J:COMで放映された映画をベースに、今まで観た映画、これから観たい映画を順次、整理し、並べてみます。ご活用下さい。
名匠・五所平之助の戦後第一作となった高見順原作の純愛映画。一度は引き裂かれた恋人同士が、戦後に再び結ばれるまでを描く。大学を出た後、医師として働きながら社会運動に参加する野上(龍崎)は、友人の芝居を観に行き暁子(高峰)と出会う。次第に二人は恋心を募らせていくが、ある日、野上は活動の関係で検挙されてしまい・・・。ニコライ堂の前で逢瀬を重ねるロマンチックなシーンが印象的なラブストーリー。
恩師の妻に恋をしてしまった青年の苦悩と三角関係の行く末を描いたラブロマンス。戦後の裕福な別荘を舞台に繰り広げられるメロドラマ。大学教授稲垣博士(菅井)の弟子・川崎(龍崎)は、博士の年若い妻・幸子夫人(濱田)が自分の亡き妻に瓜二つであることに心が揺れる。ある日夫人と幼い姪を連れてボートで遠乗りし、大雨に降られ近くの旅館に一泊する。その晩、川崎は夫人に自分の想いを告白するが。
五所平之助監督が前作『面影』より数年の時を経て発表した作品。農村を訪れた女学生が土地の人々と触れ合ううち自分の生き方を見つめ直す。往年の松竹女優、川崎弘子がヒロインを見守る土地の女性を好演。農村の風俗研究で信州の小さな町を訪れた真砂子(沢村)は、突然倒れて軽い肺炎と診断される。旅館の仲居おせん(川崎)に介護され、人々の真っ直ぐな生き方を眺めるうち真砂子は義母に冷たく接していたこれまでの自分を反省する。
『今ひとたびの』に続く高見順原作の朝日新聞連載小説を五所平之助が監督。高峰秀子が2人の男性から愛されるオフィスレディを颯爽と演じる。有能な社長秘書の篤子(高峰)は社長の外遊中に外国人バイヤーから大仕事をもらい、同僚社員の梶五郎(岡田)の協力を得て奮闘する。だが様々なトラブルが発生し篤子はライバル会社の伊能田(池部)による妨害工作と憤るが、逆に伊能田は陰から篤子を助けていた。飄々と仕事をする伊能田の姿にいつしか篤子は惹かれていき。
4本の煙突が見る場所によっては2本にも3本にも見える通称“お化け煙突”がある北千住。弘子は戦争で行方不明になった夫との籍は残しながら、別の男と同棲していたが、二人の家の前に、ある日赤ん坊が捨てられていた。下町に暮らす人々の哀歓がユーモアを交えてほのぼのと描き出される。田中絹代、高峰秀子ら名優たちの味のある演技も見どころ。原作は椎名麟三。
東京から大阪へ左遷されたサラリーマンが下宿先で様々な人間と出会い、交流を深める水上瀧太郎の原作による人情ドラマ。五所平之助監督の代表作の1本であり、脚本家・八住利雄と共同で脚本も手がけた。保険会社に勤める三田(佐野)は組合運動に参加して上司を殴り、大阪へ左遷される。下宿した安旅館の酔月荘には、ヒモ亭主に貢ぐ女中おりか(水戸)や気のいい芸者“うわばみ”(乙羽)など個性的な人間が集い、三田は次第に大阪の水に馴染んでゆく。
五所平之助が、原作、脚本の椎名麟三と組んだ第3作目。悲喜劇コメディの秀作。寂れた海辺の町にくすぶる3人の娘たちは自殺を決意するが、失業者の男性たちや石油発掘調査で訪れた男との出会いを通して生きる気力を取り戻す。天然ガスが枯渇し急速に寂れた海辺の町。駆け落ちをした母のせいで町の笑われ者のふみ子(南風)、義父と折り合いの悪い陽子(小園蓉子)、足に障害を持つ谷子(左)ら3人娘と失業者の世ン中(佐野)は、石油発掘調査に来たという謎めいた男、鞍馬(伊藤)と出会い、石油堀を始めるが。
樋口一葉原作の今を盛りの遊女を姉に持つ14歳の美登利と、ゆくゆくは僧侶になる定めの信如との思春期の淡く密かな恋を描いた『たけくらべ』の映画化。『煙突の見える場所』の庶民派監督・五所平之助で気になるのだけど、保存状態は最悪のよう。
隅田川畔の"バタヤ部落"とも言われた貧民窟で奉仕活動に身を投じた女性の殉教的な人生を描いた貧民窟の元住人だった松居桃楼の著書の映画化。この実在の女性、北原怜子役に宝塚を退団した千之赫子が抜擢され、名匠・五所平之助が監督した。昭和25年、言問橋そばの「蟻の街」と呼ばれた貧民窟に、敬虔なカトリック信者の怜子(千之)が手助けに現われる。都庁から立ち退きを要求されていた部落の自治組織は、怜子を人寄せパンダにしてマスコミの関心をひこうとするが、それを知っても怜子は懸命に奉仕活動に励む。
平岩弓枝の同名小説を原作に、同じく池内の主演で人気になったテレビドラマの映画版。踊りも三味線も器用にこなし、女将のすが(山岡久乃)からも信頼の厚い芸者の千佳子(池内)。ある日、彼女は将来のためにアルバイトとして味噌汁屋を開店。多くのファンができた頃、店に異母弟の咲村智一郎(田村)が現われる。急に現われた弟に戸惑う千佳子だが、その弟に同僚の小桃(長山藍子)が惚れてしまい。五所監督晩年の秀作。
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