J:COMで放映された映画をベースに、今まで観た映画、これから観たい映画を順次、整理し、並べてみます。ご活用下さい。
百万両の在り処を秘めたこけ猿の壺をめぐる争奪戦を描いた山中貞雄版のリメイク。三隅研次の監督デビュー作であり、当たり役・大河内傳次郎が最後の左膳に扮し大暴れする、波乱万丈の痛快編。原作は林不忘。
吉川英治の自伝要素を込めた同名小説を、後年『座頭市』シリーズで勝新太郎と組む三隅研次が監督。勝新演じる曲がったことは大嫌いな不良少年トムの成長を共感を込めて描く。港町・横浜。“かんかん虫”と呼ばれる船の錆落としの仕事をする少年・トム(勝)は、病床の母親を養っていた。トムは母から、自分の父親はちょうど今横浜に滞在している駐英大使の千坂(石黒達也)だと明かされる。トムは千坂の宿泊するホテルに向かうが。
1956年3月に公開された三隅研二監督作品で、市川雷蔵が初めて股旅やくざ役に挑んだ。「赤城の子守唄」の板割の浅太郎が主人公だが、忠治エピソードはわずかで、雷蔵の持ち味に合わせてか、物語は明るくされている。
当時「週刊娯楽よみうり」誌に連載され評判を得ていた子母沢寛の小説を映画化、56年6月に公開された三隅研次監督作品。共に54年のデビューで、大映のホープとして期待されていた雷蔵と林成年が兄弟役で共演、フレッシュな魅力を振りまいている。
1956年5月に東京宝塚劇場で公演された川口松太郎原作・長谷川一夫主演の舞台劇を映画化。雷蔵初の主演正月映画ではあるが、二本立興行の併映作で中編。小品ながら、討つ者と討たれる者の恋愛や哀愁を漂わせたのは、当時、大映時代劇の俊英となっていた三隅研次監督の力量によるものといえよう。
仇討をするために男として育てられ、剣の腕を磨いた三日月城主の月姫。彼女が恋した相手は、なんと仇の若殿だった。『座頭市』の三隅研次&勝新太郎コンビでおくる、波乱万丈の痛快時代活劇。
高橋英樹主演でおなじみの山手樹一郎原作『桃太郎侍』。本作はそれ以前、市川雷蔵主演で製作された大映作品。脚本は『忠臣蔵』など、数々の大作で腕を振るった八尋不二、監督は三隅研次が手がけた。かつての時代劇では定番でもあった一人二役もので、雷蔵のさわやかな魅力が全編にあふれている。
『白蛇小町』のヒットによって作られた、毛利郁子主演による蛇シリーズ第二弾。タイトルロールでは三番目だが、実質的な主役は毛利郁子であり、そのその圧巻ともいえる毒婦ぶりは必見。また当時、プライベートでも蛇を飼いならしていた毛利だが、本作では逆に蛇の呪いに苦しんでいくという趣向を凝らしたものとなっている。監督は後に『釈迦』や『座頭市物語』などのヒット作を放つ三隅研次が手がけ、恐怖場面などで確かな演出力を見せている。
盲目の姫と彼女を敵の手から救った男の間に芽生えたロマンスを、後に『座頭市物語』で名を上げる三隅研次監督がしっとりと描く。出演は大映のスター、長谷川一夫と香川京子。信州高遠藩の跡取りである菊姫(香川)は、お家乗っ取り騒動から逃れるため江戸へ向かうが、刺客が差し向けられる。風来坊の関戸の彌太郎(長谷川)は偶然にも姫の難を救い、そのまま江戸まで送ることに。盲目の菊姫は彌太郎のことを立派な侍と思い込むが。
栗栖圭之助(鶴見丈二)は、公金横領を企てる大沼下総(河津清三郎)らに父を殺されたが、生前父が大沼らの罪状を羅針儀に秘めていたことを知る。圭之助の婚約者・みつ(中村玉緒)は大沼邸に忍び込むが、羅針儀は剣客・貝塚隼人の情婦・お滝(左幸子)によって持ち去られた後だった。だが、お滝も千羽鶴の半次郎(市川雷蔵)に羅針儀を奪われてしまう。圭之助らは羅針儀を奪取すべく、半次郎の長屋へ乱入する。
父の仇を追う美剣士を描いた娯楽作。主人公を助ける謎の男役で助演している市川雷蔵も見逃せない。大映生え抜きの三隅研次監督の真摯な演出は今作においても健在。
怪談映画の定番ともいえる鶴屋南北の「四谷怪談」を長谷川一夫主演で映画化。本作では長谷川一夫のスターとしての立ち位置を踏まえ、伊右衛門は悪友たちに翻弄されて破滅への道を辿って行くという解釈がなされている。また、お岩役は中田康子で、身の毛もよだつような凄惨なメーキャップも必見。監督を三隅研次が手掛け、登場人物の心情の変化や、クライマックスのお岩の復讐シーンなど細部まで凝った演出を見せてくれる。
原作は山本周五郎の『町奉行日記』で、後年、市川崑監督が『どら平太』として映画化したが、本作はその40年以上も前に作られた。また勝新太郎にとっては、『不知火検校』や『座頭市物語』に出会う前、いわばブレイク前の作品であるが、主人公の望月小平太は「お酒が大好きなうえに女にもすぐに参ってしまう人間味タップリの(中略)悪名高き奉行」(当時の宣材から)とあり、後にカツシンが演じるダーティヒーローの萌芽をうかがわせる。脚本をベテラン・八尋不二、監督を三隅研次が手掛けている。