J:COMで放映された映画をベースに、今まで観た映画、これから観たい映画を順次、整理し、並べてみます。ご活用下さい。
イタリア映画界を代表する巨匠ヴィスコンティの記念すべきデビュー作で、当時のイタリアの現実と人間の欲望を描いたアメリカ人作家ジェイムズ・M・ケインの同名小説を映画化。夫が経営するレストランで、退屈な毎日を送っていたジョヴァンナ。ある日、流れ者のジーノが店を訪れてから2人は恋に落ち、夫の目を盗んでは情事にふける。やがて2人は彼女の夫を殺害する計画をたてるが。
ルキノ・ヴィスコンティがデビュー作『郵便配達は二度ベルを鳴らす』から6年ぶりに手がけた第2作で、イタリア・ネオリアリズムを代表する傑作。プロの俳優は一切使わず、ロケ地であるシチリア島の漁村に住む人々を使って貧しい猟師たちの苦難の人生とかすかな希望を描く。村の網元による不当な搾取に反発したとある一家の長男が、家財を抵当に入れて銀行から融資を受け、網元から独立するが・・・。ベネチア映画祭国際賞受賞作。
ラジオで映画会社の「子役美少女コンテスト」の知らせを聞きつけ、子連れの母親たちがチネチッタ撮影所の審査会場に続々と押し寄せた。そのなかには、マッダレーナ(アンナ・マニャーニ)と5歳の娘マリアがいた。将来娘に苦労をさせないためにも、マリアを何とかしてスターにしたいと願う親心から、マッダレーナはステージママと化す。まだあどけないマリアは1次審査、2次審査をパスし、最終カメラテストに進んだが。イタリアの巨匠、ルキーノ・ヴィスコンティの唯一にして最高の喜劇。全編を通して主演女優アンナ・マニャーニの独壇場で、彼女の屈託のなさと豪快な高笑いが憂さを吹き飛ばしてくれる。
カミッロ・ボイトの短編小説『官能』を、巨匠ルキノ・ヴィスコンティが映画化した豪華けんらんな歴史大作。19世紀、オーストリア占領下のベネチアで、運命的に出会った伯爵夫人リビアと青年将校フランツ・マーラー。いままで貞節な妻だった彼女は、突然フランツのとりことなって激しい恋におちるが、2人には残酷な現実が待ちうけていた。
ロシアの文豪ドストエフスキーの中編小説を、イタリアの巨匠ルキノ・ヴィスコンティが映画化した悲しい恋の物語。イタリアのとある港町、仕事の都合でこの地に移り住んだ青年マリオは、ある夜、美しい娘と出会う。彼女は、結婚を約束した男を1年間待ち続けていたが、マリオは徐々に彼女に心ひかれていき、2人の間には愛情が芽生え始めるのだが。べネチア映画祭銀獅子賞に輝いた名作。
イタリア南部から大都市ミラノへ移住してきた家族の悲劇を通して、兄弟間の愛と憎悪を描くとともに、イタリアの厳しい現実を鋭くえぐった壮大なドラマ。アラン・ドロン演じる三男のロッコとレナート・サルバトーリ演じる次男のシモーネはボクサーを目指すが、ロッコは兵役へ、シモーネは都会の誘惑に負け、しょう婦ナディアにおぼれていく。名匠ヴィスコンティの代表作のひとつで、ベネチア映画祭審査員特別賞を受賞した。
ボッカチオの艶笑談の現代版的オムニバス。『デカメロン』の中世イタリアの作家ボッカチオが現代に生きていたら、こんな挿話をその著書に書き入れたかも知れない。そんな発想で生まれた物語四編を、イタリア映画お得意のオムニバス形式で映画化した62年度作品
イタリア映画界を代表する名匠ルキノ・ヴィスコンティの映画史に残る名作。山猫の“紋章”を数十代に渡ってかかげる名門サリーナ公爵家は、長年シチリアを統治してきたが、時代の波には誰も逆らうことができなかった。その名門の滅び行く運命を、バート・ランカスター、アラン・ドロン、クラウディア・カルディナーレなど豪華キャストで描く一大叙事詩。コッポラやスコセッシなど後の巨匠たちに大きな影響を与えた作品。
ギリシャ悲劇のエレクトラの伝説をもとに、巨匠ルキノ・ヴィスコンティ監督が描いた背徳と復しゅう、そして家族の崩壊を描いた物語。アメリカ人と結婚したサンドラは夫とともに故郷イタリアに戻ってくる。弟ジャンニと再会した彼女は、子どものころの弟との秘密の遊びや、父への深い愛情、母親と義父に対する憎しみといった感情をしだいにあらわしていく。名門の家に生まれた姉弟の禁断の愛がミステリアスに描かれた秀作。
第三帝国の隆盛とともに崩壊に向かっていく製鉄王一族の悲劇的結末を、『ベニスに死す』のヴィスコンティ監督が描いた人間ドラマ。格調高いデカダンな映像美も見もの。
マーラーの官能的な楽曲に誘われるようにして始まる導入部からして、魔力のような美しさを持った映画。20世紀を代表する映画監督ルキノ・ビスコンティは「この作品は私の生涯の夢だった」と語っており、終生の愛読書であるトーマス・マンの原作に改編を加え、主人公の設定を文学者からマーラーを模した作曲家として映画化。体力の衰えを感じ、静養のためベニスを訪れた老作曲家は、そこで美しい少年と出会う。芸術家として“美”を努力によって追い求めてきた老人にとって、少年の美しさは、信念を覆すほどの存在となり、言葉も交わさず、老人はひたすら青年を深く思い続ける。青年の「生」の美しさと、病身の主人公の「老い」が見事に対比され、悲しくも美しく描かれたたん美的な傑作。
19世紀半ば,美と芸術を深く愛したルートヴィヒ2世の波乱に満ちた生涯を描いた4時間近い大作。若くして国王に即位したルートヴィヒはワーグナーに陶酔し、いとこのオーストリア皇后エリーザベトに思いをよせる。しかし、戦乱や裏切り、そして愛に渇望し孤独に追いやられていく国王はしだいに精神に異常をきたし、40歳で謎の死を遂げる。19歳から40歳までのルートヴィヒをヘルムート・バーガーが熱演。
ヴィスコンティ自身の投影を強く感じさせる晩年の最高傑作。バート・ランカスター、ヘルムート・バーガーをはじめとした豪華な顔ぶれも、この作品を特別なものにしている。