J:COMで放映された映画をベースに、今まで観た映画、これから観たい映画を順次、整理し、並べてみます。ご活用下さい。
夢想家の少年サーシャは、バイオリンを弾くのが得意。ある日、彼がバイオリンを習っていることをよく思わない少年たちに取り巻かれ脅されるが、運よくローラーを引いて整地作業をしていた青年セルゲイに助けられる。サーシャはセルゲイと仲よくなり、真っ赤なスチーム・ローラーに乗せてもらい、映画『チャパーエフ』を一緒に見に行く約束をするが。全ロシア国立映画大学院の卒業制作にコンチャロフスキーとの共同シナリオで制作した、タルコフスキーの処女作。翌年、ニューヨーク国際学生映画コンクール第1位受賞。
美しい故郷の村は戦火に踏みにじられ、母親は行方不明、国境警備隊員だった父親も戦死してしまった。一人とり残された12歳のイワンは、幼年学校行きを拒否し、憎しみに身を焦がしながら偵察行動に参加する。1959年発表のベストセラー小説、ウラジーミル・ボゴモーロフの短篇『イワン』の映画化で、当時30才のタルコフスキー監督の長編処女作。少年の記憶に残る平和な日々を辿る詩情豊かで美しい回想シーンと、厳しい現実のリアルな描写のコントラストで描いていく。
ロシア最高のイコン(聖像画)画家と呼ばれながら、その生涯についてほとんど記録が残っていない、美術史上、不世出の天才画家アンドレイ・ルブリョフを描く、180分を越える2部大作。300年にわたって異民族タタールの侵攻に脅やかされ続けてきた15世紀初頭のロシア。貴族は不毛の内乱に明け暮れ、民衆は飢えと疫病に苦しんでいた。この激動の時代に名作「三位一体」が生まれる。アンドレイ・タルコフスキーとアンドレイ・ミハルコフ=コンチャロフスキーは、プロローグとエピローグを含む10のエピソードを重層的に積みあげ、巨視的なテーマで歴史の真実に迫る。
惑星ソラリス、それは宇宙のかなたの謎の星で、生物の存在は確認されていないが、理性を持った有機体と推測されるプラズマ状の“海”によって被われていた。ポーランドのSF作家スタニスワフ・レムのベストセラー長篇『ソラリスの陽のもとに』の映画化でアンドレイ・タルコフスキー監督の名を不朽のものにした。深い洞察と独特の映画表現によって、それまでのSF映画にない新たな地平を拓いた画期的作品として、多くのファンを今なお魅了し続けている。原作にない未来都市のシーンは1972年夏、東京で撮影された。
私の夢に現われる母。そこは、40数年前に私が生まれた祖父の家。うっそうと茂る立木に囲まれた家の中で、母は、たらいに水を入れ、髪を洗っている。鏡に映った、水にしたたる母の長い髪が揺れている。アンドレイ・タルコフスキー監督の自伝的映像詩。“私”による一人称形式で進行し、“私”が胸に秘めている母への思いや、別れた妻や息子との関係を、過去と現実を交錯させながら浮かびあがらせていく。母の描写に挿入される詩は、監督の父アルセニー・タルコフスキーの作品で、監督自ら朗読。音楽は『惑星ソラリス』のエドゥアルド・アルテミエフ。
ある小国に“ゾーン”と呼ばれる不可思議な地域があった。ただちに軍隊が派遣されたが、兵士は一人として帰還しなかった。“ゾーン”には鉄条網が張られ、警戒厳重な警備隊が“ゾーン”を守っていた。だが、この“ゾーン”内には、人間の一番切実な望みをかなえる「部屋」があるといわれていた。そこで、禁を犯してゾーンに侵入しようとする者たちが現われる。彼らを「部屋」まで案内する者はストーカー(密猟者)と呼ばれた。『惑星ソラリス』のアンドレイ・タルコフスキー監督2本目のSF大作である。原作は、ロシアSF界の第一人者であり、スタニスワフ・レムと共に旧共産圏SFの代表的作家、アルカージーとボリスのストルガツキー兄弟。
映像詩人タルコフスキーが、革命を逃れて亡命後に自殺したという音楽家の足跡をたどる旅に出た詩人の体験を神秘的に描く。イタリアのトスカーナ地方を訪れたアンドレイは、村で狂人扱いされているドメニコという男に出会い、世界の救済をかけてろうそくの火を消さずに村の温泉広場を横断するように頼まれる。一度は祖国へ帰ろうとするが、ドメニコがローマで焼身自殺したと知り。カンヌ映画祭監督賞、国際批評家賞受賞作。
スウェーデンの島。自分の誕生日に松の木を植えた大学教授・アレクサンデルは、のどの手術で言葉が話せなくなった息子に、奇跡の伝説を語り聞かせる。やがて平和だった島を襲う、突然のごう音。TVニュースが伝える核戦争勃発。アレクサンデルは平和のために自らの命を神に捧げようと誓う。わずか54歳でこの世を去った鬼才アンドレイ・タルコフスキー監督の遺作。神への献身と犠牲(サクリファイス)、そして核の恐怖。そんなテーマに、自らの死を意識し、重ね合わせたような本作によって、タルコフスキーは魂の叫びを鮮明に浮かび上がらせていく。