タキたちが伝説のソルジャーについて話し合っていると、通信を終えた奥の通信室
から安智が姿を現した。 「おじいさん、時間指定はしましたか」 「しまった、忘れてしまった。私としたことが取り返しのつかないことをしてしまっ た」 「それは、困りましたね。おじいさんは山へ芝刈りに、私は川へ洗濯に行かなければ なりませんから……」 「教官、時間指定とはどういうことですか」 タキの口からでた時間指定という聞きなれない言葉に、猿谷は恐る恐る質問してみ た。 「伝説のソルジャーは飛脚便で来ることを忘れたのか」 無言のタキを見ると、キジ島は猿谷にそっと耳打ちした。 「その程度では失格ね。今後は、アーミーとして私を悲しませなように注意するのよ !」 「申し訳けありません。今の言葉、肝に銘じておきます」 「いいでしょう、過ちは誰にでもあることですから……ん、飛脚便?」 タキの脳裏から飛脚便という言葉が離れなかった。 「ところで、飛脚便というと配達先は何処になるのでしょう」 ソルジャー失格の安智が飛脚便へ連絡したことに疑問を持ったキジ島は、心中に一 抹の不安を感じながら安智に確認した。 「無論、ここじゃよ」 安智がそう言いながら足元を指差すと一同は言葉を失ったが、キジ島は気を取り直 して事後の対応をタキに相談することにした。 「我々の所在が鬼どもに知れ渡ったら、取り返しのつかないことになります。荷物が 伝説のソルジャーでなくパイナップルだったらどうしますか」 「いいでしょう、荷物はあの人に開けてもらいます」 タキは何も知らず奥でニコニコしている安智を指差す。 「パイナップル?食べたいのう。川から流れてこないかのう」 訳の判らないことを言いながら安智は満面の笑みを浮かべていた。 「いや、鬼どもが襲来してくるかもしれません」 「……」 最後の問いに閉口するタキであった。
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