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かがりちゃん改造講座
お願い 実験費が結構かかります、もし気に入った球体関節人形があれば是非買ってください
m(_ _)m。
また実験についての質問や意見があればメールでお願いします。
(シリコンラバーは東急ハンズで売っていたワッカーVP7750を使用しました
人形の造形素材としてのシリコンゴム活用の試み
球体関節人形ではその関節が造形的な自由度をかなり狭めています。
また、一体型の人形では関節が固定されるため洋服を着せたりすることが困難になります。
この問題をシリコンボデイで解決しようとする試みです。
鑑賞できるボデイを基本としながらも着せ替えができるように一体型でしかも関節を動かせる
人形ができたら成功です。
実験その1 シリコンラバーってどんな素材?
まずぷにゅぷにゅなシリコンを手に入れました。
ボールに石膏を溶いてその中に油粘土で作ったオッパイをしずめて石膏が
固まったらボールをはずして粘土を取り出すとオッパイの雌型が完成します。
石膏が充分に乾燥した後でニスを吹き付けて離型剤として台所の中性洗剤を
その内側に塗ります。(石膏での型取りには石鹸水や灯油などがよく使われる)
必要量のシリコンをボールにあけて硬化剤を入れて攪拌します。
それを雌型に注いで後は硬化するまで待ちます。
オッパイにしては硬いけどボデイの感触としては満点です。
ラブホールもこんな風につくってたんだろかなどど思いました。
実験その2 ボデイ内部の工夫のための実験用ボデイの制作
高価なシリコンを全身に充填するのはつらいし軟体動物になってしまいます。
手足の骨格以外にもボデイ内部は別な素材でも問題ないと思うのでとりあえず
ボデイの内部をいろいろな素材で試してみるために実験用胸像を作ってみることにしました。
左端が原型です(モデルはしのぶちゃん)。
2枚目は石膏の型取り。
3枚目はいつもの癖で完成した石膏雌型でとりあえず複製を(特に必要はない)。
右端はシリコン内部を空洞にするため(中子と言うそうです)実際にシリコンの厚み
となる部分を油粘土で雌型の内側に張りつけています(厚さ約15mm)。
そして油粘土を貼り付けた雌型に石膏を流しこんで中子部分の石膏型を作ります。
中子の石膏型を石膏雌型で挟み込んだ状態でシリコンを注入します(首は塩ビパイプ)。
写真はシリコンと硬化剤の計量に使った秤と内部に中子の石膏型を挟み込んで
注入する時の石膏雌型の状態です。
内部の位置がずれないように透明のアクリル板を石膏雌型の下に敷いて下から実際に見て
位置を確認してから注入しました。
硬化後に雌型をはずします、中子の石膏型は破壊したので写真に撮ることができませんでした。
右端はとりだしたシリコン胸像と原型です。
完成したシリコン胸像の内部にタオルをつめこんでかろうじて立たせることができました。
この顔の無い胸像は33cm、シリコンの重量はちょうど2kgありました。
この状態でもし下半身と足があって両肩で持ち上げると胴体がびよ〜んと2倍くらいに
伸びてしまいそうです(これほんと)。
この人形は身長約110cm程度になる予定です(この原型は使いません)。
人間の体はボデイが太いパイプでそれに手足となる太さの異なったパイプがついている
ようなものなので内部の骨格はそれらのパイプが不用意に伸びたりしないように必要
なものと考えることができます。
ボデイ内部の素材はマクラのそばがらでもスポンジを小さくちぎったものでもなんでも
いいので後で考えることにします。
またこの実験では左のオッパイを7mm右のオッパイを4mmの薄さに仕上げてます、
自然な乳房の感触を表現するためにシリコンの厚みと内部の素材を研究するためです。
少女専門の人形師としてはさほど重要ではないかもしれませんが(^^;)。
実験その3 着色と強度の実験
人肌のように着色されているがけっして望ましい色とはおもえないので着色試験をした。
白い色を混ぜることにした。
いつも使っている水性アクリル塗料では塗料の小さな固まりの粒が硬化後に底に沈殿し
た、ベビーパウダーを混入したらなんと成功してしまった、が硬化後でもあの匂いは変わらず
だった。赤ちゃんの粉ミルクはシリコンでは溶けきらずに硬化最中にゆっくり沈殿して上が
ピンクで下が白のグラデーシヨン模様ができあがった。(実験は続行中)
シリコントナーは最後に試してみます。(念のため)
強度に関しては硬化剤の量と攪拌の時間を変えながら硬化後に手で引き裂いて実験した。
着色塗料?による違いは感じられなかったが攪拌が充分でないと硬化後の強度が劣化する
ようだ、シリコンゴムに小さな切れ目を入れてそれをどの程度引っ張ると裂け始めるかを
確認したが攪拌時間が短かったものはゴムが十分に伸び切る以前にボロっと言う感じで
ちぎれてしまい古くて劣化した天然のゴムと同じような感じだった。
制作実習
人形本体の制作に突入します。
手順は原型の制作→型取り→シリコン注入です。
原型の制作
制作してみたい大きさや体型は多いですが作り慣れたかがりちゃんをベースにします。
造形に関しては注入硬化後に手直しはできないので納得いくまで造形します。
また、骨格と内部構造を考慮してポーズを決定しなければなりません。
これは人形の制作目的とも絡みますが今回は怪しい道具ではなく着せ替え鑑賞を最優先で
制作します。
ボデイ部分原型
身長は110cm、体型は10歳程度の娘の標準体型に近いです。
球体関節人形との大きな違いは標準体型に近いため肩幅や厚みなどボデイ部分が大きく
なりそれに伴い頭部もかなり大きくなります。
この部分は一体形成ですがボデイだけ見ると太ってみえます。(けっしてそんなことありませんが)
ポーズは骨格の仕込みやすさと作業スペースを考慮して決定しました。
獄門はりつけ状態ですがタイタニックポーズとも言えます。
人形の大きさによりますが(シリコンの強度を考えて)この場合は関節部は空洞を基本とし
ます、関節を曲げた時にシリコンへの負担がもっとも少ないのと可動範囲が大きくとれる
からです、ただし可動方向を制御しないので逆関節方向にも曲がってしまいますが。
そういう方向に曲げなければ問題はないわけです。
関節可動部での注意点は曲げるときシリコンが引っ張られて伸びるような状態を避ける
ことです。人間の皮膚でも小さなしわが広がるだけでゴムのように伸びませんし、関節
部分は可動範囲を考えて(あまり欲張らずに)伸ばした状態を基本にして曲がる部分の外側
がひっぱられて伸びることのないように内側の折れた部分が沈み込んでいくようにします。
これはボデイの腹部のシリコンの厚みを決定する要因ともなります。
人の皮膚と違うのでボデイをかがめると三段腹はしょうがないですがシリコンの厚さを調整
してしわのできる部分を制御してできるだけ自然なポーズをとれるようにします。
この全身シリコンラバー製の人形の最大の特徴は完成後にボデイ内部や骨格などに変更や
新たな機能を付加して組み込み直すことができることです。
強く抱いたときのボデイの硬さや反発力、関節の工夫による可動方向や範囲の制御や重量の
調整などが考えられます。欠点は手足や頭部の接合部を完全に接着させないために防水性
が無いことです。(特に頭部の切り離しは着せ替えやすさの点では必要と考えます、接着でき
ないわけではありません)
型取りと液状シリコンラバー注入
型取りの方法はフィギアの原型を型取用のシリコンで作るのと同じだ。
ボデイ部分は大きいのでシリコンの箱に収めるには経済的に苦しいので恐竜の化石標本の
レプリカの制作に習った、つまり原型を油粘土に半分埋め込んでその上にシリコンを流し込ん
で表面を覆い、さらにその上から石膏をながしこんで補強する方法である。
化石標本ではこの型でFRP製の複製を作るのだがここではシリコンを注入するわけだ。
注意点は大量の液状のシリコンを気前よくドボドボ流し込むのでその内部圧力で型が変形し
ない強度と水ももらさぬ気密性を兼ね備える必要があることだ。
失敗談だがボデイの型取りで成功したかに思えたところシリコンの表面を指の腹で細かく
チエックしたら見てわからない気泡が数箇所発見できた、参考書の通りにシリコンをガーゼで
補強したために空気を閉じ込めてしまったようだ、FRPなら問題にならないかもしれないが
これでボデイ部の片面を取り直した、5Kgの型取りシリコンがおじゃんになった。その後7Kg
のシリコンでガーゼ補強なしでやり直した。
こういう技術は単純だが経験がものを言うらしい、日本には恐竜の化石が少ないので技術者
も少ないらしくわざわざ外国から呼んでいるそうだ。(苦しい言い訳(-_-;))
写真中央が頭部原型で左はひかるちゃんの原型、右は完成した型に失敗したシリコンを
増量剤にして作った複製。
かなり頭でっかちになったがこれで市販のカツラも利用できる(似合うかは別問題)。
面取りは石膏型取りのひかるちゃんは3面だがここでは前後の2面で合わせ目も耳の後ろに
して正面から見えないようにした。口を半開きにしているのは石膏型取りでは難しかったので
できなかったことをただやってみたかったのさ。
シリコンラバー製の頭部にはかがりちゃんが硬化時に頭骨として使用し、硬化した後にはそれ
を取り出してかわりにスチロール球(クッションの中身に使われているやつ)をシリコンラバー
で固めたものを充填する、これで頭もふんずけたくらいでは破損したりしない、軽さと丈夫さを
両立させるためだ、ほっぺはプニュプニュで頭皮は薄く、しかも首の強度を考えて
可能な限り軽量に仕上げたい。
左が原型右は完成品、ちょうどソフトボールを握ったような形の原型だが完成品ではご覧の
通り、骨格のない指先はポーズを固定する術もなく置かれた場所で勝手に変形する。
特に指先が変形しやすいのでめくれた感じになりにくいように指先は内側に、根元を外側に
まげておけば無難でだ。
仕上げ、完成
各パーツを型から取り出し、バリを取り去ってボデイから中子を取り出し、その後塩ビパイプ
を適当な長さに切断して手足に骨格として組み込む。
ボデイにはウレタンをちぎって詰め込む、唇をピンクにして眉毛を付けてカツラをつけてから
ボデイに装着する、おお、実験作品の完成だ(ぐしゅん)。
成果と反省点をレポートにまとめてみたので参照してください。
この実験体では今後総合的な強度試験や切断と接続などの補修の仕方、着色試験、重量
やバランスの調整などを行い最終的には破壊されることになるだろう、そうして素材の長所
短所を学ぶことがこの実験の目的だったので。
自作を試みる人へ
最後にこのような人形を自作しようと思ってる人に。
今回の実験は説明がおおざっぱであまり参考にならないかもしれないがシリコンラバーを素材
にした人形の作り方とはだいたいこんなもんだろうと思います。
もちろん造形や感触や機能などの改良などかなり自由度の高い素材です。
シリコンラバーは日本ではとても高価ですが誰にでも手に入るようになりました。
リアルドールに刺激されて自分の好みやこだわりをめいっぱいつめこんだ最高の一体を手に
入れるため自分で作ってしまおうと思ってる人も少なくないと思います。
また、リアルドールが欲しいけど高くて買えないから自分で作りたい人もいるのでは。
そんな人たちも大いなる情熱と預金でがんばってほしいと思います。
こだわりや欲望をむき出しにしたそんな人形がインターネットでたくさん見れるようになれば私の
ネットライフもいよいよ熱くなってきそうな、ゼシそうなって欲しい。 (終わり)