カルチャーショック



1997年8月釧路川。

今年の夏の釣り三昧ツアーにハニーの姿はない。なぜならば新婚旅行に行っているからだ。な、なんとカナダにである。もちろん、キングサーモンを釣りに。今世の中で彼ほど幸せな人物はいないであろう。
移動中の車の中では、自然とハニーの話題になる。
「ハニーは今頃何を釣っているかな?」
「カナダはキングサーモンの他には何が釣れるのかな?」
ハニーがどんな大物を釣って帰ってくるのか気が気でならない。
とはいうものの我々は例年の不調(不釣?)ツアーとは違い、今年は1日目からまずまずの釣果があった。ツアー2日目弟子屈のキャンプ場で泊まる予定だったが、台風が近づいているためホテルに泊まることにした。市街を走り、目に付いたホテルに入った。そして部屋案内のおじさんに話しかけた。

「釣りに来たんですが、よく釣れる川知りませんか?」
「自分は釣りはしないんだが、名人がいるよ。」

釣りほど名人がたくさんいる業界はない。(不肖私も家庭では釣り名人と呼ばれている。正しくは、呼んでいただいている。)名人では、6時半頃帰ってくるそうで荷物を部屋に置き、それまで近くの釧路川で竿を振ることにした。支流づたいに川を下り本流に出た。川は一昨日からの雨で増水しており、あまり釣りにはならなかった。ウエットフライで満遍なくポイントを探りイワナ1匹を釣りホテルに戻った。
ホテルに戻る早々ロビーで名人の話を聞いた。 名人はヤマベの餌釣り中心で今はあまり行っていないということだったが、以前は1回釣りに行くと400匹、1年でざっと1万5千匹釣っていたというから驚きだ!もしこのような釣りをしている人が道東で10人いても15万匹釣りあげられている計算だ。と考えていくと、釣り人は1年でどれくらいの魚を持ち帰っているのか、いったい1年間に釣り人にどれくらいの数の魚がつり上げられているか、知りたくなった。といっても知るすべもないが、このままではどんどん魚影が薄くなっていくことは間違いないだろう。・・・ やはりこれだけの釣りをする人だからエピソードには事欠かない。熊の糞を見つけたが、気にせず釣り続け、熊に出会った話。(普通なら糞を見つけたところで引き返すと思うのだが。)70センチのニジマスと1日中格闘した話。笹藪をこぎ続け、摩周湖へ行き、夜中陸一面に上がっていたざりがにをたき火に入れ食べた話。そして、名人の説く「クレソンが自生するところには、必ずニジマスがいる。」という魚植同時移入論など、この紙面では書ききれない驚かされる話ばかりだった。
それにしても、恐るべし釣り人が世の中にはいるもんだ。


Sample image

西別川のニジマス

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