J:COMで放映された映画をベースに、今まで観た映画、これから観たい映画を順次、整理し、並べてみます。ご活用下さい。
美貌の人妻をめぐる兄弟の破滅的運命をドライに描き、ヌーヴェル・ヴァーグの作家たちにも影響を与えた画期的作品。『太陽の季節』で芥川賞を受賞した石原慎太郎の小説を映画化、弟・裕次郎が初主演した。相手役は裕次郎憧れの北原三枝。この共演が二人の運命的な出会いとなった。
中平康が『狂った果実』と同年に、北原三枝を主演に迎えてメガホンを取り、女性版太陽族映画として公開されたセンセーショナルな作品。因みに北原三枝が石原裕次郎と出会ったのは、本作の撮影中のことだった。姉の婚約者を紹介された陵子は、驚きで立ちすくんでしまう。その男こそ陵子がかつて衝動的に身を任せた相手だったのだ…。
中平康が『狂った果実』と同年に発表したスラップスティック・コメディの伝説的傑作。白いツナギ服にガンベルトを装着し、二丁拳銃式に牛乳を配達するフランキー堺のエネルギッシュな活躍ぶりが何とも楽しい。『狂った果実』のセルフ・パロディも登場。長州の山奥から上京した六平太は、遠縁の牛乳屋に住み込んで、商売仇のブルドッグ牛乳店から店を守ろうと大奮闘。
わざと落とした定期券から生まれた二組の男女の恋の駆け引きを、アコーディオンの音色に乗せて軽快なテンポで綴った永井龍男原作のソフィスティケイテッド・コメディ。劇中で流れる中平監督作詞によるシャンソンも印象的。能瀬の弟はわざと定期を落として、それを機に、拾った人と交際を始めるという遊びをしていたが。
三島由紀夫のベストセラー小説を映画化。月丘夢路が満たされた生活を送りながら不貞の愛に溺れるヒロインに扮する。上流階級の夫人・節子(月丘)は、平穏な暮らしに物足りなさを感じ始める。かつて1度だけキスをした青年・土屋(葉山)と会うようになり、いつしか肉体関係をもつ。その後、節子は妊娠、そして中絶。土屋との関係を精算しようとするが。
破傷風にかかった少年を救うため、民間航空のパイロットが血清を持って八丈島へセスナで飛び発つ。だが乗客の中に殺人犯が紛れ込んでいて。『翼よ!あれが巴里の灯だ』を意識して作られ、大ヒットを記録した航空アクション。
モダニスト・中平の手腕が光る名編。轟夕起子扮する昔気質の商家の女将と、うすらぼんやりした主人・大坂志郎のやりとりが絶妙だ。これが映画デビュー作となる吉行和子もキュート。また京都の老舗カフェイノダコーヒーなど当時の町並みも楽しめる。京都の老舗表具商・松江堂の主人・市松は、妻・登代の尻に敷かれっぱなし。そんなある日、登代は次男夫婦を同居させるべく、2階に下宿している未亡人を追い出そうと画策するが。
中平康が60年安保当時のとある私大を舞台に、大学生風俗を軽妙に描いた曾野綾子の「キャンパス110番」を原作とした風刺喜劇。演劇狂の山本、女たらしの学生社長、行動派のリーダー格・ノエミら芳土大学の仲良しグループは卒業間近。そんなある日、潔癖症の晃子が不良に犯され、コールガールに転落してしまう。
中平康監督による菊村到原作の和製スクリューボール・コメディ。気風のいい江戸っ子カメラマンの耕平は、ある日東京探検というテーマで仕事を依頼される。だが担当の女性アシスタントが生意気で。二人は何かとぶつかりながら、東京の名所を撮影していく。
都心をはなれた丘の上にある自由な雰囲気の大学を舞台に、石原裕次郎と芦川いづみふんする男女の恋愛と二人の家庭をとおして、若者たちの底抜けに明るい生き方を描く。週刊誌に連載された石坂洋次郎の小説を材にとって描いた喜劇タッチの青春映画。スキーで負傷した裕次郎の全快第1作で裕次郎の新しい一面を描いてヒットした。
当時としては画期的なオール海外ロケ(ロケ地はエジプト)で作られた、裕次郎主演のアクション超大作。ピラミッドや砂漠などを大胆に取り入れた、エキゾチックな作品となっている。温室育ちの真太郎は、広い世界を見るために旅に出ることを決意。彼は飛行機の中で行方不明の両親を探しているゆり子と出会い、一緒にカイロに向うが、そこで人民運動に巻き込まれてしまう。
時間と金を持て余した若者たちが軽井沢で殺人未遂事件に巻き込まれた。事件の真相を追ううちに、その事件が日本の裏社会を左右するものだと知り。殺し屋役の葉山良二が”眠狂四郎”と名乗る楽屋オチも楽しい、青春群像劇。原作は柴田錬三郎。
宍戸錠扮する、ガラスを擦る音にはまったく弱い“ガラスのジョー”というキャラクターが可笑しい中平康監督作。
チンピラの次郎は、新宿の繁華街で不良学生にからまれていた外交官令嬢の真美を助ける。その後、二人はデートをかさねる仲になっていくが、犯罪の中で生きる次郎と、父親の赴任で外国に行くことになった真美には別れの日が近づき。若い男女の哀切を、『狂った果実』の異才・中平康監督が、藤原審爾の原作をもとに吉永小百合・浜田光夫の純愛コンビを得て撮りあげた日本青春映画史に名を残す名作。
刑務所帰りの兄は堅気になる決意をしていたが、組長殺しの犯人に仕立て上げられて殺されてしまう。兄の汚名を晴らすため、弟が真相究明に立ち上がる。吉永小百合と浜田光夫コンビによる青春アクション。
大学の文学部を卒業した同窓生たちが、恋や仕事を通して成長していく様子を綴った石坂洋次郎の原作を、中平康監督が軽快なタッチで描いた青春群像劇。作家志望の勝気な才女役の吉永小百合がキュートでかわいい。作家志望の美枝子は同窓生・野坂の肉体に惹かれていた。しかし、愛の告白を躊躇しているうちに、野坂は同窓生の和子と結ばれてしまう。
港町・ヨコハマを舞台に、男を喜ばすことが人生の生き甲斐という小悪魔・ユカをめぐる恋愛ゲームを異能派・中平康監督が技巧を尽くして描いた異色の快作。初老のパトロン(加藤)を持ち恋人(中尾)がいて肉体は許すがキスはさせないというユカに加賀まりこが扮してキュートな魅力を発揮する。
ダイスの勝負が原因でヤクザに恋人と兄を殺された天才賭博師・氷室浩次が、国際賭博団を相手にダイス、カード、ルーレットで対決するアクション。ギャンブラー・シリーズ第6弾。
小林旭が国際刑事警察(インターポール)の捜査官に扮した刑事アクション。監督は『狂った果実』の中平康。バンコクで二つの死体が発見され、国際刑事警察特別捜査官X1005号・通称辺見真介が現地に飛んで調査を開始した。やがて捜査線上に、ニセドル偽造団の存在が浮かびあがる。
清純派・芦川いづみが、コールガールに転落し、男遍歴を重ねていく女に体当たりで挑んだ異色作。婚期を逃し結婚相談所を訪れた島子は、紹介された初老の男に処女を捧げてしまう。しかも結婚相談所というのは名ばかりで、実はコールガール斡旋業だったことを知る。
天才賭博師・氷室浩次への刺客として、ギャンブル王国パンドラ(王様は大泉滉!)から3人のギャンブラーが東京に送り込まれ、さまざまなギャンブル合戦を繰り広げる。ギャンブラー・シリーズ第8弾(最終作)にあたる荒唐無稽度200%の作品。
一等航海士の弘志が久しぶりに海から戻ると、養父が何者かに殺されていた。孤児だった弘志を立派な男に育て上げてくれた養父に報いるため、彼は犯人を探し始める。アイ・ジョージのヒット曲にのせて、マドロス姿の渡哲也が正義のために暴れまくる痛快アクション。
アメリカから帰国したスパイダースの7人の身辺で物騒な事件が連発。どうやら犯罪組織に狙われているらしい。アメリカで買ったタンバリンとアタッシェケースが原因のようだが。演奏シーン満載!これぞスパイダース・フルコースだ!脚本は倉本聰と伊奈洸。
五木寛之の官能小説を映画化した中平康監督の遺作。1972年、夏。人妻の杏子(麻生)はパリで偶然、十数年前の学園闘争の同志で恋人だった森井(佐藤)に再会し、一夜を共にする。森井は今もなお国際的政治組織に加担し、日本を追放同然に出てきたのだった。過去を引きずる男と過去を捨てた女の、再生の夢を賭けた恋をめくるめくセックスの官能の中に描く。写真家の浅井慎平が初めて映画カメラマンとして参加、南仏のオールロケが美しい異色作。