J:COMで放映された映画をベースに、今まで観た映画、これから観たい映画を順次、整理し、並べてみます。ご活用下さい。
暴力団と警察の癒着に苦しむ町を記事にした朝日新聞浦和局の「ペン偽らず」を基に、山本薩夫監督がドキュメンタリータッチで映画化。映画人が製作に協力し、独立プロ発足につながった。暴力団が警察や町議に手を回し、住民が恐怖の下に置かれて暮らしている埼玉県本庄町。新聞記者たちは徹底調査を開始し、明るい町を取り戻すべく若者たちも運動に参加する。暴力団や警察の圧力にも屈せず、町民大会が開かれるまでになるが。
徳川四代将軍・家綱の頃、箱根の西・三島側一帯の村々はいつも水不足に悩み、稲作が出来なかった。浅草の商人・友野与右衛門(河原崎長十郎)は湖尻峠にトンネルを掘り、芦ノ湖の水を水不足に悩む村々に引く計画に着手する。だが、一商人と農民だけでこのような大工事を成功させてしまっては、お上の威光が地に落ちると危惧した幕府は、様々な妨害を加えてきて。実在する箱根用水に関心を持ったタカクラテルが、長年の調査研究を経てまとめた原作を映画化。幕府の妨害にあいながらも、大工事を完成させた商人と農民たちの姿を感動的に描き、時代劇に新風を吹き込んだ。監督は、『忍びの者』(1962年)の山本薩夫ほか楠田清、小坂哲人の三人が共同で当たっている。
自らの体験をもとにした野間宏の屈指の大作「真空地帯」を巨匠・山本薩夫がリアルに映画化。反戦映画の歴史の中で金字塔を打ち立てた名作。52年度キネマ旬報ベストテン第6位。木谷一等兵(木村)は、仕官の金を盗んだかどで、激しい拷問の末、陸軍刑務所に2年間服役して隊に戻る。野戦行きに決まった彼は、自分を監獄に送った上官に復讐して脱走しようとするが。迫力あふれる社会派ドラマ。
1945年(昭和20年)4月 ルソン島戦線激化
反戦文学の名作である梅崎春生の「日の果て」を山本薩夫が映画化。終戦直前、ルソン島の日本軍は潰滅状態にあり、脱走兵が続出していた。そんな中、花田軍医(岡田)がチエ(島崎)という娘と脱走。花田に逮捕命令が出され、親友の宇治中尉(鶴田)が彼を捜し出すことに。宇治は花田とチエを見つけるが、チエは花田を守るため宇治を刺そうとして。過酷な条件下で、友情と軍の命令の板ばさみになった二人の若い軍人の葛藤が描かれる名作。
炭鉱町を訪れたドサ回りの一座がストライキに巻き込まれる人情喜劇。真山美保の戯曲を原作に山本薩夫監督がメガホンをとり、東野英治郎、菅原謙二、津島恵子らの存在感が際立つ。解散一歩手前の貧乏劇団・市川馬五郎一座は、ある炭鉱町で興行をうつ。小屋は久しぶりに満員になるが、芝居の最中に組合がストライキを始め、どさくさに紛れて悪徳興行師が売上金を持ち逃げする。一座は組合員と対立するが、いつしか心を通わせて。
朝日新聞に連載された石川達三の原作『人間の壁』を、巨匠・山本薩夫が映画化。学校現場での教師への弾圧に対し、女性教師が立ち向かう姿を描いた問題作。成長する主人公を香川京子が毅然と演じる。佐賀県の貧しい炭鉱と漁の村。新任の小学校教師・ふみ子(香川)は、共働きを理由に校長から退職を突きつけられる。ふみ子の夫は横暴で、力にはなってくれない。教え子の死を経験したふみ子は夫と離婚し、組合活動への参加を決意するのだった。