犬山の質問にタキは答える。 「伝説のソルジャーですか。」 「ああ、無敵の戦士だ。あの世界大恐慌を起こしたと言われるな。」 「そんな恐ろしいものを・・・」 「なにしろやつの装甲は赤子の拳でも一撃で確実にくだけ攻撃力は0コンマ何十桁にもおよび蝿も殺さないという・・・」 「すごい。すごすぎる・・なんて自然にやさしいんだ。」 「話を最後まで聞け。」 「数多い弱点の中で特に気管支が弱く喘息気味だ。」 「眼鏡を取られると部屋の隅にうずくまり、誰かくると確実に死んだふりをして敵意のないことを示す。」 「その姿は本当に死んでいるようだったという。」 「本当に死んでいるのではないですか?」 「おそらくそうだろう。」 「死んだふりをして蘇ったことのある例はわずかな例外を残して記録にないからな。」 「プロですね・・」 「ああ、死んだふりのプロは自分が死んで始めて一人前だからな。」 「しかし長所はなんです?」 「やつの数少ない長所は車酔いに滅法強いだけだからな。」 「そいつは羨ましい・・・。私なんぞバスに乗ったらすぐ吐いてしまうたちですからな。」 「私もだ」 「しかし、伝説のソルジャーは何人にいたんですか?」 「わからん・・伝説によると100円で5体は買えたらしい・・・」 「当たりが出ればもう一体だ。」 「安いっすね。」 「伝説の通りだったらな。」 「しかしなんで無敵なんです?」 「こんな可哀想な戦士が他にいるか?こんなやつに敵がいるなら見てみたいわい。」 「確かに敵はいませんね。」 「少なくても、こんなやつを殴るなんて私にはとてもできない。」 「私もです。もし殴るやつがいるとすれば鬼畜生にも劣りますね。」 「そうだろう。そうだろう。」 「さて、そろそろ呼び出すか・・・」 「何のために呼び出すんですか?」 「それもそうだが・・・まぁ呼び出してから考えよう。」 「そうですね。」 こうして悲劇は始まった・・・・。
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