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映画データベース

J:COMで放映された映画をベースに、今まで観た映画、これから観たい映画を順次、整理し、並べてみます。ご活用下さい。

溝口健二

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『雪夫人絵図』

舟橋聖一の同名長編小説を日本映画の巨匠、溝口健二が「昼は天使、夜は妖女」という女の性の深淵に挑む問題作。ゴダールが「残酷なみずみずしさ」があると湛えたことで知られる作品。エロスが漲る映像の中、心と体が引き裂かれた雪夫人の悲劇が迫真の描写で描かれていく。

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『お遊さま』

谷崎潤一郎の小説「芦刈」を、溝口健二とは『浪華悲歌』以来の仲の依田義賢が脚本化。妹の夫と愛し合う未亡人と、そんな夫と姉を見守る妹とその夫の奇妙な関係を夢幻的な映像美で描く文芸大作。裕福な骨董商・慎之助(掘)はお静(乙羽)と見合いするが、付き添いの姉・お遊(田中)に心奪われる。だが夫に先立たれ、一人息子と暮らすお遊は再婚のできない身。お静は、慎之助の姉への恋慕を知った上で彼と結婚するが。

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『武蔵野夫人』

当時ベストセラーとなった大岡昇平の同名小説を名匠・溝口健二が映画化。東京郊外の武蔵野の地に住む人妻(田中)と、自宅に引き取ることになった復員青年(片山)との恋を中心に、大学教授で嫉妬深い彼女の夫(森)や復員青年に好意を持つ工場主の妻(轟)らの愛憎を綴ったメロドラマ。複雑な心理描写を溝口監督独特の演出で撮りあげた名編。

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『西鶴一代女』

井原西鶴の「好色一代女」をもとに、封建制度下で御殿女中から夜鷹にまで流転する女・お春の過酷な生を綴る。徹底したリアリズムの演技、クレーンを駆使した1ショット長回しなどがもたらす映像の厳しさ、美しさは他に類例を見ない。お春が巡礼帰りの百姓たちにさらしものになるシーンは白眉。田中絹代が一世一代といえる名演技を見せる。ヴェネチア国際映画祭で国際賞を受賞して、溝口の名は世界に知られるようになった。

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『雨月物語』

上田秋成の原作を日本映画の映像美の極致をきわめた作品。溝口健二の代表作。幽霊を演じる京マチ子の妖しい美しさが強烈!ヴェネチア国際映画祭銀獅子賞を受賞し、溝口健二を世界的な存在に押し上げた。乱世の時代、貧しい陶工・源十郎(森)は若狭姫(京)という美女と知り合い、やがて生活をともにするようになる。だが姫の正体が幽霊と知った源十郎は、妻子の待つ故郷に逃げる。しかし一夜明けると、妻(田中)の姿はどこにもなかった。

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『祇園囃子』

溝口健二が得意とする京都の祇園という題材で、芸妓とそれを取り巻く人々の生態を描いた川口松太郎原作の人間ドラマ。デビューしたての若尾文子の初々しさと貫禄たっぷりの木暮実千代が魅力的。祇園で人気の芸妓・美代春(木暮)の許に、少女・榮子(若尾)が舞妓志願にやってきた。美代春は姉のような愛情で榮子を指導し、一年後榮子は店出しする。ほどなく御曹司・楠田(河津)に榮子は見初められ、美代春も楠田の得意先の神崎から言い寄られ。

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『山椒大夫』

人買いに買われた兄妹の受難を描いた森鴎外の短編を、ベテラン脚本家・八尋不二と『浪華悲歌』『お遊さま』の依田義賢が脚本化。本作品でヴェネチア国際映画祭三年連続入賞を遂げた。世界映画史に残る名作。平安末期、鎮守府から咎を受け流された平正氏の妻・玉木(田中)とその子供、厨子王と安寿は旅の途中だった。しかし人買いに言葉巧みにだまされ、玉木は佐渡の売春宿へ、厨子王と安寿は丹後の山椒大夫の荘園に奴隷として売られてしまう。

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『噂の女』

京都の花街・島原を舞台に、廓を経営する母と家業に反発する娘の葛藤を周囲の人々を絡ませて描く。長らく溝口映画のヒロインをつとめた田中絹代とは、これが最後の作品となった。京都のお茶屋“井筒屋”の女将・初子(田中)が娘の雪子(久我)を連れて帰ってきた。雪子は東京でピアノの勉強をしていたが、家業が原因で失恋し、自殺を図ったのだ。雪子は出入りの医者・的場(大谷)と親しくなるが、彼には初子も熱を上げていた。

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『近松物語』

近松門左衛門の「大経師昔暦」を原作に、愛に結ばれた男女が不義密通で裁かれる悲劇を溝口健二が映画化。長谷川一夫と香川京子の琵琶湖のシーンは圧巻。京烏丸四条の大経師内匠は、その地位と財力で町一番の権力を誇っていた。当主・以春(進藤)の若い後妻・おさん(香川)は、放蕩者の兄に借金のことで泣きつかれ、手代の茂兵衛(長谷川)に相談する。茂兵衛は金を工面しようとするが以春にばれてしまい。

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『楊貴妃』

今なお伝わる玄宗皇帝と絶世の美女・楊貴妃の悲恋を、大映と香港のショウ・ブラザースの合作で映画化した歴史大作。溝口健二にとって初のカラー映画で、『雨月物語』の京マチ子が楊貴妃を演じる。唐王朝、玄宗皇帝(森)は最愛の妃を亡くし、沈んだ日々を送っていた。そんな中、地方の軍人・安禄山(山村)は楊家の下働きの娘・玉環(京)を王妃候補にして立身出世を目論む。美しく磨かれた玉環は、たちまち皇帝の心をつかむが。

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『新・平家物語』

吉川英治作「新・平家物語」を『楊貴妃』の依田義賢、成沢昌茂と辻久一が共同脚色、同じく溝口健二が監督した。平清盛の出生の秘密と天下取りの足がかりまでを軽快に描く。保延3年、長らく続いた藤原一族による貴族政権は疲弊し、白河上皇は院政による朝廷の復権を目指していた。平家は長年の貧窮の結果、祝宴の金にも困り馬まで売る始末。そんな平家の長男・清盛(市川)は、藤原時信の娘・時子(久我)と出会い恋に落ちる。

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『赤線地帯』

売春防止法が制定される直前の吉原を舞台にした、より普遍的な人間の実像に迫った遺作。若尾文子、京マチ子など豪華な女優陣に加え、撮影の宮川一夫、助監督には増村保造という充実した人材がそろった。サロン「夢の里」には、一人息子のために働くゆめ子(三益)、父の保釈金のため娼婦となったやすみ(若尾)、失業中の夫がいるハナエ(木暮)、美人で金遣いの荒いミッキー(京)などがいる。彼女たちの心配事は、最近話題の売春禁止法案だが。

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2004-10-18 掲載
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