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伝説
漁村(夜)
- 切り立つ崖に囲まれた狭い村落。
- 村を一望できる山道に、源義経(31)とその下郎二人。
- T・鎌倉の時 蝦夷(北海道)
- 村の明かりが見える。
- 義経
- 「明かりだ。明かりだぞ」
- 下郎達、疲れた体を起こし、義経の指さす村を見る。
- 下郎一
- 「今夜は野宿しなくてすみますね」
- 義経、頷く。
- キリッとしたその顔。
シャシの家・前(夜)
- 義経、戸を叩く。
- 人の声。
- 下郎達の顔、輝く。
- 戸が開き、サト(20)、顔を出す。
- 彫りの深い、目のパッチリした顔。
- 義経
- 「夜分すまないが、一晩、泊めてもらえないか?」
- サト、首を傾げ、中に入っていく。
- 話し声。
- 下郎一
- 「アイヌか?」
- 下郎二
- 「言葉が通じたのかな?」
- 義経
- 「こんな夜更けに来たのだ。意味は判ってくれるだろう」
- 戸が開き、刺青をしたシャシ(52)、出て来る。
- 義経、頭を下げる。
同・物置(夜)
- 漁具が立てかけてある。
- 藁の夜具が三組。
- その前に、義経と下郎二人。
- 下郎一
- 「馬鹿にしおって。義経様を誰だと思っているのだ」
- 義経
- 「まぁ、いいじゃないか。ちゃんと屋根もあるし、夜具も揃えてくれたのだから」
- 下郎二
- 「けれども」
- 義経
- 「もう夜も遅い。早く寝よう」
- 夜具を敷き、床に入る。
- 下郎達、不満げな顔で、床につく。
海(朝)
- 凪いでいる。
- アイヌの村人達が船を出し、漁具を揃える。
シャシの家・物置(朝)
- シャシ、戸を開け、入ってくる。
- その音に飛び起きる下郎達。
- シャシ
- 「(アイヌ語で)起こしてしまったか。すまん。まだ寝てなさい」
- 笑い、漁具を運び出す。
- 義経、目を覚ます。
- 下郎一
- 「薄気味の悪い野郎だ」
- 下郎二
- 「噂には聞いていたが、アイヌは化け物だな」
- 義経
- 「そう悪く言うな。あの人達にも風習があるのだろう」
- 下郎二
- 「起こしてしまいましたか」
- 義経、起き上がる。
- 下郎一
- 「何処へ?」
- 義経
- 「(着物を着)水浴びでもしてくる。長旅だったからな」
- 下郎一
- 「じゃ、私も」
- 義経
- 「嫌、いい」
- 出て行く。
- 下郎二
- 「ここまで来れば、追っ手も来ないだろう」
- 下郎一
- 「そうだな」
- 二人、また寝転がる。
川(朝)
- 義経、川辺で着物を脱ぎ、褌を外して、全裸となり、川へ入る。
- 川の水で、引き締まったその身体をごしごし素手で洗い始める。
- 上流から水音。
- 義経、上流を見る。
- 全裸のサトが水浴びしている。
- 義経、サトの美しい裸体に見とれる。
- 陰茎が勃起してくる。
- サト、水から顔を上げ、義経に気付く。
- 義経、サトに微笑みかける。
- サト、あわてて、手で胸と股間を隠し、森の中へ消える。
- 義経、陰茎に手を当て、水でしごく。
シャシの家・物置(朝)
- 下郎達、武器の手入れをしている。
- サト、焼き魚を持ってくる。
- 下郎一
- 「おぉ、飯か」
- サト、皿を置くと、逃げるように出て行く。
- 下郎二
- 「生娘かな?」
- 下郎一
- 「なんだ。魚か」
- 下郎二
- 「昨夜、森でキツネを見たぞ」
- 下郎一
- 「キツネか。よし狩りだ」
- 二人、矢を手に立ち上がる。
同・前(朝)
- 義経、帰って来る。
- サト、物置から出て来る。
- 二人、目が合う。
- サト、顔を赤らめ、家へ走っていく。
- 義経、声を出しそびれ、サトを見送る。
- 下郎達、出て来る。
- 下郎一
- 「お帰りでしたか」
- 義経、振り返る。
- 義経
- 「(下郎達の出で立ちを見)何処へ行く」
- 下郎二
- 「狩りに」
- 義経
- 「狩り?」
- 下郎一
- 「焼き魚しかないんでね。狩りでもして肉を食おうって」
- 義経
- 「魚でいいじゃないか」
- 下郎一
- 「すぐ捕れますよ。待ってて下さい」
- 下郎達、森へ行く。
- 義経、中に入る。
森
- 下郎一、矢を放つ。
- 飛び交う野鳥。
- 下郎二
- 「やった!」
- 森の中に走っていく。
- 下郎一
- 「どうだ?」
- 入っていく。
シャシの家・物置
- キツネの肉を焼き、食う下郎達。
- 義経、横になっている。
- 下郎二
- 「食べないんですか?」
- 義経
- 「魚で満腹だ」
- 下郎一、不満げな顔。
- 戸が開き、シャシ、入って来る。
- 肉を焼く下郎一を見る。
- シャシ
- 「(アイヌ語)何処で捕って来た」
- 食う下郎二。
- シャシ
- 「(アイヌ語)何処で捕って来た!」
- 下郎一
- 「うるさいな。俺が山で捕ったもんだよ」
- シャシ
- 「(アイヌ語)誰が捕っていいと言った」
- 下郎達から肉を取り上げる。
- シャシ
- 「(アイヌ語)あんたか?」
- 義経に肉を突きつける。
- 下郎一
- 「何するんだよ」
- シャシに掴みかかるが、跳ね飛ばされる。
- 義経
- 「許してやってくれ」
- 起きあがり、土下座する。
- 下郎二
- 「義経様。何もそこまで」
- 義経を抱き起こす。
- シャシ
- 「(アイヌ語)これは神だ。あんた達は神の許しを得ずに食った」
- 下郎二
- 「義経様が頭を下げられているのが判らないのか?」
- シャシを突き飛ばす。
- シャシ
- 「(アイヌ語)キツネに謝れ」
- 下郎二
- 「さっさと出て行きやがれ」
- シャシを追い出し、肉を踏みつける。
- 義経
- 「こら、そこまでしなくてもいい。悪いのは私達の方なのだから」
- シャシ
- 「(アイヌ語)謝れ!」
- 下郎二、戸を閉める。
シャシの家(夕)
- 村人達が集まっている。
- 「(アイヌ語)殺せ!」
浜辺(夕)
- サトに引かれて、義経、来る。
- サト
- 「(アイヌ語)殺される。あなただけでも逃げて」
- 義経
- 「何?」
- サト、舟に手をかける。
- 義経
- 「舟がどうした?」
- サト
- 「(アイヌ語)逃げて」
- 義経
- 「舟に乗ればいいのだな?」
- サト、義経を舟に乗せる。
- 義経、サトを抱き上げ、舟の上で抱き締める。
- あらがうサト、接吻されて、義経に抱かれる。
シャシの家(夜)
- シャシを囲んで、村人。
- 村人一
- 「(アイヌ語)シャシ、何故、黙ってる?」
- シャシ
- 「(アイヌ語)判った。殺す」
浜辺(夜)
- 全裸の義経とサト、舟で抱き合い、眠る。
- サト、義経の寝顔を見、起こさぬように起き上がる。
- 義経の胸に頬寄せ、着物を掛け、舟を下りる。
- サト、舟の舳先に回り、海に舟を押し出す。
シャシの家・物置・前(夜)
- アイヌ達によって、物置が焼かれる。
- 下郎達、飛び出してくる。
- シャシ、下郎達に矢を放つ。
- 野次がわく。
- 「(アイヌ語)大将は何処だぁ!」
舟の上(夜)
- 義経、目を覚まし、起き上がる。
- 遙か離れた浜辺は燃え上がっている。
- 義経
- 「サト?サト?」
- 浜辺に向かい叫ぶ。
崖の上(夜)
- 全裸で手を振るサト。
舟の上(夜)
- 全裸の義経、海へ飛び込み、泳ぎ出す。
- 義経
- 「サト!」
浜辺(夜)
- 村人達、遠くに見える崖を指差す。
- シャシ
- 「(アイヌ語)サト!サト!」
- サト、海へ飛び込む。
- シャシ
- 「(アイヌ語)サト!」
- 座り込む。
奇岩
- 波が岩にぶつかる。
- N
- 「義経とサトが結ばれたのかどうかは定かではない。サトは岩となったと言われてはいるが」
- おわり
シナリオ 1983-09 著作
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