2005年
自分は今年で55歳になります。本人はいたって健康そのものですが、後進に道を譲るのも先輩のつとめの一つであります。今後の湧別救難所の発展と、所員の無事故を祈念してここに最後の湧別救難所救命銃班の仕事の一端を紹介します。
救命銃索取巻器(索が発射時にスムーズに目標まで到達するように器具にて巻き取っている風景) ○ 救命銃にも年々変遷があって、 芝浦製脚固定式銃 1,足で銃の根元を固定し、左手で銃の仰角を支え、右手で安全ピン及び引き金を操作する、薬莢式の救命銃があった。これは湧別救難所が設立された当初からの装備であり、薬莢に込める火薬の量は随時加減していた。救命銃の弾は、鋼鉄製のみで到達距離は火薬の量と救命銃の仰角のみでしか加減で消えないものであった。それと、非常に操作に危険が伴っていた事も事実であった。 救命銃の固定には、台座というものはなく専ら、土嚢を敷き、その上に救命銃をおいた状態で救命班の(射)が左足で救命銃の台尻を固定して操作をしていた。 左は救命策巻き取り風景(中番屋地区救命銃班) |
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(欠点) 1,足で固定するのみの操作方法であるために、目標に正確に到達するには(射)の技量に依るところ。 2,足の力の配分により、発射時に救命銃本体が(射)を直撃する事態がしばしば起きていた。 3,火薬装填時、弾頭装填時に救命銃がその度毎に、固定解除される為に発射時(銃長)の目標物と、(射)の目標物との想定に誤差が生じていた。 左は平成17年度前浜救命銃班新入所員整列訓練 4,救命銃の銃口と、(射)との距離が1メートル位しか取れない点に、風向きによっては発射時救命策と(射)との射出距離が非常に近くなるために、多くの危険が介在していた。 |
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12型救命銃 脚固定式の欠点を補うために、開発され全国の救難所に急速に普及された形式。 脚固定式で危険であった救命銃の発射時の危険を取り去るために、救命銃本体を台に固定したもので、発射目標の左右の調整は、救命銃本体で行うが、仰角は銃を固定している台にネジ式の仰角調整があり、安全を確保している。 救命銃が中折れ式になっていて、薬莢を込めて銃を固定し安全ピンを差し込む方式になってこれも安全になった。 左は三里地区救命銃班操作訓練 21型救命銃 12型に改良を加え、仰角にスラントを救命銃台に固定した。銃口を広げ、弾頭に鋼鉄製のみだけではなく、加工製弾頭、救命浮環(ガス膨張式)をも発射できるように改良した。昭和61年より前浜救難所に21型が配備され、12型は登栄床救難所(三里地区、中番屋地区)に配備され、発射訓練時には前浜地区、登栄床地区(三里、中番屋地区隔年発射訓練)湧別水難救済会3地区(実際は2地区に救命銃が配備) |
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平成2年度から、湧別水難救済会に「バズーカ銃」が配備、前浜地区に「バズーカ」三里地区に「21型」中番屋地区に「12型」配備。 3地区に救命銃が完全配備されたのを受けて、これより出初め式において、3地区救命銃発射訓練が実施されるようになった。 水難は何時どこで起こるか、誰にも予想はつかない。 左は三里地区救命銃班操作訓練 何時如何なる時でも、敏速に、安全に救助体制を構築しなければならない。 その為には、普段の練習と危機意識と広報が必要なのです。 練習なしには、海難は凪の状態ではなかなか起こらないもので、荒天時に起きる確率は高い。 その為にも、普段からの訓練によって救命銃の繰法訓練を完璧なものにしていなければ、自身が危険にさらされる可能性も伴うから、普段から身体に装練方法を覚え込まさせることが、自身並びに要救助者を救うことに繋がる大変に必要とされる訓練であることにまちがいはない。 |
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救助という言葉に、人命という重い責務が介在することは疑いもないことです。 人を助けるという言葉に、重い軽いはないはずなのだが。訓練を見ていると、どうもその事が所員から抜け落ちているように感じられ、救助訓練を通して海難とはどのようなものか、またその事によって人生及び社会が損失を被ることと密接に訓練の所座が関係してくると言うことを、全所員一同再確認することから始めなければならないし、又その事柄を以て海難防止の一助とすることも必要ならざると思う。 左は三里地区救命銃班発射訓練(実射) 平成6年から「バズーカ」が三里地区に導入され、前浜地区と三里地区の2地区が「バズーカ」を所持し、中番屋地区は「21型」配備となる。 前浜地区の救命銃班は、「バズーカ」と「21型」の双方の繰法を会得していなければ、実射時に、三里地区及び、中番屋地区救命銃班の所員の当日の欠員が生じたとき、前浜地区の所員が、これをサポートするという体制が維持できないとの理由から、前浜地区救命銃班の人員を2体制(1体制4人)に編成しなおす。 それによって、前浜地区に「バズーカ班」「救命銃班」が出来、繰法訓練を重ねた。 |
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平成9年に、三里地区に「ライフル式」救命銃(というよりも「バズーカ式」「ライフル式」とも弾薬は使用していない。電気式着火方法であって火薬は使用しているが、警察署に毎年許可申請をし、使用の許可を経終了時に報告が義務づけられているものと一線を画する) 左は、前浜地区の救命銃班における新人所員(前面にいる射・索2名) 平成16年に、前浜地区に「ライフル式」が導入された。 これによって、「ライフル式」と「バズーカ式」とでは、繰法が異なるために、救命銃班を「ライフル式」と「バズーカ式」に振り分けた。 前浜地区救命銃班平成16年度班編制 班長 加藤幸雄 「バズーカ式」 小原 柴田 金内 斉藤 「ライフル式」 中村 山下 石垣 高野 |
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平成16年だけが、海難事故が起きなかった年であり、その前年またその前年には、まことに大きな海難があり、全国に不本意ながら湧別町の名をたからしめた事故が起きている。 左は、湧別救難所救命銃班の模範となる、前浜地区救命銃「バズーカ式」の所員である。 |