J:COMで放映された映画をベースに、今まで観た映画、これから観たい映画を順次、整理し、並べてみます。ご活用下さい。
業平橋の下で、千両箱を背負った男の死体が上がる。平次(長谷川一夫)は、死体にあった手紙の切れ端から絵師・三浦楳渓という手掛かりを見つけるが、その楳渓も何者かに惨殺されていた。同じ三浦家に住む女房のお喜多(大美輝子)、姪だというお栄(三條美紀)、弟子の弥之助(小柴幹治)、居候の重太郎(清川荘司)たちを取り調べていく平次。だが、またしても一人、弥之助が殺されてしまう。死体には、いずれにもサイコロの刺青があることを認めた平次は、過去のある事件を思い出す。長谷川・平次が難事件に挑む!次々に起こる奇怪な事件が謎を呼ぶ推理時代劇。原作は、1931年から1957年までに長篇・短篇合わせ830篇もが書かれた野村胡堂の小説「銭形平次捕物控」。このロングセラーの人気を一躍、高めたのが天下の二枚目スター長谷川一夫だった。本作は、後に17本ものシリーズ作品が制作されることになる長谷川一夫・主演、大映版「銭形平次」の第一弾。千両箱を背負った死体、謎のサイコロの刺青、過去の公金強奪事件――等々、サスペンス要素が随所にちりばめられ、ストーリーはテンポ良く展開。もちろん、ラストは平次得意の投げ銭が空を切ります!
ともに池田家の剣術師範として盟友である荒木又右衛門(三船)と河合甚左衛門(志村)。しかし、甚左衛門の甥・又五郎(千秋実)が又右衛門の義弟を斬ったことから、2人は敵対関係となってしまう。甚左衛門と又五郎、彼らに助太刀している槍の名人・半兵衛(徳大寺伸)を討つため、義弟・数馬(片山明彦)とともに旅に出る又右衛門。そして5年の歳月が経ち、ついに鍵屋の辻で又五郎一行を討つ機会が訪れたのだった。黒澤明の脚本を森一生監督が見事に映像化した作品。
長谷川一夫の銭形平次シリーズ第3弾。野村胡堂の「銭形平次捕物控」の中から選りすぐりの一遍を、伊藤大輔の脚本、森一生のメガホンで映画化。平次を取り巻く恋模様や軍資金を巡って起こる謎の殺人事件など、多彩な要素を盛り込んで全編通して手に汗握る作品となっている。
江戸の町では、美貌の教祖率いる怪しげな新興宗教が流行。全財産を騙し取られた信者や、家族を教団に取られた人々が後を絶たなかった。そこで、平次は助手の八五郎を教団・紫御殿内部に潜入させるが。
踊りの師匠・お歌と瓜二つの女が目撃された。それと同時期に、お歌の叔父が何者かに殺される。平次は、お歌の父がもと金山奉行の嫡子だと聞きつけ、彼の残した7万両の財宝を狙う者の仕業だと推理する。
高田の馬場の決闘を中心として、『忠臣蔵』でおなじみの中山(堀部)安兵衛の活躍を描く痛快娯楽時代劇。多数の時代劇スターが演じてきた安兵衛だが、長谷川一夫が演じるのは意外にもこれが初であり、長谷川が巧みな芝居で作り出す安兵衛の人物像にも注目。また本作が時代劇初出演となる若尾文子演じるヒロインも可憐な魅力を振り撒いている。その他、堀部弥兵衛を菅井一郎、浅野内匠頭を黒川彌太郎が演じている。
長谷川一夫が腕っぷしのいいやくざ者を演じる痛快娯楽時代劇。脚本は本作に出演もしている沢村国太郎(藤友一名義)と戦前は日活で監督、戦後は編集マンとして活躍した菅沼完二が共同で執筆、森一生がメガフォンを取った。また戦前に長谷川一夫と共演し、人気を博した山根寿子が再び相手役に起用され、息の合った掛け合いを見せてくれる。
井上靖の同名小説を『座頭市』シリーズ他、数多くの傑作時代劇で知られる森一生が監督。森雅之扮する汚職事件に巻き込まれた実業家が、若い新聞記者や知人の娘と付き合い、困難な中で自分を本当に愛してくれる女性の存在に気づくまでを描いたヒューマンドラマ。新聞記者の高津(根上)は大陸から引き揚げた後、次々と事業を立ち上げた青戸(森)が汚職事件に関与していると目を付ける。政界の大物・佐山の娘の那津子(若尾)が青戸と親しいと知り近づく高津は、那津子と言い争いながらも互いに惹かれ合う。一方、青戸の亡き友人の妻でバーのマダムの安芸子(山根)は青戸を想うが。
長谷川一夫が東宝版でも主演した文豪 菊池寛不朽の名作を、17年の歳月を経てリメイク。前年カンヌ国際映画祭でグランプリに輝く2大スターが競演。溝口作品で知られる依田義賢の脚本、森一生のメガフォンによって、長谷川がさらに芸の深さと幅の広い演技を魅せてくれる。また共演の京マチ子もこの上なく美しい。
好評を博したNHKの放送劇を映画化。上州安中藩で毎年秋に開かれる「遠足(とおあし)の儀」。安中城から碓氷峠の熊野権現まで往復する全コース十四里十四丁のマラソン競争に、藩主家老の娘との結婚を賭けて挑む二人の侍がいた。追いつ追われつのレース展開に、トニー谷演じる泥棒が加わり家宝の争奪戦まで巻き起こるドタバタ騒動。藩の命運と恋の成就を目指して、若き剣士たちがひた走る痛快娯楽時代劇。
長谷川一夫の代表作『銭形平次』シリーズ初のカラー作品。本作は大映版の第10作。記念作に相応しく、脚本には小國英雄、撮影には杉山公平、監督には森一生とベテランが揃えられた。また市川雷蔵は長谷川と『銭形平次捕物控 幽霊大名』、『薔薇いくたびか』に続く、三度目の共演を実現。戦前から活躍する大スター長谷川と、次世代のスターとして台頭しつつある雷蔵の共演シーンは必見だ。山本富士子、阿井美千子、中村玉緒、入江たか子といった豪華女優陣も画面に華を添える。
当時すでに、大映が誇る時代劇スターとなっていた市川雷蔵にとって初の鳶もの映画で、町火消しに扮して火事に喧嘩に恋に、と大活躍する娯楽作。『又四郎喧嘩旅』などで、すでにコンビとして定評のあった嵯峨三智子が相手役として共演。森一生監督が初めて手がけた雷蔵主演作でもある。
風雲急を告げる幕末の宮廷を舞台にした、市川雷蔵主演のラブロマンス。川口松太郎の「皇女和の宮」を原作に八尋不二が脚本を手掛け、ベテラン・森一生がメガフォンを取った。当時の大映が誇った二大女優・若尾文子、山本富士子の美しさ、そして雷蔵の貴公子然とした芝居がみどころで、雷蔵がいわゆる宮様を演じるのは本作が初となる。
武士を嫌ってヤクザになったりゃんこの弥太郎は、旅の途中、世話になった恩人が闇討ちにあった事を知り、その娘を助けるために舞い戻る。これまで多くのスターが演じてきた子母沢寛原作の名キャラクターに、市川雷蔵が颯爽と扮した股旅仁侠映画。
原作は「銭形平次」の野村胡堂で、雷蔵演じる万五郎は、雷蔵の当たり役である〈若様もの〉の系統に連なるもの。あばれ若様の名が示すとおり、飛んで走って斬りまくるなど、その立ち回りは必見。また撮影の本多省三、監督の森一生といった雷蔵の前作『弥太郎笠』の主要スタッフが再結集、ベストメンバーで雷蔵の魅力を余すところなく描いた。
脚本を衣笠貞之助と犬塚稔が手がけ、森一生が監督した正調股旅もの。十八番の股旅ものを雷蔵が颯爽と演じている。
日露戦争の勝敗の鍵を握った男たちの姿を描いた戦争スペクタクル。『どん底』のコンビ、黒澤明と小国英雄の共同脚本作品。明治38年、満州。敵軍ロシアの情勢を探るため、建川中尉(菅原)、豊吉斥候兵(北原)以下4名の斥候兵は、三百里に及ぶ雪原を進んでいた。彼らは幾度の危難を乗り越え、やがて敵軍を発見するが。
市川雷蔵が密使を演じるサスペンス時代劇。物語は密書を巡っての追いつ、追われつのスリルとサスペンスに主眼が置かれているが、そこは雷蔵映画らしく、ヒロインだけではなく、女密偵を物語に絡めることで、雷蔵の魅力を上手く引き出している。
当時、大映の看板スターとして人気絶頂だった山本富士子の主演作で、森一生が監督した58年8月公開作品。山本演じるおしのは、復讐の手段のため、芸者、薬売り姿などに変装するが、若侍姿は山本の映画界入り初の男装だった。同名主題歌も山本が唄っている。雷蔵は十八番の旗本次男坊の剣士役を演じて場をさらう。
『人肌孔雀』のヒットにより、山本富士子と雷蔵の「人肌コンビ」第2弾として前作とほぼ同じスタッフで製作、59年1月に公開された作品。山本は若衆姿、町娘、虚無僧、踊りの師匠、鉄火女など、前作を上回る七変化を見せ、同名主題歌を歌っている。雷蔵は遊び人風の謎の男、実は幕府目付役の剣士を演じ、要所で顔を見せる。
大勢力の今川義元と相対していた若き織田信長は、敵と通じる味方の武将や、老臣の策謀を知りながら泰然自若、周囲からうつけ者と呼ばれていた。忠臣・平手政秀の自害を乗り越えて成長する信長が、桶狭間(おけはざま)の戦いに至るまでを描き、荒武者と知将という二面性をもった戦国の風雲児を市川雷蔵が好演。大佛次郎の歌舞伎劇の映画化で、雷蔵の懇願により市川染五郎(現・松本幸四郎)が小姓役で出演し話題となった。
日増しに高まる次郎長人気を快く思わない大親分の黒駒勝蔵(滝沢修)。浜松の大貸元の跡目披露の席で、次郎長(長谷川一夫)に詰め寄り修羅場になりかけるが、二代目に止められ事なきを得る。それでも、次郎長を叩く機会を虎視眈々と狙う勝蔵は、次郎長の留守をよいことに、府中で武井安五郎(香川良介)に賭場を開かせる。これを知った大政(黒川弥太郎)たち清水二十八人衆は賭場になだれ込み。
時は元禄7年、高田馬場の決闘の助勢にかけつけようと道中をひた走る中山安兵衛(勝新太郎)は、旗本・丹下典膳(市川雷蔵)から襷の不具合を忠告される。気にかかった典膳は馬場へ赴くが、安兵衛の対する相手が同門知心流の村上兄弟だと知ると、公用の最中でもあり、その場から立ち去った。そのことがきっかけとなり、二人は数奇な運命を辿ることになる。
後の大映映画を支えていくことになる市川雷蔵と勝新太郎の共演作。忠臣蔵の外伝的ストーリーで、安兵衛と典膳の交流を軸に悲恋を絡め、二人のキャラクターを浮き彫りにしていく。カツシンは白塗りの二枚目を売りにしていた頃で、アウトローな魅力はまだなりを潜めているが、人間味あふれる安兵衛を熱演。原作は五味康祐。