J:COMで放映された映画をベースに、今まで観た映画、これから観たい映画を順次、整理し、並べてみます。ご活用下さい。
山崎豊子の原作を、監督・市川崑、主演・市川雷蔵の『炎上』コンビが映画化。老舗の足袋問屋の若旦那が放埓な女性遍歴を重ね、商魂を培ってゆく様を雷蔵がひょうひょうと妙演。四代続いた船場の足袋問屋河内屋の跡取り息子・喜久治(市川)は、店を取り仕切る祖母と母の言うままに生きている。父の死で五代目となった喜久治は、芸者のぽん太(若尾)と幾子(草笛)を愛人にし、さらにカフェの女優・比佐子(越路)ともいい仲に。
幸田文の自伝的小説を映画化した市川崑の代表作の1つ。作家の父と後妻というコンプレックスを抱える継母の間で愛情を与えられずに不良化していく弟(川口)と、そんな弟をかばい、愛情を注ぐ勝気な姉(岸)の美しくも哀しい姉弟愛を描く。日本映画史に残る傑作。全編に施された“銀残し”と言われる渋い色彩処理がグラフィカルな効果を上げている。カンヌ映画祭フランス映画高等技術委員会賞、キネマ旬報ベスト・テン第1位ほか国内外の多くの映画賞に輝く。
テレビ局のプロデューサー・風(船越)には妻(山本)の他に、9人の愛人(岸・宮城・中村玉緒・岸田今日子など)がいた。たまりかねた10人の女たちは、風をこらしめてやろうという相談から始まり、彼の殺害を企てる。グラフィカルな構図、光と闇=白と黒のコントラストが美しい映像など、モダニスト崑の真骨頂が発揮されたスタイリッシュな異色作。岸恵子、山本富士子はじめ、豪華女優陣の競演も見もの。巨匠のオフビートな映像感覚が楽しめる不思議な味わいの作品。
被差別部落出身であることを隠して生きる青年の運命を綴った島崎藤村の名作を、『炎上』『ぼんち』に続いて市川崑監督と市川雷蔵が組んだ第3作目。藤村志保の映画デビュー作。明治30年代の信州。小学校教師の丑松(市川)は亡き父の言葉に従い、被差別部落出身であることをひた隠しにしている。丑松は部落民解放を叫ぶ運動家・猪子(三国)を慕うが、猪子にも秘密を打ち明けられない。やがて丑松が部落出身であると噂が流れる。
松田道雄の育児評論を市川崑が映画化した、2歳の赤ちゃんが主役のドラマ。団地に住むサラリーマン夫婦(船越、山本)に待望の男の子・太郎が誕生した。初めての子供に2人とも毎日が大騒ぎ。やがて転居によって家族は祖母(浦辺粂子)と暮らすようになるが、今度は子育てを巡りおばあさんと母との間に軋轢が生じる。そんな中、太郎中心の生活に突然おばあさんの死が訪れて。赤ちゃんの声役としてナレーションを中村メイ子が担当。生きることの楽しさ、難しさを、赤ちゃんの視点から見た周囲の大人たちの姿を通じてをコミカルに描く。
長谷川一夫の出演三百本記念映画。勝新、雷蔵など大映のスターが勢揃いした豪華版である。三上於菟吉の人気時代小説の3度目の映画化。長崎の豪商である父親を落とし入れて死に追いやった政商たちに復讐するために、息子・雪太郎(長谷川)が歌舞伎の女形・雪之丞となって仇討ちの機会を狙う。1935年松竹版で 3役をこなした長谷川一夫(当時は林長二郎)が、ここでも雪之丞と闇太郎の二役を演じる。
太平洋を単身ヨットで横断した堀江謙一の手記をもとに、その94日間に及ぶ大自然との対決、人間の強靭な肉体と孤独に耐える精神力を巨匠・市川崑が鋭く描いた冒険感動作。海とヨットを愛した裕次郎が「これを映画化するのは俺しかいない」と惚れ込み、石原プロの第1作に選んだ作品。
喧嘩の強い男が殺し屋にスカウトされるが、冷徹な仕事内容に嫌気が差して組織と対立する犯罪アクション。市川崑がスタイリッシュに演出。曲がったことは大嫌いな正義漢・八百(勝)は、江戸(浜村)をリーダーとする殺し屋グループに高給でスカウトされる。彼らはボスの指令によって法で裁けない悪人たちを抹殺していた。しかし組織の過激なやり方についていけなくなった八百は、江戸と対立する。
1964年10月10日から24日まで開催された東京オリンピックの全貌を収めた長編記録映画。カンヌ映画祭国際批評家賞受章。市川崑初のドキュメンタリー。望遠レンズを駆使した103台のカメラで、競技の勝負より選手の表情や動作を追い、日本映画史上空前の興行記録を打ち立てた。マラソンのアベベ、円谷、“東洋の魔女”と呼ばれた日本女子バレーチーム、100メートルのヘイズ、81メートル障害の依田、体操のチャスラフスカなどの名選手を捉えた感動の映像は必見。
散歩に出かけた夜の町できれいな赤い風船と出会い恋をするトッポ・ジージョ。だが世界征服をたくらむギャング団の銀行襲撃に巻き込まれることに。イタリアの人形劇から生まれた人気キャラクター、トッポ・ジージョを主人公に、名匠市川崑監督が描くサスペンスフルなパペット・ムービー。「上を向いて歩こう」の永六輔と中村八大の名コンビが主題歌を担当、作者マリア・ペレゴの操演によるジージョの豊かな表情がみどころ。
古都・京都の持つ美しさを、市川崑監督ならではの鋭い感性で描いた傑作短編ドキュメンタリー。40分間の中に凝縮された映像美は、京都という町の風景が持つノスタルジックな空気を見事な完成度で観客に訴えかけてくる。