J:COMで放映された映画をベースに、今まで観た映画、これから観たい映画を順次、整理し、並べてみます。ご活用下さい。
奥州棚倉藩で大殿・小笠原佐渡守(葛木香一)は、跡目を狙っている次席家老・大倉伝左ヱ門(嵐三右ヱ門)に密かに毒を盛られ、肉体は日に日に衰えていた。さらに若殿の左馬之助(小林勝彦)は、江戸へ向かったまま行方不明であった。大倉の一派は左馬之助の異母弟を擁立、これを機会に奥州棚倉藩の実権を握ろうと企てていたのだ。そんなお家の状況を憂いていた国家老・石田帯刀(荒木忍)は、左馬之助とうりふたつの、奇術師・雲竜斎一座の人気者・月太郎(小林勝彦)を連れ出す。そして礼金百両で身代わりに立てようとするが。SP(ショートピクチャー)と呼ばれた1時間ほどの短編映画で、現在も2時間ドラマなどで手腕を発揮している池広一夫監督のデビュー作。市川雷蔵が新人監督のデビューを祝して、町人役で1カット出演している。
時代劇に新風を吹き込む事に絶えず情熱を注いでいた雷蔵は、むしろよく知られたオーソドックスな長谷川伸の股旅物を材に、それを瑞々しく甦らせることを立案。未知数の若手監督、池広一夫を起用し、雷蔵の意志に応え、全力で奮起。会社に一笑されながらも、宮川一夫を口説き、撮影に招き、無駄のないテンポある鮮烈な股旅物の傑作が誕生した。
西南戦争を背景に、城内に立て篭もり薩摩軍と闘う女たちの様々なドラマを描く時代女性ドラマ。監督は大映の職人監督の一人、池広一夫。京マチ子が男装の女剣士を凛々しく演じる。明治9年、江戸で女中勤めをしている律(京)は10年ぶりに郷里の臼杵に帰ってきた。実家は弟の健一郎(小林)が継ぎ、商家の娘おたか(中村)と夫婦になり問屋を経営していた。結婚に反対していた律の帰郷におたかは戦々恐々とするが、やがて西南戦争が始まる。
巨匠・伊藤大輔が原作を手がけたグランドホテル形式による推理時代劇。道楽者の市川雷蔵、捕物帖好きの探偵マニアであるお珠を演じる中村玉緒の二人の掛け合いが面白い。また当時の宣伝資料には「ヒッチコックばりのサスペンス」と紹介されており、監督デビュー間もない池広一夫が、明るい笑いを盛り込みつつも、現代的な感覚にあふれた推理劇に仕上げている。
父の仇を捜して旅を続ける生真面目な浪人がやくざになった弟と、とある宿場で再会。大親分の家にわらじを脱いだものの、その娘に惚れられてしまい。市川雷蔵、橋幸夫が『おけさ唄えば』以来の顔合わせで、息の合ったコンビぶりを見せる明朗時代劇。
愛する女性を死に追いやった材木商の元締めを殺し、渡世に身を投じた木場の政吉。旅の途中、彼女とうり二つの娘を救ったことで、十手をかさにきて悪行を続ける中津川の虎太郎と対決することに。市川雷蔵、中村玉緒それぞれが結婚後の初仕事となった話題作で、橋幸夫が主題歌を担当。「瞼の母」「一本刀土俵入り」に並ぶ長谷川伸の三大戯曲とされる「中山七里」は、市川雷蔵の舞台デビュー作品でもある。
名手・小国秀雄によるオリジナルストーリーで、タイトルから受ける印象とはまったく逆の時代喜劇を池広一夫が監督した63年3月公開作品。ストーリーや人物設定が当時のサラリーマン事情に通じており、雷蔵演じるぐうたら藩士役にもイヤミがなく、愉快なドラマとなっている。
清水崑の大人向けマンガ「戦国雑兵」を原作に、戦国時代、足軽にとられた農民たちのドタバタを活写するスラップスティック時代劇コメディ。勝新太郎のコメディ演技が見もの。戦国時代、ある寒村に日当20文で足軽15人の徴発の話が出る。いい金稼ぎになると茂平(勝)らは志願するが、槍を拾って物売りに売ったり、敵である隣村の農民と歓談したり、兵士としてまるで役に立たない。この連中に、大将・信長(小林)は重大任務を与えるが。
名カメラマン宮川一夫が初参加したシリーズ第6作。勝新太郎の兄・若山富三郎(当時は城健三朗)が再登場し、馬に乗って革の鞭で市を痛めつける差別主義の権化のような敵を怪演。三年前、心ならずも斬った男の墓参りに板倉村を訪れた市(勝)は千両箱強奪事件に巻き込まれる。実は代官が忠治一家を陥れるため仕組んだ罠であり、その用心棒・仙場(城)は盲人の市に異様な憎悪を向ける。
前作『座頭市千両首』に続いて池広一夫がメガホンをとったシリーズ7作目。立派な凶状持ち(=前科者)となった座頭市の仕込み杖がますます冴え、本作から市に貫禄がつきはじめた。甲州を旅する市(勝)は危うく鉄砲で撃たれそうになり、気を失ったところを地元の親分・文吉の娘、お国(久保)に助けられる。文吉は市を快く逗留させるが、川向こうの竹屋と縄張りを巡っていざこざを抱えていた。
市川雷蔵主演の人気シリーズ第4作。エロチシズムを前面に出し、大奥・アヘン・姫の性的乱行・隠れ切支丹などの要素が妖しさを煽って抜群の面白さを誇る。本作で初めて狂四郎の悲惨な出生の秘密が語られる。また円月殺法にストロボ効果をはじめて用いたのも今作で、シリーズとしてのフォーマットは完全に確立したといえよう。さらに第1作で登場した城健三朗演じる少林寺拳法の達人・陳孫が再び登場し、狂四郎と対決する。
市川雷蔵主演のヒットシリーズ第五作。前作の続編として製作された。みどころとなる忍術描写も一層の力が注がれ、本作では、才蔵は水中戦を披露している。また才蔵はついに家康暗殺に成功し、死に至る様を天井裏から無言で見守る才蔵の姿には、ただならぬ執念を感じさせ、雷蔵の熱演ぶりにも注目したい。また音楽を池野成が手がけ、まるで忍者に重く圧し掛かった宿命を表出させるかのような、金管の低音を活かした響きを聴かせる。
紙屋五平の原案を、ヤクザ映画の傑作『沓掛時次郎』で雷蔵と組んだ池広一夫が監督。明治の末期、元海軍士官という異色の経歴を持つヤクザが、父の仇を討つため奔走する。南条組の親分・辰五郎が闇討ちされ、犯人は滝沢組と判明。辰五郎の長男で海軍少尉の武(市川)は父の跡目を継ぎ、滝沢組組長・巳之助の右腕を斬り落とす。しかし真の黒幕は、新興ヤクザ太田黒組の伊蔵親分(佐藤)だった。武は単身、太田黒組に殴りこむ。
監督・池広一夫、主演・市川雷蔵の「若親分」シリーズ第2作。6年ぶりにシャバに戻った若親分が、故郷の街を牛耳る汚職政治家に闘いを挑む。雷蔵が前作以上に大暴れ。新興ヤクザ・太田黒伊蔵を斬って入獄していた若親分・南条武(市川)が、刑期を終えて出所する。故郷の街・大浜に帰るが、一家は離散寸前の状態で許婚の京子(朝丘)の姿もない。街は新たな新興ヤクザ一家に牛耳られ、背後には政治家・堀越(内田朝雄)がいた。
市川雷蔵の人気作「若親分」シリーズ中、もっとも異彩を放つ一作。前作『若親分出獄』のラストで大陸に逃亡した若親分が、さらわれた外国の姫を助けて東京に舞い戻る。海軍少尉から若親分に転身し、大陸へ去った南条武(市川)。上海で誘拐された蒙古の王女トクーズ姫(江波)を救った武は、東京へ戻り憂国の士・木島の許に王女を預ける。そして、革命にかこつけ私腹を肥やそうとする新興ヤクザと再び対決することに。
元泥棒で改心した男が新撰組との闘いに参加するまでをスリリングに描く。司馬遼太郎の原作「盗賊と間者」を、名匠・伊藤大輔監督が脚本化して、「座頭市」シリーズなどで勝新太郎と数多く組んだ池広一夫が監督。幕末の大阪。各所を荒らす盗賊の佐渡八(勝)は、“鬼与力”の異名を持つ田中松次郎(内田朝雄)に捕まり堅気になることを条件に無罪放免に。こそ泥の清七(青山)の身柄を預かった佐渡八は京都でうどん屋を開業し、やがて新撰組の隊士たちと知り合いになる。
シリーズで初めて新藤兼人が脚本を手掛けた第14作。斬った人々の冥福を祈るため四国へ渡った市に、ドスをかざして向かう娘が現れ。勝新の推薦で大映に入社した安田道代(現:大楠道代)が、市の命を狙うお吉を演じて初共演を果たす。ちなみに安田は北野武版『座頭市』にも出演している。
市川雷蔵主演のヒットシリーズ第八作。本作では、石川五右衛門、霧隠才蔵に続く、新たな主人公・霞小次郎が創作され、市川雷蔵が復讐に燃える若き忍者を好演。また第一作に出演した伊藤雄之助が、本作では小次郎の忍術の師匠として出演、独特の存在感を放つ。残念ながら本作をもって、シリーズは最終作となった。
眠狂四郎(市川雷蔵)は、闕所物奉行・朝比奈修理亮(金子信雄)から京都御所へ運ぶ献上品の警護を懇願されたが、それを拒否する。だが、狂四郎は余命いくばくもない姉が京都の尼寺にいることを聞きつけ、京都へと向かった。一方、江戸を旅立った献上品警護の一行は、三枝右近(成田三樹夫)を首領とする隠れキリシタンの一派・黒指党の襲撃を受けた。彼らが宝物と崇める南蛮渡来の純金のクルスを奪還するためであった。さらに、黒指党は二人の女を使って狂四郎を狙う!
市川雷蔵主演の人気シリーズ第9作。監督は、第4作『眠狂四郎 女妖剣』をヒットさせ雷蔵からの信頼も厚い池広一夫。本作では再び狂四郎の出生の秘密に関わるドラマが描かれるが、道中もののテイストが加味され、狂四郎を様々な罠が待ち受ける息をもつかせぬ展開となっている。また、成田三樹夫が凄みを利かせ、敵役を存在感たっぷりに演じた。
鬼警部と恐れられる一郎は、暴力団の罠にはまって、殺人犯の汚名を着せられてしまう。獄中で自分の弟が恩人を殺害したことを聞いた一郎は、決死の脱獄を決行し、弟との決着を着けようとする。丹波哲郎主演のハードボイルド・アクション。
第1作目『若親分』の監督・池広一夫がメガホンを取ったシリーズ最終作。海軍時代の仲間から自決を迫られる若親分が、豪傑な奇術師・辰丸の手を借りて悪党どもをなぎ倒す。南条武(市川)は人違いから殺し屋に襲われ、奇術一座の辰丸(長門)に助けられる。一座の裏方を手伝いながら宇島に来た武は、自分が土地の顔役・青柳組親分の息子と間違われたことを知る。そこで武は海軍時代の同期生・水上少尉(藤巻)と再会するが。
村上元三の傑作小説を映画化した1968年4月に公開された作品。池広一夫監督と市川雷蔵コンビによる『沓掛時次郎』『中山七里』に続く、股旅三部作の最終作で、雷蔵の代表作のひとつ。過酷な人生を生きてきた一匹狼やくざを、雷蔵がストイックに演じ、深い感動を呼ぶ。
勝新太郎が破戒僧・竜全に扮して悪党相手に大暴れする異色時代劇アクションの続篇。房総の門前町を舞台に、竜全が小判を作る金座一家の家督相続争いに巻き込まれる。日本中の小判を作る房総へやって来た竜全(勝)は、地元の賭場で有金を全部すってしまう。そこで江戸新川の親分・東兵衛の情婦・お紺(朝丘)を口説く。ある日、波打ち際に意識を失った娘を助け、彼女が金座一家の跡取り娘のお露(松尾)と知った竜全は。
市川雷蔵主演の人気シリーズ最終作。大奥の争いに隠れ切支丹のニセ狂四郎が絡む話。ついにニセ狂四郎と対決かと思いきや、鏡の自分を斬る場面が胸をうつ。当時の宣伝資料には「病気療養中だった市川雷蔵がすっかり健康を回復」とあるが、実際のところ体調は思わしくなかったらしく、本作では派手な立ち回りは抑えられ、その分、狂四郎の静の魅力が押し出された。なお本作が公開されてからおよそ半年後の7月17日、雷蔵は肝臓癌のため逝去。享年37歳であった。
市川雷蔵の代表作の一本として有名な五味康祐原作『薄桜記』を松方弘樹を主演に迎えた一作。愛する妻を陵辱された武士の悲しい運命を鮮烈なタッチで綴る。監督は『続やくざ坊主』の池広一夫。叔父の決闘に加勢した中山安兵衛(本郷)は一躍勇名を轟かせるが、その場にいながら助勢しなかった知心流の使い手・丹下典膳(松方)は世間の非難を浴びる。安兵衛の暗殺を図り、典膳にはばまれた知心流の男たちは、典膳の留守宅を襲い彼の愛妻・千春(岩井)を陵辱する。
『眠狂四郎円月殺法』に続いて松方弘樹が眠狂四郎を演じる。旅する狂四郎の道中に刺客が次々と差し向けられる。前作の森一生に代わって「若親分」シリーズなどを手がける池広一夫がメガホンをとった。岸和田藩の家臣から、藩主の寵愛を受ける女中・理江(南美川)を殺すよう依頼を受ける眠狂四郎(松方)。何故なら理江の正体は藩の政敵・薩摩藩の間者だった。狂四郎は屋敷に向う途中、異国の血を引く剣士・梅津一郎太(田村)と対峙する。
谷崎潤一郎の「恐怖時代」を原作に『眠狂四郎卍斬り』の大映職人監督池広一夫による異色時代劇。女郎から大名の側室に成り上がった悪女が、体一つを武器に一国を乗っ取ろうとする。娼婦から芸者、そして大名・春藤靭負(佐藤)の側室にまでなったお銀(安田)は、今また新たに野望を燃やしていた。それは、大名春藤の正室が男子を産む前に暗殺し、自分の息子を世継ぎにすることだ。絶世の美男・磯貝伊織(田村)と組み、お銀は計画を進める。