ウグイ大将軍



1995年7月2日尻別川支流。
毎年のことなのだが、この年も釣果が思わしくなかった。5月の連休には、「今、道南がいいらしい。」という情報を得て、3日間で、落部川、ユーラップ川、野田追川、天の川、相沼内川、関内川を釣り歩いていた。これは、せっかくだから道南の川を沢山みて歩きたいというきれいな心からではなく、ただ釣れなくて彷徨っていたのだ。先ほど情報といったが、実は情報といったほどのものではなく釣り雑誌に載っていた道南の記事を拾い読みしただけでイメージが膨らんで情報に変わったのである。今となっては、友人たちには「確かな出所なのになぁ。」と言ってごまかすしかないのだが。・・・そんな道南ツアーから帰ってきてからも、釣果の方は、今一つだった。

そこで、今日は「今まで行ったことのない川に行こう。」ということで、国道5号線をひた走り、尻別川の支流にぶつかったところで左折、1キロほど上流で車を止めた。ドライフライでは反応もなく、今年から始めたウエットフライに変えた。実は、フライは、もう15年近くやっているのだが、ウエットフライなる釣り方を知らなかったのだ。最近は、雑誌でフライ・フィッシングがよく取り上げられているが、当時は、あまり情報もなく今思えば絶対釣れないような方法で「釣れない釣りだなあ」と思いながら何年も続けてきたのだった。この日は今までの釣行とは違って、グリーン・ウェルズ・グローリーとグリズリー・キングでニジマスを3匹釣ることができていた。

同行の2人も餌釣りでいつもより多くの魚を釣り上げていた。その内の一人、ハニーの竿が大きく曲がった。つり上げれば自己最高記録となるのが自分でもわかるらしく、いつになく真剣である。だが、それにしてもでかい。そのうちに魚は、流心の方に向かい誰しもが勝負あったかに思えた。ところが目が血走っているハニーには、周りの状況が視界には入っておらず、魚に引きずられるように川の中へ川の中へと入っていったのである。「危ない!」「流されるぞー!」まわりでは、もう魚ではなくハニーの行動に注意の目がいっていた。それでも本人はどんどん、どんどん流心に向かっていく。腰のあたりまで入ってしまっている。流されるのは時間の問題だ。もうだれも彼を止められない。しかし、ついに彼は多少流されながらも川を渡りきり、おまけに魚まで釣り上げてしまったのだった。ハニー恐るべし。

釣り上げた魚をみてまたびっくり、誰しもがニジマスだと思ったその魚が、なんと42センチのウグイだったのだ。その日から、彼は、「ウグイ大将軍」と呼ばれている。

それでは、もんだいです。
なぜ彼は、ハニーと呼ばれているのでしょうか。
1,顔が埴輪に似ているから。
2,名前に「は」がつくから。
3,とにかく物心が付いたらそう呼ばれていた。
4,歯に特徴があるから。




Sample image

ウグイ大将軍命がけの1匹


Go backGo homenext