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映画データベース

J:COMで放映された映画をベースに、今まで観た映画、これから観たい映画を順次、整理し、並べてみます。ご活用下さい。

豊田四郎

1960年以降

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『珍品堂主人』

抜群の鑑定眼を持つ男・珍品堂を中心に、骨董界の風変わりな住人たちが織り成すユーモア劇。井伏鱒二の原作が持つとぼけた味を豊田監督が絶妙に生かし、森繁久彌が主人公を妙演。元教師の経歴を持つ鑑定人「珍品堂主人」(森繁)の周囲には、欲深い連中ばかり。空家である数寄屋造りの邸に手を入れ、高級料理屋を開こうと考えた珍品堂は、商業美術に詳しい蘭々女史(淡島)を紹介される。

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『ぼく東綺譚』

永井荷風の名作を文芸作品の映画化で名高い豊田四郎が映画化。東京下町の私娼街・玉の井の娼婦(山本)と不運な家庭を持った中学教師(芥川)の悲恋を、風俗描写を交えて緻密に描く。上流家庭の上品なレディを演じることの少なくなかった山本富士子が初の汚れ役に挑戦し、いつもとはまた違った美しさを見せて絶賛された。この年のキネマ旬報賞主演女優賞に輝いている。

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『東京夜話』

東京の盛り場、渋谷を舞台に、斜陽化した元貴族と三流バーのマダム、その男の息子とバーのホステス、それぞれの世代が織り成す愛情物語。富田常雄原作の「ひょっとこ」から人物、風俗を借り、八住利雄が脚本化、名匠・豊田四郎が監督した。区画整理の進む渋谷の裏街のバー「ケルン」に、アルバイト学生・伸一(山崎)が入店したいと現れる。マダムの仙子(淡島)とホステスのマリー(団)は歓迎するが、伸一は、仙子と同棲中の元貴族・立石良作(芥川)の一人息子だった。森繁久彌、フランキー堺、有島一郎、岸田今日子ら豪華出演陣も見もの。

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『明日ある限り』

壺井栄の小説「雨夜の星」を豊田四郎が映画化。目の不自由な娘の成長を見守る家族の17年間にわたる物語。香川京子が愛情深い母親を演じた。昭和16年の七夕に生まれた小織(子供時代:原地東/娘時代:星由里子)は先天性白内障で、母親なつ子(香川)は小織にかかりきりになる。上の兄姉は母にかまってもらえない寂しさを感じながらもまっすぐに育ち、子供たちはそれぞれの人生にぶつかる。

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『如何なる星の下に』

三人姉妹それぞれの愛の姿を描いた高見順の同名小説を、名匠・豊田四郎が映画化。長女に山本富士子、次女に池内淳子、三女に大空真弓が扮する。東京・築地のおでん屋「惣太郎」を切り盛りする美沙子(山本)は、常連客の倉橋(池部)に想いを寄せるが、なかなか気持ちを表せない。次女で歌手の玲子(池内)、末っ子でレビュー・ダンサーの雅子(大空)も、それぞれ恋の悩みを抱えていた。

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『憂愁平野』

「週間朝日」に連載された井上靖の小説を映画化。ある一人の男(森繁)をめぐる妻・亜紀(山本)と愛人・美沙子(新珠)、そして美沙子を愛する彫刻家(仲代)の複雑な関係を妖しく描いたメロドラマ。ヒロインの山本富士子が『暗夜行路』『ぼく東綺譚』『如何なる星の下に』に次いで、豊田監督と四度目のコンビを組んだ。

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『台所太平記』

谷崎潤一郎の喜劇「台所太平記」を映画化。戦前から1960年代初頭にかけて、老小説家の夫婦(森繁・淡島)の家に雇われた9人のお手伝いさんたちのそれぞれの個性を、好色な作家を演じる森繁久彌を狂言回しに、オールスター女優の豪華競演でユーモアたっぷりに描く。

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『新・夫婦善哉』

柳吉と蝶子が結ばれて5年が経った。蝶子は小料理屋を任され、柳吉を養いながら、ふたりで将来果物屋を開くためにせっせと貯金をする毎日を送っていた。そんなある日、柳吉に女がいるという噂が立って。前作のヒットから8年。織田作之助の「夫婦善哉」と、上司小剣の「鱧の皮」をベースに、オリジナル脚本で描かれた娯楽喜劇。

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『喜劇 陽気な未亡人』

急死した男の幽霊がのぞいた未亡人たちの赤裸々なセックス・ライフを、豊田四郎監督が軽妙に描いた艶笑コメディ。狂言回しのフランキー堺は幽霊役を始め、一人八役を演じ分ける。この世に遺した妻(新珠)が心配で成仏できない幽霊(フランキー)は、妻の周囲の未亡人たちの周辺をかぎ回るが。新珠三千代、淡島千景、乙羽信子など芸達者な女優たちの陽気な未亡人ぶりが見もの。

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『甘い汗』

生きるために水商売を転々とする女性の人生を、京マチ子を主演に豊田四郎が描く。成瀬巳喜男作品でもおなじみの水木洋子のオリジナルシナリオ。下町のバーに勤める女給・梅子(京)は、母と二人の弟、高校生の娘を女手ひとつで支えてきた。これまで陽気で楽天的に生きてきた梅子にも、老いの影が差し込む。なまめかしくもバイタリティあふれる京マチ子の演技がすさまじく、その年の女優賞を独占した。

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『波影』

水上勉の同名小説を原作に、豊田四郎が監督、若尾文子主演で撮った文芸ドラマ。ひたすら人に優しく愛を降り注いで死んだひとりの娼婦の半生が、日本海の寒村を舞台に哀切に展開する。家が貧しいため、自ら進んで娼婦となった明るく美しい女・雛千代(若尾)。家や客に尽くし、誰からも愛されて死んでいった雛千代の遺骨を、娼家の娘の世津子(大空)は実家へ送り届けようとする。

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『四谷怪談』

有名な鶴屋南北の「四谷怪談」を、豊田映画には欠かせない脚本家・八住利雄のシナリオを得て映像化。貧困から逃れようとする伊右衛門に焦点を当て、木下惠介版、中川信夫版とは異なる豊田版『四谷怪談』となった。浪人・民谷伊右衛門(仲代)は、商家の娘・お梅(大空真弓)に見染められ、仕官を条件に婿入りの約束をする。妻のお岩(岡田)が邪魔になった伊右衛門は、毒薬を飲ませ、岩を死に至らしめる。

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『大工太平記』

数寄屋造りにかけて日本一と呼ばれた名棟梁・平田雅哉の半生を、名匠・豊田四郎が映画化。森繁久彌が職人気質の棟梁に扮し、息子役に藤田まこと、年の離れた後妻を中村玉緒が演じる。名大工で奇人と評判の棟梁(森繁)は、長年のやもめ暮らしの末に若く美しいお文(中村)を後妻に迎える。親の後を継ぐのを嫌う息子(藤田)ともめながらも、棟梁は数寄屋造りに賭けた人生を一本気に貫く。

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『千曲川絶唱』

名匠・豊田四郎が監督した純愛物語。突然のめまいから交通事故を起こしてしまったトラック運転手の五所川(北大路)は、めまいの原因を白血病だと知る。看護婦の奈美(星)は、絶望する五所川にひとりの女として愛を注ぐが。同時にいしだあゆみ扮する寝たきりの娘と、その兄役・田中邦衛との兄弟愛も描かれる。

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『喜劇 駅前百年』

「駅前」シリーズ第21目。第1作の『駅前旅館』以来、久々に名匠・豊田四郎がメガホンをとった一作。ゲストに当時人気絶頂のザ・スパイダースとてんぷくトリオを迎えた東宝創立35周年記念映画。上野駅前の旅館“葵館”の主人・孫作(伴)と経営方針の違いから袂を分った番頭の徳之助(森繁)は、本郷のホテル “赤門”に鞍替え。二人はライバル同士になるが。

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『喜劇 駅前開運』

「駅前」シリーズ第22目。東京・赤羽の商店街を舞台に、街の真中に出来るゴミ処理場建設をめぐる騒動など、いつもの駅前メンバーのてんやわんやを描く。赤羽商店街・西口の雑貨商・孫作(伴)と、東口のスーパーマーケットの社長・次郎(フランキー)は終戦直後のヤミ屋時代からの商売仇。この辺一帯のボス徳之助(森繁)は、“大赤羽発展促進総本部”という看板を掲げて、赤羽を発展させようと必死だが。

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『地獄変』

芥川龍之介の「地獄変」(図書カード-青空文庫)の映画化。庶民が飢餓に苦しむ平安時代を舞台に、時の権力者である貴族・堀川の大殿(中村)と、地獄絵に憑かれた絵師・良秀(仲代)との葛藤を様式美たっぷりに描写する。火刑に処せられる最愛の娘・良香(内藤)をモデルに、この世の地獄を描く父・良秀の苦悶がクライマックスに描かれる。

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『恍惚の人』

有吉佐和子の同名ベストセラーを名匠・豊田四郎監督が映像化した人間ドラマ。茂造(森繁)は、老妻の死をきっかけに老人性うつ病になってしまう。嫁の昭子(高峰)にとって介護の日々は苦痛だった。だがある日、茂造が風呂で溺れ、そのせいで生死をさまよったことから、昭子は自分の世話でなるべく彼を長生きさせてやろうと思いはじめる。老人問題に終始せず、人間同士の愛情という観点からも描かれた秀作。森繁の演技が光る。

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『妻と女の間』

美しい四人姉妹とその夫たち、そして次女の夫の愛人が織りなす人間関係を描いた瀬戸内晴美の同名小説の映画化。豊田四郎と市川崑が共同で監督し、それぞれ得意分野で才を発揮する。本作が豊田監督の遺作となった。京都老舗の紙店の長女・安澄(三田)は、大恋愛の末に家を出て着物デザイナーとして成功した。店を継いだ次女・優子(大空)は夫の女癖に悩み、三女(酒井)と末妹(仁科)も密かな悩みを抱えていた。

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2004-10-18 掲載
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