロックバンド、SPEED WAYのギタリスト・中島は、現実と理想の狭間で揺れ動いていた。そんな悩める彼の前にロックの神様が現れ、啓示を与える。みうらじゅん原作×田口トモロヲ監督×宮藤官九郎脚本でおくる青春バンド・ムービー。
売れっ子脚本家"クドカン"こと宮藤官九郎が映画初主演したファンタジック・コメディ。高齢者の豊かな人生をテーマに、ひとりの青年がある老人との交流を通して成長していく姿を描く。一目惚れした元看護師(司)を追いかけ、シニア向けマンションのレストランで働くことになった高志(宮藤)。しかし、バイト初日に彼は、すでに亡くなっている老人、富士郎(田中)に声をかけられ。宮藤官九郎と田中邦衛のユーモラスな掛け合いに注目。
無頼派作家・檀一雄の代表作を、河瀬直美とうじきつよしが映像化する。日本近代文学の有名作品を俳優が日本各地で朗読し、気鋭の映画監督が映像化する企画「朗読紀行」の一作。最後の無頼派と呼ばれた檀一雄が、妻子を残し愛人と暮らした日々を赤裸々に描いて文壇を超えてセンセーションを巻き起こした作品を、『殯の森』の河瀬直美が演出。梅林茂の手がける音楽を背景に『かあちゃん』のうじきつよしが朗読する。
ある男の不倫の恋を通して人間の業をあぶり出す井上靖の初期作品を朗読化。「クローズド・ノート」の行定勲監督が同作の大竹しのぶ、さらに松重豊を出演者に配し、ドラマ仕立ての映像世界を構築する。詩人の元に、偶然の思いちがいから3通の手紙が届く。そこに綴られていたのは、13年間も不倫の恋を続けるひとりの男を中心に、妻・愛人・愛人の娘の3人の女が繰り広げる醜悪な人間関係だった。果たして男が本当に愛していたのは誰だったのか?
新撰組小説の中でも人気の高い司馬遼太郎の『燃えよ剣』を、堤真一が朗読。大部屋俳優に扮した堤が、京都の東映太秦映画村を舞台に、原作の名場面をテンポよく読み上げる。演出は「大停電の夜に」の源孝志。幕末の多摩。女好きの百姓の倅、“バラガキのトシ”は女絡みのトラブルから人を斬ってしまい、故郷を出奔。生来の喧嘩好きと組織作りの才能によって、トシは幕末最強の人斬り集団・新撰組を結成し、剣に生き剣に死ぬ。
田口ランディのベストセラー小説を、『フリージア』『鬼畜大宴会』の熊切和嘉が映像化した問題作。大学生・祐一郎(加瀬)は、15年前に発生した妹の失踪事件以来、自身の心を閉ざし、自己を守ってきた。しかし、そんなある日、大学の研究テーマの取材で出会ったSM女王・ナオミ(小林)から立ち直るキッカケを与えられ、これまで目を背けてきた妹の失踪という現実に立ち向かう決意をする。繊細な心情の祐一郎に扮した加瀬亮が心の琴線に触れる演技を見せる。
沖縄の離島でさとうきびを刈り取るアルバイトに応募した5人の若者たち。それぞれに問題を抱え、東京から逃げるように島にやってきた彼らは、広大な畑の約7万本のさとうきびに圧倒される。強い日差しの中慣れない仕事は辛く、いやみを言うバイトの常連の田所にも反発を覚えるのだが。大自然と向き合い、島の人々の温かさに触れていくことでたくましく成長していく男女の姿を、若手スター競演で描いた青春ドラマ。
夏休み。全国から集まった7組の親子が川原でキャンプをしていた。だけど子供たちは浮かない顔。何故なら親たちがいつもと違って妙に優しくてヘンなのだ。すると指導員風の男が、このキャンプが秘めるとんでもない理由を説明し始めて。ダンカンが監督に初挑戦したサスペンス・コメディ。
人並み外れたお人好しの女の子が、様々な人々と出会い幸せをつかんでゆくまでを寓話的に描いたファンタジック・コメディ。麻生久美子が“日本版アメリ”のような主人公を飄々と演じる。23歳のエイコ(麻生)は、訪問販売やキャッチセールスを断りきれずに借金が膨らむ一方だった。ある日勤務先の社長が夜逃げしてしまい、エイコは社長のマンションにいた奇妙な老人(沢田)と知り合う。
人気絶頂のユニット、ゼロデシベルでギターを弾いている弦は、突然クビを言い渡されてしまう。その上、下北に行くつもりで乗ったタクシーはなぜか青森の下北半島に到着。実はタクシーを運転していたのは伝説の三味線弾きで、弦を弟子にしようと拉致してきたのだった。ひょんなことから津軽三味線の世界へ迷い込んでしまった(自称)天才ギタリストの奮闘を、柏原収史主演で描いた三味線バトル・ムービー。
1966年に横浜で結成された日本最初のR&Bバンド、“ザ・ゴールデン・カップス”の誕生から解散までを追った音楽ドキュメンタリー。「フェンス越しのアメリカ」と呼ばれた街、横浜・本牧。ヴォーカリストのデイヴ平尾とギタリストのエディ藩が結成した“ザ・ゴールデン・カップス”は「長い髪の少女」などヒット曲を飛ばし、他のGSバンドとは一線を画する存在だった。北野武や忌野清志郎、矢野顕子や横山剣など、彼らをリスペクトする総勢44名が語るインタビューと、解散から31年ぶりに行われた奇跡の復活ライブの模様を収めている。
2001年のPFFで企画賞を受賞し、異例の劇場公開で注目された同名作を監督自らがリメイク。一軒家で同居する女の子同士の日常を細やかに見つめるガールズ・ムービー。東京近郊のとある家。住人のアベチャン(小池栄子)が留学するので、ヨーコ(榎本)が留守を預かることに。そこへ家出したスズ(藤田)が転がり込み、居ついてしまう。波乱含みの同居生活が落ち着いてきたある日、ヨーコが密かに想いを寄せる青年(忍成)とスズが急接近する。
弱小女子プロレス団体・ガリンペイロの社長が病死。その息子は幼い頃に母と別れ、研修医として平和に暮らしていたが、遺言によりむりやり社長の座につかされるはめに。岡田義徳主演の青春プロレス・ムービー。キューティー鈴木、ジャガー横田といった女子レスラーたちも出演!
頼まれ事は断れず、他人を疑うことを知らない”日本一のいい人”・宮田武は、ある日、婚約を破棄され帰る家もない真紀と知り合い、仕方なく自分の家に泊めることに。そこへ宮田の元彼女が荷物を取りに帰ってきて。やがて物語は予想を裏切る展開へ! 内田けんじ監督の劇場映画デビュー作にして、カンヌ映画祭でフランス作家協会賞など4冠を獲得した話題作。
伊集院静の同名小説を映画化。瀬戸内海に浮かぶ架空の離島を舞台に、障害のある臨時教員と生徒たちとの交流を描いた人間ドラマ。葉名(はな)島の小さな学校に、新しく赴任したのは口のきけない青年教師。わずか七人の無邪気な生徒たちは、「口をきかん先生だから”機関車先生”だ」とあだ名を付けて大はしゃぎするが・・・。これが映画初主演となる坂口憲二が、青年教師をさわやかに演じて話題となった。
日本をはじめ、イラクやアメリカなど放射能被害に苦しむ世界中の被爆者の日常を映し出す。監督は後に『六ヶ所村ラプソディー』などを発表するドキュメンタリー作家・鎌仲ひとみ。湾岸戦争で使用された劣化ウラン弾の被害に遭い、14歳で亡くなったイラク人少女ラシャ。広島で軍医として働いていた時に原爆に遭遇した肥田舜太郎医師。プルトニウム製造工場の風下で農業を営むトム・ベイリー。世界中の被爆者に監督は取材し、彼らの生の声を聞く。
東京で暮らす母からの手紙を支えに生きる少女の成長を、沖縄の自然を背景に綴る感動のドラマ。蒼井優がヒロインに扮し、舞台となる竹富島の美しさがさわやかな余韻を残す。沖縄の竹富島。父を幼い頃に亡くし、祖父(平良)と二人で暮らす少女・風希(蒼井)。東京に行った母(南)とは、風希が6歳の時に別れて以来、一度も会っていないが、毎年誕生日には必ず手紙が届く。風希の14歳の誕生日に「二十歳になったら全部説明する」という手紙が届くが。
長年にわたってお互い恋心を胸に秘めてきた男女が密かに愛し合う情感豊かなメロドラマ。主演は実力俳優の田中裕子と岸部一徳。『独立少年合唱団』でベルリン国際映画祭・新人監督賞を受賞した緒方明がメガホンをとる。牛乳配達とスーパーのレジで働き、読書を唯一の楽しみに日々を過ごす美奈子(田中)。市役所に勤めながら末期がんの妻を看病する高梨(岸部)。二人は高校時代に恋人同士だったが、あることが原因で引き離された。高梨の妻は二人の過去を知ってしまうが。
高度経済成長に沸く昭和30年代の東京を舞台に、市井の人々が悲喜こもごものドラマを繰り広げる西岸良平原作のコミックの映画化。VFX技術を駆使して当時の東京の街並みを再現。中高年層を中心に大ヒットとなった。昭和33年、建設中の東京タワーを仰ぐ夕日町三丁目。売れない作家・茶川(吉岡)は、飲み屋の女将・ヒロミ(小雪)から身寄りのない少年を預かる。一方、向かいの自動車修理工場・鈴木オートには集団就職で上京した六子(堀北)がやって来る。
『UDON』、『踊る大捜査線』シリーズの本広克行監督が、人気劇団「ヨーロッパ企画」の同名舞台に惚れこんで映画化。突然登場したタイムマシンを巡って学生たちが繰り広げるSFコメディ。ある大学の夏休み、5人の男子学生と2人の女子写真部員が入り浸るSF研究会の部室で、クーラーのリモコンが壊れてしまう。部屋に戻ると、そこには見知らぬ金属製の物体が。もしやタイムマシン? 試しに昨日に戻ってリモコンを取ってこようとするが。
高校を中退したヤンキー少年・弘介は、行き場を失った生徒を受け入れる学校があると聞き、北星学園に編入する。そこで彼は真正面から本気で向き合ってくれる大人たちや、同じ境遇の仲間たちと出会い、やがて自らも教師の道を歩むことを決意する。『ヤンキー母校へ帰る』の義家弘介の原作を、『DEATH NOTE デスノート』の松山ケンイチ主演で映画化。
ある少年に降りかかる残酷な運命を重厚な筆致で描ききった重松清の同名小説を、SABU監督が映画化。アイドルグループNEWSの手越祐也と『誰も知らない』の韓英恵が好演。豊川悦司は、忌まわしい過去を持つ神父の苦悩を独特な存在感で演じきった。西日本のある町で生まれ育ったシュウジ(手越)。幸福だった一家は、優秀だった兄が起こした放火事件によって離散する。両親を自殺で失った同級生・エリ(韓)にシュウジは想いを寄せ、東京へ引っ越したエリに会うため上京するが。
町にやって来た見世物小屋に興味を抱いた少年と転校生の少女が微笑ましい交流を紡ぐ。「自転車とハイヒール」の新人・深川栄洋監督が、昭和の匂いをノスタルジックに演出する。小学4年生の明の住む町に見世物小屋の一団がやって来て、出し物の一つ「狼少女」に明(鈴木)は心を奪われる。級友たちは「狼少女」は家が貧しくていじめられっ子の秀子(増田)に違いないと噂する。そんなある日、美しい転校生の留美子(大野)が転入してクラスの人気者になる。
キュートな天使が悩める人々を癒していく様子を描いたファンタジーで、天使に扮した深田恭子は、セリフの一切無い難役を見事に演じきっている。原作は桜沢エリカの人気コミック。東京のとある街に、ある日天使が舞い降りた。彼女は恋に臆病なコンビニ店員や、恋人と子育ての両立に悩むシングルファーザーなどにそっと寄り添い、ささやかな希望を与えていく。
個性派ミュージシャン、“エンケン”こと遠藤賢司が監督・主演・音楽を務めたドキュメンタリー。映画のために用意された日本武道館で、たった一人で演奏する姿をカメラが捉える。多くのアーティストに影響を与えたフォーク・ロックの伝道師、エンケン。2005年1月24日、日本武道館。アリーナに200台のアンプを積み上げ、柿の木や枯れススキなどを配した舞台を作り、無観客の武道館でエンケンは一世一代のライブに挑む。
衝撃的な最期を遂げた三島由紀夫をめぐるドキュメンタリー。監督は、映画評論家であり『能楽師』を手がけた田中千世子。小説家・平野啓一郎や能楽師・関根祥人が、それぞれの“三島論”を語る。1970年に自ら命を絶ち、今日でもなお世界的に影響を与え続ける三島由紀夫。登場するのは、作品を通じてのみ三島と関わりを持ってきた国内外のアーティスト。彼らへのインタビューから、新たな三島由紀夫像が浮かび上がってくる。
古都・京都を舞台に、難病に冒された妻と深い愛情で妻を支える夫の絆を細やかに描く夫婦愛の物語。藤村志保と栗塚旭、2人のベテラン俳優の成熟した演技が楽しめる。伝統ある神祇装束司を務める職人・黒由(栗塚)とその妻・千恵(藤村)は、長い間連れ添ってきたおしどり夫婦。しかし千恵は、徐々に身体の自由が利かなくなる難病に冒される。千恵を案じる黒由は、マジックが趣味の青年・俊介と出会い、遊びに来て欲しいと頼む。
戦争放棄を誓った第9条を中心に日本国憲法の意義を問うドキュメンタリー。「チョムスキー 9.11」のジャン・ユンカーマン監督のインタビューに、チョムスキーら知の巨人たちが応える。2001年の同時多発テロ以降、愛国化の進んだアメリカ。そして始まったイラク戦争。自衛隊の海外派遣を皮切りに改憲へ向け日本国憲法の在り方が大きな議論を呼んだ2005年。ユンカーマン監督は世界の知識人たちの意見を聞くべく旅立つ。
福島県いわき市の“常磐ハワイアンセンター”誕生秘話を映画化した人間ドラマ。蒼井優をはじめフラガールに扮する若き女優たちが猛特訓の成果を生かした終盤のダンス・シーンは圧巻。昭和40年、福島県の炭鉱町は閉山が続き、町に活気を呼び戻すため大型レジャー施設“常磐ハワイアンセンター”建設計画が立てられた。地元の少女たちに向けてフラダンスショーのダンサー募集が行われ、早苗(徳永えり)と紀美子(蒼井)は説明会へ行くが。
映画化が相次ぐ人気作家・乙一の小説を『AIKI』の天願大介が監督し、田中麗奈と台湾の人気俳優チェン・ボーリンが共演したミステリータッチの恋愛ドラマ。交通事故で視力を失ったミチル(田中)は最愛の父も亡くし、一軒家でひっそり暮らしている。そこへ、殺人事件の容疑者として警察から追われるアキヒロ(ボーリン)が忍び込む。ミチルは誰かの気配を感じつつも生活を続ける。やがて2人の間には奇妙な交流が生まれるが。
犯罪加害者の家族の苦悩を描いて、日本中が涙した感動の大ヒット作。原作は直木賞作家・東野圭吾の同名ミリオンセラーで、沢尻エリカ、山田孝之、玉山鉄二など、若手人気俳優がずらりと顔を揃えている。監督は『ビューティフルライフ』などの歴史的ヒットを飛ばし続ける、テレビドラマ界の名匠・生野慈朗。
幼なじみの女性の転落死を契機に対照的な兄弟の愛憎を丹念に描く心理ドラマ。若手女性監督・西川美和がその年の映画賞を総なめし、出演のオダギリジョーと香川照之も高い評価を得た。東京で写真家として成功した猛(オダギリ)は母の一周忌で帰郷する。幼なじみの智恵子(真木よう子)と兄の稔(香川)と渓谷へ出かけるが、智恵子が吊り橋から転落死してしまう。それは事故死として扱われたが、後日、稔は「自分が突き落とした」と告白する。
2002年ソルトレークオリンピックに出場したカーリング女子日本チームの実話を基に、加藤ローサ、高橋真唯ら若手女優が共演した青春スポーツドラマ。監督は『キサラギ』の佐藤祐市。北海道の小さな町で暮らす女子高生・和子(加藤)は、長野オリンピックに出場した地元のカーリング選手・加賀(田中圭)に憧れて女子チームを結成する。唯一の経験者・美希(藤井)以外のメンバーは初心者ばかりだが、大会を目指し練習を開始する。
若い女性の共感を集める女流漫画家・魚喃キリコの同名作を、『三月のライオン』の矢崎仁司監督が映画化。東京で暮らす4人の若い女性が、悩み傷つきながら人生を模索してゆく姿を共感を込めて描く。デリバリー・ヘルスの電話番として働く里子(池脇)は、店でナンバー1のデリへル嬢・秋代(中村)に憧れ、友だちになる。一方、イラストレーターの塔子(岩瀬)とOLのちひろ(中越)は、性格の違いから共同生活がぎくしゃくする。
関西の小さな町に住む酒井家は、両親に一男一女、ごく普通の4人家族。一見幸せそうに見える彼らだが、長男次雄は母親の連れ子で、継父である正和とはどこかギクシャクしていた。そんなある日、正和が家を出たいと言い出した。理由はなんと「好きな男ができたから」。父の予期せぬカミング・アウトにとまどう家族だが。友近、ユースケ・サンタマリアという斬新な顔合わせも魅力の家族ドラマ。
雑誌『SEVENTEEN』の専属モデルとして中高生にカリスマ的人気を誇り、今やNHK連続テレビ小説のヒロインとして朝の顔となった榮倉奈々と、人気急上昇中の仲里依紗が共演した青春映画。EXILEの眞木大輔も出演している。ラブホテルが林立する渋谷区円山町で、女子高生の由紀江は臨時教師・ヤマケンが女性とラブホテルに入る決定的瞬間を目撃。その翌日からヤマケンのことが頭から離れなくなってしまった由紀江は、半ば強引に一緒に円山町へ行く事を約束させるが。おかざき真里のコミックの映画化作品。
女にもてなくても幸福に生きる兄弟のささやかな日常を描いた江國香織の原作を、森田芳光監督がほのぼのとユーモラスに綴った作品。劇団・惑星ピスタチオ出身の個性派俳優、佐々木蔵之介とドランクドラゴンの塚地武雅が、まるで本物の兄弟のように息のあったコンビぶりを発揮している。間宮明信と徹信の兄弟は、30代になっても独身のまま仲良く一緒に暮らしていた。ある日二人はカレーパーティを開くことを思い立ち、知り合いの美女二人を家に招待するのだが。
石垣島出身の85歳のお座敷芸者の波乱万丈の人生を綴った音楽ドキュメンタリー。『アレクセイと泉』の本橋成一監督が被写体であるナミイこと新城浪に寄り添い、深い敬愛を込めて撮影している。9歳で身売りされて以来、三線と歌と共に生きてきたお座敷芸者のナミイおばぁ。そんなナミイが、“カレシ”と“家来” を連れて三線を片手に旅へ出た。行く先々で歌を通して地元の人の心を掴むナミイだが、目的地は果たしてどこか?
新学期が始まる朝、いつものように皆がそろった食卓で突然父親が「父さんは今日で父さんをやめようと思う」と言い出した。お互い何か言いたいことがあれば、家族みんながそろう朝の食卓で伝え合うというルールの中原家は、中学生の佐和子と秀才の兄、両親の4人家族。父のこの言葉がきっかけに家族はそれまでと違った行動をとるようになり…。少女の視点で家族の崩壊と再生を描いた瀬尾まいこの原作の映画化作品。
定年まで家庭を顧みず働いてきた松太郎は、妻の死後家を娘に譲り自分は質素なアパートに移り住む。隣りの部屋の母親が娘を虐待していることに気づいた松太郎は、ある日、その少女とともに旅に出る。やがて彼は、誘拐犯として指名手配されてしまうが…。心に傷を持つ初老の男と少女の心の交流と癒やしを描いたロード・ムービー。俳優・奥田瑛二が監督を務めモントリオール映画祭でグランプリに輝いた。
第二次大戦後、中国に留まり国民党軍に組み込まれた日本兵たちの真実。『延安の娘』の池谷薫監督が多くの日本人にとって今なお知られていない“日本軍山西省残留問題”に斬り込んだドキュメンタリー。中国山西省で終戦を迎えた日本軍兵士2600人は、その後も中国に残留し国民党軍の部隊として共産党軍と戦い、 550人が戦死した。しかし帰国した彼らは日本政府から逃亡兵とみなされ、一切補償はされなかった。元兵士、奥村和一は国に闘いを挑む。
1945年、広島と長崎両方で被爆した被爆者たちを追うドキュメンタリー。監督はニューヨーク・フィルムアカデミーで学び、本作がデビューとなる新人・青木亮。1945年8月6日、広島へ出張していた山口彊さんは被爆後、郷里の長崎に戻り再び被爆する。原爆投下後2週間以内に両市に入り、残留放射能を浴びた「二重被爆者」は 165人、2度の原爆に直接遭遇した被爆者は9人いる事が確認された。監督は山口さんへインタビューを試みる。
かつて日本で最大の規模を誇り、1997年に閉山した三池炭鉱の過酷な歴史。重労働を引き受け、誇り高く炭鉱に生きた男女の証言を聞き続け、熊谷博子監督が7年がかりで完成させた。日本最大の炭鉱として高度経済成長を支えたが、時代の流れと共に150年間の歴史に幕を引き、閉山した福岡県の三池炭鉱。朝鮮人や中国人の強制労働、三池争議、炭じん爆発事故など、「負の遺産」とも呼ばれる三池の歴史と現在を関係者たちが証言する。
戦後の横浜で、“ハマのメリーさん”と呼ばれた一人の娼婦の半生を綴る。団鬼六、五大路子らメリーさんを知る人々の証言と、彼女のモノクロ写真をつなぎ合わせて構成。ミニシアターながら口コミでヒットした。かつて絶世の美人娼婦として名を馳せた“ハマのメリーさん”。顔を白く塗り、横浜の街角に立ち続ける彼女は、いつしか都市伝説のヒロインと化していた。1995年、メリーさんは突然姿を消した。中村監督はその消息をたどる。
若手女流作家・豊島ミホの連作短編集を、これが長編デビューとなる岩田ユキ監督が映画化。田舎の高校を舞台に若者たちの初恋を瑞々しく綴る。主演は『僕は妹に恋をする』の榮倉奈々と『リアル鬼ごっこ』の谷村美月。山に囲まれた小さな町。成績優秀な高校三年生の加代子(榮倉)は、東京の大学への進学を目指していた。野球部の巧(石田)は中学時代から加代子に想いを寄せていたが、同じ野球部のエース・佐々木(柄本)が加代子に告白。二人の仲は急接近する。
名匠・新藤兼人監督が自らの軍隊生活を振り返り、ドキュメンタリー部分と再現ドラマ部分の2部構成で作られた反戦ドキュメンタリー・ドラマ。監督は、新藤監督の助監督を務めてきた山本保博。1944年、春。32歳の新進脚本家・新藤兼人(蟹江)に召集令状が届き、宝塚の海軍航空隊に配属される。しかしすでに軍艦はなく、兵士たちは出陣を待機する日々を送る。上官の理不尽な暴力にひたすら耐えながら、新藤は終戦を迎える。
昭和30年代の東京の姿を描いた『ALWAYS 三丁目の夕日』の続編。前作から4ヵ月後の夕日町を舞台に、茶川とヒロミの恋の行方を軸に住人たちのその後を綴る。監督・キャストは共に続投。昭和34年、オリンピック開催に沸く東京。淳之介(須賀健太)と暮らす茶川(吉岡)は、去ったヒロミ(小雪)を想いながら芥川賞を目指していた。一方、鈴木オートは事業に失敗した親戚の娘、美加(小池彩夢)を預かるが、お嬢様育ちの美加はなにかと騒動を巻き起こす。
映画『クレヨンしんちゃん』シリーズを手掛けてきた原恵一監督が、少年と河童の友情を情感豊かに描いた爽やかな感動作。夏休み前のある日、帰り道で大きな石を拾った康一は、それを水で洗ったところ、中から河童の子供が出てきた。この河童の子供をクゥと名付け、一緒に暮らすようになる康一だが、そんなある日、クゥが仲間のところへ帰ると言い出して…。
原作は第41回文藝賞に輝き、芥川賞候補作にもなった山崎ナオコーラのデビュー作。過激なタイトルとは裏腹に、繊細で純朴で真っすぐな恋愛物語が展開する切なくも瑞々しい青春映画。松山ケンイチ、永作博美の主演で映画化。
補欠選挙に出馬することになった男性の選挙活動を追うドキュメンタリー。ニューヨーク在住の映像作家、想田和弘による“観察映画”第一弾。アメリカでのピーポディ賞受賞をはじめ国内外で大きな反響を呼んだ。東京で切手コイン商を営む山内和彦さんは、成りゆきで自民党候補となり、川崎で選挙活動を始めることに。諸先輩方の指導を仰ぎながら、山内さんは“どぶ板選挙”を戦い抜く。その姿から苛烈であり滑稽でもある日本の選挙が見える。
過去と現在の2部構成で、原爆がもたらす悲劇を淡々と伝える反戦ドラマ。こうの史代の同名漫画を「出口のない海」の佐々部清監督が映画化。麻生久美子と田中麗奈がそれぞれの時代のヒロインに。昭和33年、広島。母と静かに暮らす皆実(麻生)は同僚の打越(吉沢)と相愛になるが、原爆症に冒される。現在の東京。皆実の姪、七波(田中)は、父親(堺正章)の最近の行動を不審に思い、尾行する。やがて広島にたどり着き、自分のルーツを再確認する。麻生久美子がブルーリボン賞主演女優賞を受賞。
ペットのようにかわいがってきたブタを食べるのか、食べないのか。大阪の小学校で実際に行われた実践教育をもとに、生命の大切さや食とは何かを問う感動作。セリフや物語の結末を一切知らされずに挑んだ26人の子どもたちが繰り広げる本音の議論に対して、妻夫木聡が一緒に悩みながら成長していく先生役を自然体で演じ、東京国際映画祭観客賞など多くの賞を受賞した。
1日しか記憶を保てない青年が学生プロレスの魅力にのめり込む青春ドラマ。人気劇団モダンスイマーズの舞台を原作に、「タイヨウのうた」の小泉徳宏監督と『ROOKIES ルーキーズ』の佐藤隆太がコンビを組む。事故で頭を強打して以来1日しか記憶がもたない障害を負ってしまった良一(佐藤)は、生きている実感をつかむため学生プロレスに参加する。段取りが覚えられず毎回ガチンコ試合となるが、それが人気を呼んでいく。
いじめ問題を抱える学校に赴任した臨時教師が子供たちと正面から対峙する。重松清の同名短編をこれがデビューとなる中西健二が監督した人間ドラマ。阿部寛が吃音の教師を好演する。前学期、男子生徒の野口が自殺未遂をした東ヶ丘中学校に、臨時教師・村内(阿部)が赴任する。村内は、転校していった野口の机を教室に戻させ、その机に向かって毎朝「おはよう」と呼びかける。その行動は次第に生徒や保護者たちに影響を与えてゆく。
日本から強制送還されたクルド難民一家を追って若き監督がトルコへ旅立つ。監督は24歳の新鋭、野本大。本作で山形国際ドキュメンタリー映画の市民賞・奨励賞を受賞した。2004年、映像系専門学校に通っていた野本大は、クルド難民のカザンキラン一家と出会う。彼らのドキュメンタリーを撮ろうとするが、その矢先に難民認定を勝ち取ったはずの一家は強制送還されてしまう。彼らを追いトルコへ行った野本は衝撃の事実に直面する。
広島在住の映像作家、川本昭人が半世紀にわたって撮影した妻と家族の姿。原爆症に苦しみながら子育てや義母の介護を続けた妻の感情と、家族四世代の歴史を丹念に映し出す。2000年、孫のコンクール入賞の絵を見に平和記念資料館を訪れた夫妻は、その絵を眺めながら在りし日を振り返る。1945年、19歳だった妻キヨ子は被爆した。40代で甲状腺ガンと診断され手術を受ける。常に倦怠感に苦しめられる妻を夫は撮影し続ける。