J:COMで放映された映画をベースに、今まで観た映画、これから観たい映画を順次、整理し、並べてみます。ご活用下さい。
当時、弱冠27歳だった吉田喜重監督のデビュー作。退屈な日常の中、行き場のない焦燥感をもてあましている4人の大学生が、刺激を求めて突っ走る様を描く。会社社長を父に持つ秋山と仲間の3人は、秋山の父親の秘書から金を奪い、すぐに返金するという遊びを思いつくが、その「遊び」のために彼らはとてつもない犠牲を払うこととなる。
「ろくでなし」に続く吉田喜重監督第2作。リストラに抗議するため自殺未遂をはかったことから、マスコミに翻ろうされ、英雄へと祭り上げられた男の人生のてんまつを描く。ごく普通のサラリーマン・木口は、ほかの社員をリストラから救おうと自ら死を選ぶが、一命を取り留め、その事件が大きく報道される。やがて生命保険会社からCMへの出演依頼があり、そのCMが大ヒット。だが、根も歯もないスキャンダルが彼を襲う。
岡山県秋津温泉の四季を背景に、ある男女の17年にわたる愛の歴史を、戦後意識の移り変わりを反映させつつ描いた秀作。藤原審爾の小説を、岡田茉莉子が企画・主演し、吉田喜重の監督・脚本で映画化。のちに結婚し多くの作品を共に手がけるようになる二人が、並々ならぬ意欲で取り組んだ記念すべき名編。
吉田喜重監督が、人工授精で子供を授かった夫婦を描いた心理ドラマ。伊吹真五と立子の間に生まれた子供・鷹士(たかし)は、夫妻の共通の知り合いである坂口という男から精子の提供を受けて生まれた子だった。だが坂口の妻は真実を知らず、立子と坂口の不倫を疑い、復しゅうのため伊吹を誘惑しようとする。一方、真実を知っている立子の胸中にも複雑な思いがうずまいていた。
都市社会学者の川村(横内)はかつて長崎で写生図を見て以来彼の心をとらえて離さない、原爆によって失われた大聖堂の原型を求めてヨーロッパに旅立つ。リスボンで一人の日本人女性・直子(岡田)に出会った川村は、夫のもとへ去った直子を追いパリに着く。夏のヨーロッパ各地を舞台に、長崎で原爆体験を持つ女と古い寺院の原型を探す男の邂逅と別れを描く。
大正のアナーキスト大杉栄が三角関係のもつれから刺された事件を取り上げ、大正時代と現代(昭和40年代)のそれぞれの風俗と人物たちを、時間軸と空間軸を交錯させ前衛的な手法で描いた愛と憎しみのドラマ。なかなか観る機会得られない吉田喜重の一作。
吉田喜重が松竹を退社して設立した現代映画社とATGの提携による1千万円映画。原子力機構の研究員の庄田(鴉田)は日々を根無し草のように頼りなく漂って生きていたが、妻の夏那子(岡田)が見知らぬ少女を誘拐したことから、それまで封印してきた暗黒の過去と向き合うことになる。性・政治・革命などの様々なイメージが提示される前衛的作品。
60年代から様々な異色作を手がけてきた巨匠・吉田喜重監督が、岡田茉莉子・浅丘ルリ子・有馬稲子といった名女優を配し、女優という虚像の存在に迫る。映画に出演することになった3人の女優を撮影2日前から追った3つの物語が同時進行し、女優という仮面の下に隠れた彼女たちの悲しい過去や現実の姿を描き出す。
吉田喜重監督が2.26事件の陰の指導者と言われる思想家・北一輝の人間像を描いた重厚な人間ドラマ。彼の著作「日本改造法案大綱」は、当時の日本の政治的矛盾に疑問をもつ多くの若者に影響を与え、その影響の大きさに北一輝の胸中は複雑だった。そして昭和11年2月26日、青年将校たちが事件を起こした翌日、ついに戒厳令が施行された。
年老いた親の痴ほうやその介護によって、平和だった日常生活に起こりうる一般家庭での様々な問題を描き、国内外で高い評価を得た社会派ドラマ。とある一家の老母・タツが急死し、タツの夫が警察に自首してくるが、夫には痴ほう症状が見受けられた。老夫婦は息子、嫁、孫と同居していたが、タツにも重い痴ほう症状があり、家庭には激しい波風がたっていたことが浮き彫りになる中、タツの死の真相が明らかになっていく。原作 : 佐江衆一『老熟家族』
エミリー・ブロンテの不朽の名作「嵐が丘」を、中世の日本に舞台を置き換えるというざん新な設定で吉田喜重監督が映画化。火の神を祭る山部一族の当主が都から連れ帰った子供・鬼丸は、一族に仕えることになり、成長とともに当主の娘・絹と愛し合うようになる。だが、2人は決して一緒になれぬ運命にあった。カンヌ映画祭のパルムドール(最高賞)を競うコンペティション部門に出品され、話題となった。
「私には原爆を再現する資格はない。(原爆は)死者だけが語り、描く権利がある」吉田喜重監督が広島の原爆を通して平和への祈りを込め、家族のきずなを描き出すヒューマン・ドラマ。夏来と名づけた子供を生み、すぐに失そうした娘を探し続ける川瀬愛。24年が過ぎたある日、彼女に夏来の母子手帳を持った女性が見つかったと連絡が入る。急いで会いに行ったその女性は、記憶喪失だった。月日の流れによって娘だと確信できない愛は、迷いながらも家族のきずなを取り戻そうと娘の生まれた広島へ旅に出る。