J:COMで放映された映画をベースに、今まで観た映画、これから観たい映画を順次、整理し、並べてみます。ご活用下さい。
東北の寒村にある小さな分教場に、転校生がやってきた。子供たちは、彼が二百十日の風で運ばれて来た“風の又三郎”だと信じ込んでしまう。俳優から監督になって間もない島耕二が演出を担当。宮澤賢治の原作(青空文庫図書カード「風の又三郎」)を映画化したこの作品は、日本児童映画史上最高の作品の一つに数え上げられる、詩情あふれるもの。
朝日新聞連載中に作者の太宰治の自殺によって中断された未完の小説「グッド・バイ」の映画化。プレイボーイとして有名な雑誌「オベリスク」の美男編集長・田島(森)。彼は社主からとある令嬢の政略結婚を脅迫され、現在付き合っている4人の女に「グッドバイ」と別れを告げるハメに。別れ話をスムーズに進めるために、田島は仮のワイフとして何も知らぬ田舎者のきぬ子(高峰)を伴い、4人の女の許を一人一人訪れるが。
あの娘可愛いやカンカン娘 作曲家・服部良一と作詞家・佐伯孝夫がこの映画のために作った歌「銀座カンカン娘」をもとに、山本嘉次郎が脚本執筆、島耕二がメガホンをとった傑作歌謡映画。公開後、主題歌「銀座カンカン娘」は大ヒットした。落語家・新笑(五代目・古今亭志ん生)の家に居候する3人(高峰・笠置・灰田)が、お金を稼ぐために銀座のバーからバーへ流しながら歌を歌う。終盤の志ん生の落語シーンは圧巻。
復興に沸き立つ東京を舞台にした女性記者と覆面作家の洒脱なラブコメディ。轟夕起子が颯爽としたヒロインに扮し、相手役には森雅之。香川京子はヒロインの妹役で登場する。独身主義者の雑誌記者・範子(轟)は、話題の作家・吉岡花子に仕事を依頼したくてたまらない。ライバル出版社の館(森)と取材をめぐってやりとりするうち、2人の心は徐々に接近し合う。しかし範子は吉岡花子の正体が館であることに気づいていなかった…。
ケストナー原作のベストセラー「ふたりのロッテ」を映画化。夏期林間学校で出会った瓜二つの少女、ひばり(美空)とすみれ(美空=2役)。初め、ひばりはすみれにいたずらばかりして困らせるが、ある事件がきっかけで二人が双生児であることが判明する。やんちゃなひばりと心優しいすみれと性格が相反する2役を、美空ひばりが器用に演じ分けた。
川口松太郎の小説を原作に、『細雪』の島耕二が監督した悲劇の愛憎ドラマ。大正期、北陸での演習中に事故によって大腿部を損傷した高島少佐(岡)は、妻・朋子(轟)との間に子供を作ることをあきらめざるを得なかった。ある日、高島は自分の肖像画を描いてもらうために画家・酒井(宇野)を招き入れるが、酒井と朋子が一夜の過ちを犯し、朋子が妊娠してしまう。
一本気な柔道家と野心家の女性デザイナー。正反対の世界に生きる男女の恋愛を描いた三島由紀夫の原作小説を映画化。山本富士子が、ファッショナブルなモダン・ガールをさっそうと演じる。若き柔道家・栗原(三田)は、遠征試合の地であるパリで、デザイナーの美子(山本)と出会う。一目で美子に惹かれる栗原だが、彼女には旧知の仲のパトロン・金杉(上原)がいた。さらに金杉の妹・桃子(木村)は、実直な栗原に恋をする。
過去に何度も映画化された尾崎紅葉の代表作(青空文庫図書カード「金色夜叉」)を島耕二が監督。根上淳と山本富士子が悲恋の恋人同士、貫一とお宮に扮する。熱海で貫一がお宮を蹴り飛ばすシーンは一番のハイライト。苦学生の貫一(根上)とお宮(山本)は将来を誓い合った仲だが、お宮の両親は富豪の富山(船越)との結婚話を決めてしまう。お宮を追って熱海へ飛んだ貫一は「金に目がくらんだ」とお宮を足蹴に。留学の夢も学問も捨てて、貫一は非情な高利貸しになる。
「幻の三冠馬」と言われたトキノミノルをモデルにした、ある競走馬の一生。大映の社長・永田雅一がオーナーであり、トキノミノルの死後4年後に製作された。監督は『次郎物語』の島耕二。白石牧場で生まれた仔馬のタケルは山火事に巻き込まれ、牧場主の弥助(見明)に救われるが弥助は命を落としてしまう。成長したタケルは競走馬になるが、デビュー戦で騎手を振り落とし失格に。しかし次第に本領を発揮してダービーを目指す。
日本初のSFカラー映画であり、画家である岡本太郎が宇宙人のデザインや、色彩指導を行った異色のカルト作品。ある日、湖でキャンプをしていた高校生が水中より現れるヒトデ形の軟体生物を目撃する。同じくして、湖で溺死しかけているところを助けられた銀子と名乗る美しい女性は、人間とは思えない身体能力や不思議な能力を見せるようになっていき、自らパイラ人という宇宙人であることを告白する。地球にやって来たパイラ人の目的とは。
静岡県に建設中の井川ダムで、水門の水漏れ修理をしていた潜水夫が8トンの水圧で浮上できなくなるという事件が発生。実際に起きたこの事件の9時間に及ぶ救出劇を映画化。ドキュメンタリータッチを出すために、大映東京撮影所俳優部147名を総動員したという異色作。
あなたを待てば雨が降るあなたとわたしの合言葉 有楽町で逢いましょう フランク永井の大ヒット曲で、今はなき有楽町そごうデパートのイメージソング「有楽町で逢いましょう」をもとにした青春ドラマ。フランス帰りの新進デザイナーでそごうデパートのファッションショーも手掛ける亜矢(京)は、女子大生・加奈(野添)の兄・練太郎(菅原)から自分がデザインした服をバカにされ怒り心頭。亜矢の弟・武志(川口)と加奈の交際に関しても二人はことごとく対立するが。
『金色夜叉』(1954年)の島耕治が監督、長谷川一夫が一心太助に扮する痛快時代劇。三代将軍の教育係を命じられた魚屋・一心太助が、三代目を継ぐ竹千代に江戸っ子の心意気を教えてゆく。徳川二代将軍・秀忠の嫡男・竹千代(川口)は弟の国松を世継ぎにしようと目論む一派から命を狙われる。忠実な部下・大久保彦左衛門(中村雁治郎)は、出入りの魚屋・一心太助(長谷川)に竹千代をあずけ、江戸庶民の実情を身をもって教えようとする。
人妻の性と愛のモラルを追求した問題作。主婦の明子(山本)は、スケート場で出会った大学生の俊男(川崎)と恋に落ちた。しかし、俊男を密かに慕う同級生・一枝(叶)が、この情事を明子の夫(佐分利)に密告して。太田経子の同名小説を女性心理の描写に定評のある島耕二監督が映画化。
義母と上手くいかず父にも反抗的な進一。自活する決心をした進一は、知り合いの女に勧められてジャズ喫茶で働き出す。そんな時、父は息子に黙ってその店に融資するのだが。二組の男女の恋愛と親子の愛情の機微を描いた青春映画。
清純な大阪の姉と、奔放な東京の妹を山本富士子が一人二役で演じる。菊田一夫の原作を「俺たちは狂っていない」の舟橋和郎が脚色、「息子の結婚」でコンビを組んだ島耕二が再びメガホンをとる。大阪船場の綿布問屋の娘・千佐登(山本)は、傾きかかった店を立て直すため金策に追われていた。車中で知り合った興信所の探偵・修助(菅原)に、バーテンダーと東京へ駆け落ちした妹・真佐枝(山本・二役)の調査を依頼するが…。
やもめの会社社長と小唄の美人師匠の仲を、社長の娘とボーイフレンドが取り持とうとするが。7組の男女の恋愛がもつれて、離れたりくっついたり、大騒動が巻き起こる。大映オールスターによるラブ・コメディ。
城山三郎の直木賞作品「総会屋錦城」を島耕二が映画化した異色文芸大作。「総会屋錦城」の異名を持つ内藤錦城(志村)のひとり娘の美和子(叶)が、息子を連れ嫁ぎ先の芦屋から戻ってきた。そんな折り、大洋銀行の乗っ取りを画策する総会屋・扇山富朗(山本礼三郎)の魂胆を知った銀行側は、錦城に臨時株主総会に出席してほしいと懇願するが・・・。総会屋として生き抜いた男・錦城の一生を描く。
市川雷蔵主演による悲恋時代劇で、雷蔵は頭を青々とそり上げた坊主姿となって熱演を見せている。また勝気な清姫を演じる若尾文子が放つ妖艶な魅力もみどころ。撮影は大映京都で行われたが、監督の島耕二、撮影の小原譲治は大映東京撮影所で数々の現代劇を手掛けていたコンビであり、本作は時代劇でありながらも、現代的な視点を取り入れたロマンチックなメロドラマとなっている。
大映の初代社長でもある菊池寛が文壇で名声を得るまでの半生を、親友との友情を交えて描かれる。高松中学の五年生、菊池寛(フランキー)と綾部健太郎(船越)は、親友同士。互いに別の進路に進むことになり、2人は励ましあって別れた。小説家を目指す菊池はやがて京都帝大に入り、綾部と再開する。綾部は貧しい菊池を下宿先に呼び入れ一つの丼を分け合うなどして気を遣い、2人の友情はさらに高まる。やがて歌舞伎に不満を持ち、真のリアリズムドラマを、という菊池の考えを聞いた綾部は、劇の上演に奔走するが。
複雑な過去を持った男を愛したヒロインが体験する冒険を、南米のリオやサンフランシスコでロケした三島由紀夫原作の痛快ラブ・ロマンス。田宮二郎演じる主人公のモデルは、三島由紀夫と親交のあった作家・安部譲二。旅行で乗った飛行機で、冴子(高)はスチュワードの宮城(田宮)に一目ぼれ。しかし彼はスパイ容疑や拳銃不法所持で逮捕された複雑な過去を背負っていた。冴子の純真さに惹かれる宮城だが、彼には背後から指示を出す謎の男がいた。