J:COMで放映された映画をベースに、今まで観た映画、これから観たい映画を順次、整理し、並べてみます。ご活用下さい。
監督の篠田正浩が、寺山修司と水沼一郎の3人で共同執筆して脚本を描きあげた青春映画。横浜の港を舞台に、通称サブこと水上三郎とウエイトレスのユキとの淡くせつない恋と男の壮絶な人生を描き出す。サブは海運会社の支配人、木谷という男にある理由から絶対服従になり、命令で敵対する男をリンチし、誤って殺してしまう。しかし、その殺した男は恋人ユキの父親だった。裏切らなければ、生きられない。過去を封印しながら生きる現代人の孤独と怒りが描き出されている。
司馬遼太郎の「幕末」に収められた短編小説「奇妙なり八郎」を原作に、篠田正浩監督が映画化。動乱の幕末に生きた文武両道の志士、清河八郎は豪快で奇怪な行動により、誰からも真に理解されることはなかった。結果、勤皇・佐幕の両派から命を狙われ、若くして非業の死を遂げる。この“奇妙な男”、清河八郎を丹波哲郎が演じ、幕末に生きた剣士の野心と情熱をつづった歴史ドラマ。
作家・大木は妻子ある身でありながら、女学生の音子を妊娠させてしまったという過去を持っていた。それから20年後、大木は画家となった音子と再会するが、音子の弟子・けい子に心惹かれてしまう。しかし女二人も愛し合う仲で。原作は川端康成の同名小説。加賀まりこと八千草薫が美しすぎる!
戦時中、軍によって太平洋の孤島に流され、地獄の責め苦を受けた少年が、20年後ある目的のために島に戻ってきた。武田泰淳の『流人島にて』を石原慎太郎が脚色、篠田正浩が松竹を退社後初めて監督した文芸大作。
紙屋治兵衛(中村)は、妻・おさん(岩下)と2人の子供がありながら、遊郭に通いつめ、遊女・小春(岩下・二役)と深い仲になる。彼女に身請けを迫っていた成金の太兵衛(小松)に先んじて小春を身請けした治兵衛だったが、身請金を工面した妻に去られ、財産も底をつき、残された道は心中しかなかった。近松門左衛門の浄瑠璃を、画面に黒子を登場させるなどの実験的な手法と既に少なかったモノクロ映像で映画化。音楽は武満徹。
1972年に、アジアで初めて開催された冬季五輪・札幌オリンピックの11日間をとらえたドキュメンタリー映画。選手の会場入りから、各競技はもちろん大会終了後の解散までを追い、東京オリンピックより1億円多い予算で製作された超大作。52台のカメラを用い、テレビ放映では難しい際どいアングルからの迫力ある映像が魅力。フィギュアスケートのジャネット・リン、ジャンプの笠谷幸夫など、当時のスター選手の競技も見どころ。
日本古代の「耶馬台国」に秘められたエロス、政治、宗教のタブーに挑んだ時代劇。2つの勢力の宗教的争いに巻き込まれ、悲劇的生涯をとじた卑弥呼を通して、日本人の根源的な美意識を描く。監督は『スパイ・ゾルゲ』で引退を表明した篠田正浩。神託で政策を決めていたヒミコ(岩下)は、異母弟・タケヒコ(草刈)を愛し、自らの神託を乱す。だが、彼は遠い国から自分を募ってきたアダヒメ(横山)を愛していた。
北陸の美しい四季を背景に、三味線や歌で各地をめぐって生計を立てる盲目の“瞽女”の姿を描くドラマ。厳しい生活態度を強いられる瞽女の1人・おりんはある男と関係をもったことから、‘はなれ瞽女’に。ある夕暮れ、おりんは1人の大男と出逢い、奇妙な二人旅が始まる。水上勉原作を篠田正浩が映画化。主演の岩下が1977年度日本アカデミー賞、同年度ブルーリボン賞で主演女優賞を受賞。撮影の宮川一夫が同年度日本アカデミー賞技術賞受賞。
1960年代の高度経済成長期を背景に、瀬戸内海の“悪霊島”と称される不気味な小島で巻き起こる殺人事件の謎に、名探偵・金田一耕助が驚異の推理力と行動力で挑んでいく。金田一耕助(鹿賀)は、アメリカで億万長者になった越智竜平(伊丹十三)の依頼で岡山へ赴くが、その尋ね人が怪死したことを知り、真相を究明すべく刑部島に渡る。そこはつい先ごろ、ある男が「鵺の泣く夜には気をつけろ」と謎めいた言葉を遺して死去していた島でもあった。横溝正史原作。
作詞家・阿久悠の直木賞候補作となった自伝的小説を映画化した名作。昭和20年、敗戦直後の混乱期にある瀬戸内・淡路島の国民学校を舞台に、野球に熱中する子供たちの姿を、瀬戸内の美しく穏やかな四季を背景に描く。民主主義的教育への熱意を人一倍持った美しく聡明な女教師・駒子先生を好演して強い印象を残した夏目雅子の遺作となった。渡辺謙は、駒子の夫・正夫(郷)の弟で駒子を力ずくで自分のものにしようとする鉄夫役で映画デビューを飾った。ヒロインの少女や野球団の少年たちはすべて公募で選ばれた。
森鴎外の不朽の名作[図書カード-青空文庫][原文テキスト-私立PDD図書館]を篠田正浩監督が映画化。政府の命でドイツに留学した医学生・太田豊太郎はドイツ人の踊り子エリスと恋に落ちるが、そのことが原因で政府から任を解かれてしまう。豊太郎はエリスとの愛を貫こうとするが、親友から母が自殺未遂した事を知らされ、日本への帰国を促された彼は苦悩のふちをさまよう。『ラストエンペラー』でアカデミー作曲賞を受賞したコン・スーによる中国楽器を駆使した重厚な音楽が見事。
第二次世界大戦の状況が悪化の一途をたどる昭和19年に、東京から富山に疎開してきた小学5年の風間進二と、ガキ大将の武の友情とかっとうを描いた感動作。柏原兵三の自伝的小説『長い道』を藤子不二雄Aが『少年時代』として漫画化したものを、山田太一が脚本を務め、篠田正浩監督が映画化。井上陽水の同名主題歌もヒットし、日本アカデミー賞最優秀作品賞を受賞した。
江戸時代後期、わずか10ヶ月という短い期間に、約140点もの浮世絵を世に出し、こつ然と姿を消した謎の天才浮世絵師、東洲斎(とうしゅうさい)写楽。生没年も不明で、彼については様々な説がある中、写楽にほれこんだフランキー堺が故・川島雄三監督との約束を果たすべく長年研究して温めてきた企画を、篠田正浩が映画化。デジタル技術を駆使して見事に江戸の町並みを再現している。
司馬遼太郎の直木賞受賞作を、『スパイ・ゾルゲ』の篠田正浩監督で映画化した忍者活劇。織田信長の伊賀忍者大虐殺から10年。伊賀忍者・葛籠重蔵は、山中でひとり無為の日々を送っていた。そんな重蔵のもとへ太閤秀吉暗殺の依頼がくる。信長への怨念を秀吉に重ねる重蔵だったが。くの一役で鶴田真由、葉月里緒菜が出演。デジタル技術を駆使して再現された、安土桃山時代の大坂城や京の街並みも見どころ。
二・二六事件、ノモンハン事件、独ソ開戦など日本政府の最高機密情報を約8年間に渡って盗み出し、モスクワに送り続けた実在のスパイ、リヒャルト・ゾルゲ。日本の特高警察に逮捕された時、「もはや日本に盗む機密は何もない」と豪語した程の情報収集能力を持つと同時に、透徹した目を持つジャーナリストであり、プレイボーイ。そんな彼の半生を、彼と共にスパイ活動に殉じた日本人ジャーナリスト・尾崎や、ゾルゲを支えた女たちのエピソードを交えて描く。『瀬戸内少年野球団』などで知られる巨匠・篠田正浩監督が10数年もの間温めてきた積年の企画をついに映画化!監督自身「この映画の後には何も浮かばない」と、本作を最後に引退表明をしたことや、昭和初期の街並みをCGで再現したことも話題になった。
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