J:COMで放映された映画をベースに、今まで観た映画、これから観たい映画を順次、整理し、並べてみます。ご活用下さい。
日本初の全編カラー作品という歴史的一編。東京に出てストリッパーとなった娘おきんが、リリー・カルメンと名乗り、同業の女友達とともにふるさとに錦を飾りに帰ってきた。派手な衣装とふるまいで村中を驚かせたふたりは、やがて村でストリップの公演を行い、大成功をおさめ東京へ戻る。二人の公演は、思わぬ人助けにもなり。底抜けに明るいおきん役の高峰秀子が名コメディエンヌぶりを見せる。
心理学者、波多野勤子の息子との交流書簡をまとめた同名ベストセラーの映画化。苦難の時代に生きる少年の心の成長を母子の愛情を通して描いた感動作。戦時中、敬慕する先生の戦死に大きな衝撃をうける少年、一郎。その後、信州の学校に転校し軍国主義教育に直面した彼は、反戦主義者のらく印を押された学者の父の生き方に反感を抱くが、やがて父を理解する日が訪れる。笠智衆が読書ばかりしている自由主義の父を演じている。
『カルメン故郷に帰る』で初めて高峰秀子と組んだ木下監督が、カルメンの東京での後日談をつづった姉妹編。前作で一緒に故郷に帰った朱実が、赤ん坊を抱いてカルメンのもとに飛び込んできた。男に捨てられ、到底育てるめどがたたないため、ふたりは泣く泣くとある家の前に赤ん坊を置き去りに。その家の主はパリ帰りの芸術家で、カルメンはほのかな恋心を抱くが。カルメンの泣き笑い人生の中に悲しい女の性を描き出す。
熱海の旅館で働く春子には、英語塾に通う娘・歌子と医学生の息子・清一がいる。終戦直後、生活のために怪しげな商売に身をおとし、子供たちを預けた義兄夫婦に唯一の財産だった土地を奪われた春子にとって、二人の将来は何よりの生きがいだった。だが子供たちはそんな母を冷たく突き放す。戦後の混乱のなかで二人の子供を抱え必死に生きてきた戦争未亡人の報われぬ運命を、木下惠介監督がリアリズムを追求して描いた秀作。
阿部知二の小説「人工庭園」を映画化。良妻賢母の育成を方針とする京都の全寮制名門女子大学を舞台に、私生活までも束縛する封建的な教育制度に抵抗する学生たちの姿を描く。教師役の高峰三枝子、学生役の高峰秀子、岸惠子、久我美子という豪華キャストが織り成す個性豊かな青春群像は、その後全国に波及した学園闘争の予告ともなり、木下惠介監督の優れた予見性も評価された。田村高廣のデビュー作としても知られる。
瀬戸内海の島にある分校を舞台に、新任の女性教師と生徒たちとの交流を描いた名匠木下惠介の代表作で日本映画史に残る名作。女学校を出たばかりの久子は、分教場で新入生12人と出会った。ハイカラな先生と生徒は唱歌を歌ったり、野原を駆け回ったりと美しい日々を過ごす。やがて戦争が始まり、それぞれに辛い現実と悲しみが訪れるのだった。主人公の教師役を高峰秀子が好演し、生徒役は地元の子供達が出演している。
伊藤左千夫の小説「野菊の墓」を、『二十四の瞳』、『楢山節考』などで知られる名匠木下惠介が映画化。何10年ぶりに故郷である信州の美しい川を訪れた老人が、遠く過ぎ去った切なく、美しい恋の思い出を語る。封建的な昔の思想から引き裂かれた若い男女の恋、そして訪れる悲しい別れを描いた純愛映画の傑作。後に、『野菊の墓』として山口百恵主演や松田聖子主演でドラマや映画となった。
木下惠介監督が時代背景と各地の風俗を織り込みながら、灯台守夫婦の半生を描いた感動作。上海事変がぼっ発した昭和7年、新婚夫婦(佐田啓二と高峰秀子)は神奈川県観音埼灯台に赴任する。そして北海道石狩にある灯台に勤め、長男と長女に恵まれる。その後も、長崎県の孤島から佐渡島、静岡県の御前埼灯台など、各地の海を守る夫婦の姿と、子供たちの成長、家族が味わう悲しみと喜びを映し出す。同名の主題歌が大ヒットした。
深沢七郎が伝承民話を小説化した同名小説を歌舞伎舞台仕立てのオールセットで木下惠介が映画化。後に今村昌平がリアリズムで手がけたお話。信州の寒村、貧しい村では口減らしのため、70歳を過ぎた年寄りは楢山に行かねばならない。子の親捨てが村の定めとなっており、歯が全部揃う母はそれが卑しいと石臼に歯をぶつけ、歯を抜き、楢山参りに孝行息子に背負われていく。田中絹代が実際にこの撮影のため、歯を抜いた逸話も残る名作。著作権の関係でビデオ化すらされていなかったが、2005年の秋にDVD-BOXで復刻された。