J:COMで放映された映画をベースに、今まで観た映画、これから観たい映画を順次、整理し、並べてみます。ご活用下さい。
戦後の混乱期、引揚者の女性が住宅難のなか見つけた貸家で、家主の老女の吝嗇ぶりに戸惑う様子をユーモラスに描く。杉村春子がごうつくばりの“おその婆さん”を迫力たっぷりに演じる。大陸から引き揚げてきた画家の万亀(まき)(若山)は、住む家を探して恩師や知人、親戚の家を転々とする。会社の上司の紹介で、おその(杉村)という老女がやっている貸家になんとか部屋を見つけるが。原作は丹羽文雄「貸間のなさけ」。
時流に流された音楽家とかつての妻の、出会いから別れの物語。水木洋子のオリジナル脚本を豊田四郎が監督し、夫婦の娘役を当時17歳で宝塚在籍中の有馬稲子が演じる。作曲家・島田(山村)は自分の曲が縁で、女生徒・ユキ(轟)と結ばれる。しかし島田に女がいることを知ったユキは家を出て、一人で娘を産んで育てる。一方島田は軍国主義の波に乗り、成功者となるが、敗戦ですべてを失う。
朝日新聞に連載された永井龍男の小説を、豊田四郎が映画化。女優として最盛期の原節子演じるヒロインが、2人の対称的な男性から愛されるメロドラマ。夫と別れ、叔父の家に身を寄せる香菜江(原)は、大学教授の父が倒れたのをきっかけに2人の男性と知り合う。亡き妻と瓜二つの香菜江に求婚する資産家・道原(山村)と、青年学者・宮下(池部)。香菜江は宮下と惹かれ合うが。
瀬戸内海から上京した学生が、東京に戸惑いながらも恋と青春を謳歌する成長物語。『風ふたたび』の監督・豊田四郎、脚本・植草圭之助が再び組み、若き日の三國連太郎の貫禄ある大学生ぶりが印象的。東京の大学に合格した孝次(鈴木孝次)は、四国から上京して新生活を始める。新聞部に入部して、才気煥発な伸子(岡田)、苦学生の吉村(三國)と出会い、あわただしくも充実した日々を過ごす。
明治の文豪・森鴎外の小説(図書カード「雁」-青空文庫)を名匠・豊田四郎が映画化。自ら出演を熱望したという高峰秀子が、人生の不遇に耐える主人公を熱演している。明治時代の東京。貧しく育ったお玉(高峰)は年老いた父親の為に高利貸しの愛人になり、無縁坂に家をもらって住んでいる。お玉は、毎日坂を散歩しにやってくる大学生(芥川)に恋心を抱くが、青年は海外に去り、お玉はまた元の単調な生活に戻っていく。
雑誌「白樺」に連載された有島武郎の小説を映画化。自我に目覚め、時代に先んじて生きようとしたひとりの女性の数奇な半生を描く。明治30年代。母親・親佐(夏川静江)の反対を押し切り、新聞記者の木部(芥川)と結婚した葉子(京)。しかし、木部の生活態度に失望した彼女は、身重な姿で実家に戻る。思い切った葉子の行動に親佐は卒倒してしまう。
室生犀星の自伝的短篇「性に眼覚める頃」を、『潮騒』で好評を得た当時の青春スター、久保明&青山京子主演で映画化。二人の少年が一人の少女をめぐって恋の葛藤を繰り広げる。大正時代、詩作に励む17歳の伸夫(久保)は、少女・お玉(青山)が下駄の鼻緒を切って困っているところを助ける。数日後、お玉は伸夫にお礼を言いに来るが、なぜか伸夫の友人・表(太刀川)も同行していた。
森繁久彌の出世作ともなった、織田作之助の同名小説を原作とした文芸作品。芸者・蝶子は、化粧問屋・柳吉と駈落ちした。しかし、金のない二人は生活に困窮する。蝶子は芸者をし、生活を切り詰めるが柳吉は遊んでばかりいた。「たよりにしてまっせ、おばはん」取るに足らない男女の二人三脚が情緒をかもす。「夫婦善哉」とは主人公夫婦が食べに行く法善寺境内の汁粉屋の名物ぜんざいの名に由来する。監督は、『雪国』『雁』など文芸映画の巨匠・豊田四郎。
ある日、若い許仙(池部)は四湖のほとりで2人の美しい娘、白娘(山口)とその召使い小青(八千草)と出逢い、白娘とたちまち恋に落ちる。しかし、彼にひたむきな愛情を寄せる彼女の正体は人間ではなかった。豊田四郎監督、円谷英二特技監督による東宝のカラー特撮映画第1作。中国では繰り返し映画化されている人気の題材「白蛇伝」を材にとったファンタジックな恋愛譚。日本初のブルーバック合成が使用された。
文豪・谷崎潤一郎の同名の小説で、谷崎自身が経験した三角関係をモチーフにした人間喜劇。猫のリリーに異常な程の愛情を注ぐ庄造(森繁)は、妻・品子(山田)と別れ、母・おりん(浪花)と暮らしている。おりんは富豪の娘だが浮気な福子(香川)の持参金を目当てに庄造と再婚させる。だが、それを知った品子は彼の愛を取り戻そうと、猫を強引に連れ帰る。他の作品をすべて断って出演したという森繁久彌森繁が複雑な役を見事に演じきっている。
「国境の長いトンネルを抜けると雪国であった」という有名な書き出しで始まる川端康成の不朽の名作を、原作に忠実に映画化。雪深い温泉町を舞台に、芸者・駒子(岸)と作家・島村(池部)のつかのまの恋を叙情豊かに描く。暗い雪国の孤独な芸者を熱演した岸恵子のしっとりとした美しさと内面の激しさがたくみに描かれている。
女手ひとつで娘を育てた母と新世代の娘の愛憎劇を、淡島千景・若尾文子を母娘に配して描く。母娘間の葛藤に加えて、異母兄妹の恋愛が盛り込まれている。アメリカ留学帰りの涼子(若尾)は、実業家の母・則江(淡島)と二人暮らし。康介(池部)という青年と出会い、涼子は惹かれるが、則江は二人の交際を固く禁じる。やがて涼子は、自分の出生の恐るべき秘密を知る。
無頼派作家・坂口安吾が自らの税金対策をエッセイ風に綴った原作を、豊田四郎監督が映画化。納税を拒む主人公と、冷酷な税務署員の対決が見どころ。小さな自動車修理工場を営む岡見(森繁)の悩みは、不当な程に額の大きい税金。岡見は督促状を無視し続けるが、留守の間に税務署員・松井(小林)がやって来て、家財道具を差し押さえてしまう。
大阪の生んだ女流作家・山崎豊子が直木賞を受賞した同名小説を映画化。生涯を大阪・船場の女商人として生きた女の強さとたくましさを、名匠・豊田四郎監督がオールスター・キャストで描く。大阪・船場の商家に嫁いだヒロイン多加(淡島)は、頼りない夫(森繁)をもり立て奮闘するが、寄席道楽にふける夫は店をつぶしてしまう。「いっそ道楽を本業に」と場末の寄席を買い取るが、夫は借財を残し妾宅で急死。多加のなりふりかまわぬ金もうけが始まる。
発展家で浮気者の会社社長・森繁久彌、老舗の料理屋のワンマン経営者・花菱アチャコ、“精子保存の研究”に没頭する堅物の研究者・小林桂樹。それぞれ問題を抱える夫を持つ妻たちが、夫を“改造”するために涙ぐましい努力を続ける“男性飼育法”を描いた爆笑喜劇。脱線トリオの由利徹、八波むと志、南利明も登場。
志賀直哉の代表的長編である同名小説を原作にした人間ドラマ。池部良のキャラクターを活かし、原作よりも繊細なインテリ青年に設定された主人公の姿を描く。母と祖父の間に生まれたという出生の秘密を持つ時任謙作(池部)は、その悩みを乗り越えて美しい娘・直子(山本)と結婚する。しかし、彼女と従兄・要(仲代)との間にあった間違いを知り、またもや果てしない愛の葛藤に陥ってゆく。主人公の妻役を山本が好演。