J:COMで放映された映画をベースに、今まで観た映画、これから観たい映画を順次、整理し、並べてみます。ご活用下さい。
勅使河原宏の監督デビュー作。当時、浮世絵師・葛飾北斎に傾倒していた勅使河原宏が、『北斎漫画』『富嶽百景』などに描かれた風刺性と人間性に焦点をあてたドキュメンタリー。
若き日の勅使河原宏が、父親である草月流初代家元、勅使河原蒼風の創作活動に迫った作品。いけばなの起源と歴史、明治以降の発展のあり方なども掘り下げ、刺激に充ちた内容となっている。
日本に実験映画を根付かせる目的で、記録映画作家・羽仁進や映画監督・川頭義郎ら8人で結成したグループ“シネマ57”が製作したドキュメンタリー。1958年のトウキョウと江戸を対比させたユーモラスな作品。
当時まだ駆け出しのプエルトリコ出身のプロボクサー、ホゼー・トレスを追った2部構成のドキュメンタリー。第1部では破竹の勢いで勝利を収めてゆくホゼーの勇姿と、白人社会の中でどこまでも異邦人である彼の孤独が、対照的に描かれる。
不況に追い込まれた北九州炭鉱地帯。炭鉱の労組、第一組合と第二組合の反目を利用して組合潰しを目論む会社が、ある貧しい炭鉱夫(井川)を雇う。第二組合長(井川・二役)の替え玉として、顔がそっくりな炭鉱夫を殺し屋X(田中)に殺させ、 疑心暗鬼に陥った両組合長が殺し合い自滅するという筋書きである。事態は目論見どおりに進むが、炭鉱夫の息子が一部始終を目撃していた。安部公房の短編「煉獄」をベースに安部自身が脚本化。勅使河原宏監督の長編劇映画デビュー作。
前作『いけばな』から7年後。勅使河原宏が、父・勅使河原蒼風に再びカメラを向けたドキュメンタリー。国際的アーティストとして注目を集めるようになっていた蒼風の前衛オブジェは、よりダイナミックで大胆なものになっている。
安部公房が自らの小説を脚本化、勅使河原宏が監督しカンヌ国際映画祭審査員特別賞など数々の映画賞に輝いたシュールな人間ドラマの傑作。砂丘地帯に昆虫採集に来た教師が、砂の穴にある女(岸田)の家に泊まったことから囚われの身となる。文明の囚人となった現代人を象徴的に描き、見るものに強烈なショックを与える作品。劇場封切り時の147分版とカンヌ映画祭出品時に短縮した122分版の二つがあり、カンヌ以降勅使河原監督は122分版を正式版とし、2002年にDVDが発売されるまで147分版はこれまで上映されていなかったという。
第1部から6年後、『砂の女』でアカデミー賞授賞式に招待されたのをきっかけに第2部を企画。いよいよ世界タイトル戦に向かおうとするホゼーの姿が、試合のみならず、多角的な視点で捕らえられている。
カナダの国立フィルム・ボードが企画した、4ケ国合作オムニバス『思春期』の中の日本篇。製パン工場の女子寮に住む16歳の少女・アコの日常を描いた、ドキュメンタリー・タッチの短編。全体が清々しい青春の生気と躍動感に満ちている。
事故で顔に大火傷を負い、全ての対人関係を失ったと感じた男は、自分と全く異なる顔の仮面を被り、自分の妻を誘惑してみるが。安部公房原作を『おとし穴』『砂の女』の主要キャストが総出演した安部公房、勅使河原宏コンビによる3作目。ビアホールのシーンには音楽を担当した武満徹や、美術協力の磯崎新もチラリと登場している。キネマ旬報ベストテン第5位
失踪者を探していた興信所員が、やがて自分自身を見失い、ついには自分が失踪者と化してしまう。勝新太郎のプロデュース兼主演で作られた、安部公房原作、勅使河原宏コンビによる第4作目。勅使河原にとって唯一のスタジオ映画であり、唯一のスコープ作品。キネマ旬報ベストテン第8位。現在、日本語タイトルネガ散逸のため、本編タイトル、クレジットは英語版が使用されている。
ベトナム戦争に沸き立つ岩国基地の歓楽街で働くホステス・礼子は、ふとしたはずみから脱走兵を居候させることになってしまう。ベトナム反戦運動、沖縄闘争などで社会が揺れ動く中、脱走兵の日本での逃亡生活に焦点をあて、安部公房との一連の作品に通じる人間の自由と連帯というテーマを掘り下げた作品。キネマ旬報ベストテン第9位
スイスの彫刻家、ジャン・ティンゲリーが1963年に初来日した際、撮影したリールを、18年後に再編集したドキュメンタリー。ナレーションの台詞を執筆したのは、詩人の大岡信。
勅使河原宏に「僕の生涯で最大の驚きのひとつ」と言わしめたスペインの天才建築家、アントニー・ガウディをめぐるドキュメンタリー作品。本編中に挿入される16ミリのシークエンスは、監督が1959年に初めてヨーロッパを訪れた際に撮影されたもの。
「茶の湯は御政道なり」と言われた時代。織田信長、豊臣秀吉という二人の権力者に茶頭として仕えた千利休が、権力闘争の渦中に身を置きながらも、ひたすら茶の道を追求していく様をドラマチックに描いた野上彌生子の「秀吉と利休」の映画化。劇中に登場する生花は全て勅使河原宏の手によるもの。モントリオール映画祭最優秀芸術賞受賞
秀吉の養女として奔放に育った豪姫と、利休亡き後の反骨の茶人・古田織部。時の権力者・徳川家康におもねることなく自由を貫いた二人の生き様をダイナミックに描いた富士正晴の同名小説の映画化。『利休』の姉妹編とも言える内容で、勅使河原宏の遺作となった作品。
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