町民芝居ゆうべつ  第10

昭和の小漁師top

町民芝居top


  脚 本

 
  町民芝居ゆうべつ

第十回記念公演(東日本大震災復興応援公演) 作・石渡輝道 

ゆうべつ物語第十話

ユウベツを見た、こどもたち

                                        (一幕場 九〇分)

初 版 平成二十三年四月 一日
第二版 平成二十三年五月一三日
第三版 平成二十三年七月 八日

 あらすじ 時は現代。

 夏のある時、授業中に生徒が百年前の北海道にタイムスリップする。それも、アイヌの人たちと、和人が生活している「ユウベツコタン」に来てしまったのである。子どもたちは、そこで、百年前の人々との生活が始まる。「便利な」電気、ガス、水道、車、冷蔵庫等々のない生活、それ以上にゲーム、携帯電話のない生活は、考えられないのである。しかし、子どもたちは、徐々に生活になれ、たくましくなっていく姿、そして、これからの自分たちの未来を考えるようになってくる。そこでアイヌ社会の習慣である、悲しい時、うれしい時、歌を唄い、踊ることを教えられ、みんなで歌をつくり唄う。すると現代にタイムスリップをし帰ってくる。


      音楽入る

 

      スタッフ、キャストの紹介(五分)

 
 第一場 現代〜教室での授業風景
  (十五分)
 

社会科の授業中である。それも北海道の開拓当時のことを。

そしてその授業中、生徒がタイムスリップをして、百年なっているのである。「どうしたの、ここはどこ、何をしたらいいの」等々、そして百年前の「ユウベツ」に居ることを知り、困惑する。

 

      音楽入る、幕上がる、照明入る。

 

    @歌、ダンス(子どもたち八名)で始まる。

 

      M@歌詞  作詞 石渡輝道・作曲 仁木慶子・編曲 伊藤雅裕

 

    僕たちは「湧別の小学生」

    川も海も湖もある

    魚がいて ホタテがいて カキがある

    そこが「ゆうべつ」 ゆうべつだ

    広大な草原 ほらそこには山、畑

    玉ねぎに小麦 牛がいて乳をだす

      チューリップが咲いて はまなすが咲いて ライラックが咲く

    そこに 僕たちが住んでいる

       僕たちは「湧別の小学生」

    川も海も湖もある

    魚がいて ホタテがいて カキがある

    そこが「ゆうべつ」 ゆうべつだ

 

 

    歌、ダンス終わる。

    効果音入る。(現在の日常音)

    子どもの親が代わる代わるに舞台中央前で、日常のことを語りだす。

 

 

子供の親 加藤      何してるの、早くごはん食べて、学校に行きなさい。何時まで寝てるの。

             遅れるよ。

             だから云ったでしょ。早く寝なさいって。

             遅くまで起きて、テレビばかり見て。

             何がモーニング娘よ。

             モーニングって云うんだから、朝だけ唄えばみんな早く起きるのにね。

             云っておいてよ、モーニング娘だとか、背広息子だとかに。

             朝、早く起きれる歌を歌ってと。

 

 

子供の親 佐々木     何いつまでしてるの、ゲームばかりして。

             どれ、よこしなさい。いつまでしたら気が済むの。

             そんなことばかりしてるから、成績落ちるのよ。

             少しは隣の○○ちゃんみたいに、勉強しなさいよ。

             塾に行ったって、長続きしないで、直ぐにやめてしまって。

             授業料いくら払ったと思うの。

             あんなにたくさん授業料払うんだったら、回転寿司なら、何回行けると

             思うのさ。

             それに、高い赤い皿何枚も食べれるのよ。いつも白い皿か、

             青い皿しか食べないようにしているのに。

 

子供の親 阿部      ご飯食べてる時ぐらい、携帯止めなさいよ。

             あんただったら、携帯無かったら、生きていけないみたいだな。

             テレビ見るのか、携帯するのか、食事するのかどっちかハッキリしなさい。

             それなら、ご飯食べなくていいから、携帯で生活すればいいんだ。

             誰とメールしてるんだ、そんなによく話すことがあるもんだね。

             学校行って、会ってて、家に帰ってから夜中まで、いや朝までやってて、

             よくもまーそんなに話すことがあるもんだな。

             携帯の代金だって馬鹿にならないぞ。

 

子供の親 太田      何で、そんなにスカート短いの。

             学校で決まっているんでしょ。

             パンツが見えるでしょ。そんなに短かったら。

             そんなに短かいのが好きなら、パンツだけで行けばいいだろうさ。

             階段上がるとき、後ろをおさえるくせに。

            「上級生の○○ちゃん、後ろから覗くんだから」なんて云っていて、そ

             れでも短いので行くくせに、今の若い子は、何考えてるか分からないね。

             こんなんで、お嫁に行けるのかしらね。

 

子供の親 長谷      少し、お母さんの手伝いしてやりなさい。

             もう、上級生になったんだから、ご飯の支度だって、洗濯だって、

             掃除だって、何か一つぐらい手伝ってやりなさい。

             起きて、ご飯食べて、学校に行って、帰ってきたらゲームか、携帯、テレビ見て。

             お前の今一番やらなければならないことは何だ。勉強だろうさ。

             それぐらいの事、分かるよな。 

 

      各親のボヤキが終わる。

      効果と音(ベル)

      音楽入る。

      舞台が照明入ると、そこは教室、社会科で北海道の学習している最

      中。それも、アイヌ文化についてである。

 

 

 

天馬先生        北海道には昔、アイヌの人が住んでいました。

           今から百年ほど前に、和人即ち、我々日本人が、その熊や鹿の皮、魚や、

           魚を搾った油などの交易と、北方警備のために、この北海道に入り、

           漁場を開設したのです。

           それは、魚を大量に捕ることから、そこに家をたて、働く人たちの生活をする

           所を設けたのです。それが漁()と云います。

           また、この地域を開拓するための事務所を建てたのです。

           それが戸長役場と云い、現在の役場です。

           当時のアイヌの人たちの生活は、山に行き鹿や、熊やうさぎなどの動物を捕ったり、

           海や川、湖等で魚や貝を採って生活をしていました。これらは全て「神」として信じ、

          「カムイ」と云っていました。ひと家族十人とか、二十人とかの大家族でした。

           時には、近隣のアイヌの人たちとの間には、争いはありましたが、協力をし合って、

           平和に生活していました。

           そこを「アイヌモシリ」と云い、日本語では「人間の大地」と云います。

           そこに、我々和人が入って来たものですから、アイヌの人たちの生活は一変したのです。

           そしてアイヌの人たちは、漁場での労働、開拓地での農作業等による収入で、

           生活をするようになっていったのです。

           昔は捕っていたものを、交換する程度で、自給の生活が出来ていましたが、

           魚を捕っていた場所には、和人が入り自由に捕れなくなったのです。

           山等で捕っていた動物たちも、開拓者の入植で自由には捕ることが出来なくなりました。

           ですから、北海道は和人より早くからアイヌの人たちが住んでいたところなのですから、

           各地域で「開基百年」とか云うことは間違いで、今の人たちが、この地に入って開拓した

           所でしたら「開拓百年」と云うことが正しいと思いますね。

           みんな、この話を聞いてどう思いますか。

 

子供 宗次郎     北海道には、先にアイヌの人が住んでいたんだね。

           そこに日本人が入って来たんだったら、アイヌの人たちは、迷惑だったんじゃないの。

天馬先生       みんなはどう思う。

 
子供 れいか     そりゃ、迷惑だったに決まっているさ。自分たちの生活が壊されるんだからさ。

 

子供 涼介      だけど、その最初の日本人たちが、開拓して今の北海道があるんだよな。

 

子供 夏希      そうだよね。大木や大笹原のこの大地に、道をつけたり。

 

子供 龍       畑を作ったり、漁場を作ったんだ。

 

子供 基貴      私たちの父さんの叔父ちゃん、叔母ちゃんたちなんでしょう。

 

子供 健治      でも、今の生活があるのは、その叔父ちゃん、叔母ちゃんたちのおかげでもあるんだよな。

 

子供 羅羅      そうだけど、何かアイヌの人たち、かわいそうだよね。

 

子供 宗次郎     うん、僕もそう思う。

 

子供 れいか     だけど、そうやって、北海道は発展してきたんだろうさ。

 

子供 涼介      こんなに便利になったんだからさ。

           道路も出来たし、車で何処にでも行けるし。

 

子供 夏希      だけど……それが今問題になっている。環境の破壊の問題になっているんでしょ。

 

天馬先生       夏希さん、環境破壊なんて、難しいことよく知ってるね。

           確かに便利になったけど、今は地球規模で、環境の問題が出てるよね。

           じゃ、みんなは昔のアイヌの人たちの生活と、今とでは、どっちがいいと思うのかな。

 

子供 龍       俺は絶対、便利な今の方がいいな。

           だって、テレビゲームがあるもん。

 

子供 基貴      そうだね、私だってパソコンやテレビがある方がいいな。

 

子供 健治      そりゃ、今が一番いいなあ〜。インターネットで何でも買えるもんな。

 

子供 羅羅      そうだよね。車や飛行機で何処でも行けるしさ。

 

子供 宗次郎     道路も良くなって、高速道路だったら、札幌までだって、三時間で行くもんね。

 

子供 れいか     冷蔵庫には、いつもアイスがあるしさ。

 

子供 涼介      そうだよね。

           家の父さんなんか、仕事から帰って来たら、いつも冷えたビール飲んでは、

           「これが俺の生き甲斐だ」なんてニヤニヤしているさ。

 

子供 夏希      そうだよね。家の母さんも、いっぱいおかず作っては、冷凍しておいて、

           チンしていつも食べさせられてるよね。

 

子供 龍       そうださ。冷凍食品買ってはチンしてるよね。

           自分が作ったような顔してさ。

 

子供 基貴      「美味しいでしょ」なんて云うんだからね。

 

子供 健治      そして、忙しい、忙しいっていってさ。

 

子供 羅羅      そうだよね、便利は一番いいけど、でも「チン母さん」は、よくないんじゃないかな。

 

天馬先生       そりゃ、便利な方がいいかもしれない。

           でも、本当にいいのかな。いろんな物を犠牲にしてまでも、

           自然を傷めるだけ傷めて……。

           山は丸裸。高速道路を造るために、山を削る。

           雨が降ったら洪水、土砂崩れ、人ってそんな急がなければいけないもんなのかね。

           みんな一度、アイヌの人たちの生活をしてみたらどうかな。

 

 

 

      その時、タイムスリップの効果音、

 

      音楽入り、照明消える

 

      そこは、百年前の「ユウベツコタン」である。



 
 第二場  ユウベツコタン――コタン
   (五分)
 タイムスリップをした生徒たちは、ユウベツコタンの一角に来てしまうのである。
そこに居た人たちと出会い、日常生活を見て戸惑うのだった。
でも、自分たちもその人たちと同じようにしないと生きていけないことを知り、慣れない手つきで魚を捕ったり、山での山菜採り作業に行くのだった。

 

      歌が入る。

 

      タイムスリップをして百年前の「ユウベツコタン」に来たことをA歌う。

      それに合せて子ども達は動作をする。

      (振り付け)子ども八名

      雲の上の様子

 

 

MA歌詞  作詞 石渡輝道・作曲 仁木慶子・編曲 伊藤雅裕

      あれ…どうしたんだろう

    僕たちは 風の飛行機に乗っている

    青い空と海 赤い太陽 白い月 すべてが見える

      でも 心配なことがある

    山に 木が少なくなっている

    海や川の 水の色が濁ってる

    これから先 変わってゆくのかもしれない

 

    あれ… あれ…

 

    ねえ 急に山や海が 青く緑色になってきた

    それに 高速道路も港も見えない

    家までもが あまり見えなくなった

 

 

 

 

     歌終わる。

 

     子供たちが話し出す。

 

 

子供 宗次郎     おい、ここ何所だ。

 

子供 れいか     どこなの、この牧場、どこの牧場さ。

 

子供 涼介      教室じゃないよ、牧場だよな。

 

子供 夏希      そうだ、教室じゃないよね。

 

子供 龍       あれ、先生もいないぞ。

 

子供 基貴      先生、どこにいるの、先生。

 

子供 健治      夢じゃないよな。

 

子供 羅羅      どれ、あんたの顔、つねってみるよ。

 

子供 宗次郎     痛っ、おれの顔はやめれや、痛いな。

 

子供 れいか     どうしたんだろうね。周りの景色も全然違うし。

 

子供 涼介      大きな木ばっかり、はえているし。

           家も見えないよ。人もいないよ。

 

子供 夏希      それに、道路も細いよ。舗装もしてないよ。

 

子供 龍       あれ、電柱も立っていない。

           車も走ってないよ。

 

子供 基貴      そうだ、何して車、走っていないのかね。

 

子供 健治      いや、これは夢だ。みんなが一緒に夢見てるんだ。

 

子供 羅羅      そうかもしれないね。そしたら、みんなで顔、つねってみようよ。

         

 

 

      全員で、自分の顔をひねる。

 

      全員で、「痛い」と云う。

 

 

子供 宗次郎      いや、これは夢ではない、タイムスリップをしたんじゃないかな。

 

子供 れいか      タイムスリップ、そんなことマンガでは見たことあるけど。

 

子供 涼介       タイムスリップ、まさかそんなこと。この現代にありえないよ。

 

子供 夏希       そうだよね。ありえないって。

 

子供 龍        でもね、人間が月に着陸するんだよ。どこかの星に来てしまったんじゃないのかな。

 

子供 基貴       それなら、いつロケットに乗ったのさ。

 

子供 健治       そうだよ。いつ、寝てる間に来たんじゃないよね。

 

子供 羅羅       いや、私達さっきまで、学校の教室で社会科の勉強してたって。

 

子供 宗次郎      そうだ、先生に教えてもらっていたよ。

 

子供 れいか      あれ、あっちの方に、人みたいなのが見てるよ。

 

 

 

      全員で舞台上手を見る。

 

 

子供 涼介       あれ、あの人たち、どこかで見たことがある。

 

子供 夏希       俺もだ、どこでだったっけ。

 

子供 龍        おれも、何かで見たことがある。

 

子供 基貴       そうだよな、何所かで見たよな。

 

子供 健治       あれ……今習っている社会科の教科書じゃない。

 

子供 羅羅       そうだよ、今学んでいる、アイヌの時代の人だよ。

 

子供 宗次郎      まさか、そんなことないよ。そしたら、どっかの博物館に来てるんじゃないのか。

 

子供 れいか      いや、違うよ。博物館じゃないよ。博物館だったら小さいもの。

            見な、木だって大きいし、空なんか、ずーっと向こうまで空だよ。

 

子供 涼介       本当だ。あの人に聞いてみれば、一番早いよ。

            「ここどこって」

 

子供 夏希       それがいいよ、そうだ、学級委員長さん、聞いてきたら。

 

子供 宗次郎      何で、学級委員長よ。ここは教室でないんだから、学級委員長なんか関係ないって。

 

子供 龍        男なんだから、お前が聞いてくればいいしょ。

 

子供 基貴       そうだよね、いつも先頭にたって、やってるんだから、

            委員長さん、行って聞いてきたらいいんでないの。

 

子供 健治       そうだ、ここは学級委員長が行くのが、本当じゃないのかな。

 

子供 羅羅       私もそう思うよ。学級委員長が行ってくればいいんだよ。

 

子供 れいか     委員長ばっかり、どうしていじめるのさ。こんな時は、男がみんなして行くもんよ。

 

子供 涼介      そうだけどさ……おい委員長。俺も行くから一緒に行こうか。

 

子供 夏希      そう、それなら私行く、行こう。こんなことばかり云ってたってどうしようもないしょ。

 

子供 龍       よし、みんなで行こうよ。

 

子供 基貴      そうしようよ。

 

子供 健治      そら、行くぞ。

 

子供 羅羅      よし、行こう。

 

 

      みんなで舞台上手に歩き出す。

      上手には、アイヌの子供たちが近寄ってくる。

      両方とも、不思議そうな顔をして、ポツポツと話だす。

 

子供 宗次郎     ここは、どこですか。

 

アイヌの子供 ハルリ     ここは「ユウベツ」です。

 

子供 れいか     「ユウベツ」どうしてここが。

 

子供 涼介       そうだよ。僕たちだって、湧別に住んでいるんだよ。

 

子供 夏希       そうよね、湧別の子どもだよ。

 

アイヌの子供 ハンクル     はい、でもここは「ユウベツ」です。

 

アイヌの子供 イヤンテ     あなたたちは、どこから来たのですか。

 

アイヌの子供 ルミ       みんな変なきもの着てさ。どこからさ。

 

子供 龍        どこからと云われても、湧別としか云えないよな。

 

子供 基貴       うん、そうだけど、でも、遠くに見える、あの山や、川のあるのを見る

            と、私たちの教室から見える風景と似ているんじゃない。

 

アイヌの子供 ハルリ      この川はユウペツカワです。サケがたくさん捕れますよ。

 

アイヌの子供 ハンクル     あの山では、熊やシカがいます。

 

アイヌの子供 イヤンテ     それに、ここから少し川を下れば、海があり、そこでもたくさんの魚や

                貝が捕れます。

 

アイヌの子供 ルミ      この広い草原には、ウサギやキツネもいっぱいいるよ。

 

子供 健治      僕たちのいる湧別にも熊や鹿がいるよ。

 

子供 羅羅      海には、魚も、貝もたくさん採れるよ。

 

子供 宗次郎     それに、牛がいて、たくさんの牛乳を出している。

 

アイヌの子供 ハルリ     ここには、牛というのはいませんけど、山に行けばブドウもなってるし、

               こくわもたくさんなってるよ。

 

アイヌの子供 ハンクル    きのこもたくさん、採れるよ。

               ふきだって、わらびだってあるよ。

 

アイヌの子供 イヤンテ    そうだね、みんなユウベツの人なんだ。

 

アイヌの子供 ルミ      本当だ。この人達も、私たちもみんな「ユウベツ」の人なんだよ。

 

子供 れいか    そうなんだね、風景や、着ている物が少し違うけど、同じみたいだね。

 

子供 涼介     あー、それにしても腹がへったな。

 

子供 夏希     涼介くん、よくこんな時に腹へったなって、云えるね。

 

子供 龍      だって、腹へったんだから、仕方ないしょ。

 

子供 基貴     本当だ、あー腹減った。

          そろそろ給食の時間じゃないかな。

 

子供 健治     そうだ、もうお昼の時間だよ。

 

アイヌの子供 ハルリ    給食ってなあに。

 

子供 羅羅      えー、給食知らないんだ。

           給食センターで作った食事を、学校でみんなで食べるんだよ。

 

子供 宗次郎    そうなんだよ。学校に行っている時は、給食センターと云うところで作

          って食べるんだ。あー俺、腹がすいたよ。

 

アイヌの子供 ハンクル    そしたら、みんなでウチに来て、食べようよ。

               お昼だからね。

 

子供 れいか    いいんですか、私たちが行っても。

 

子供 涼介    いいんですか、こんなにおおぜいでも。

 

子供 夏希    そうだよ、こんなにたくさん行ったら、怒られるよ。

 

アイヌの子供 イヤンテ    これくらいで、大勢だなんて言わないよ、僕たちの所では。

 

アイヌの子供 ルミ      私のところは三人とか四人じゃないよ。十人とか二十人とかだよ。

 

アイヌの子供 ハルリ     来て見れば分かるよ。

 

アイヌの子供 ハンクル    早く行こうよ、行ってみれば分かるから。

 

子供 龍    いいのかい、行っても。

 

子供 基貴    行っても、いいかい、こんなに大勢でさ。

 

子供 健治    よし、そんなに云うなら行こうよ、みんなで。

 

子供 羅羅    みんなゆうべつの人なんだからさ。

 

アイヌの子供 イヤンテ    そうだよ、みんなユウベツの人なんだからさ。

 

アイヌの子供 ルミ      行こう。私たちのいる村に、早くお腹がすいてるんでしょう。

               ほれ。

 

 

 

      アイヌの子供たちが、手を引っ張って上手に入る。

      音楽入る。 照明消える。



第三場  ユウベツコタン―原野
  (十五分)
 
子供たちは、ここ「ユウベツコタン」での生活がはじまる。

 そんなある日のこと、近隣のアイヌ部落のひとと、和人がここの場所を欲しく、攻めてくる。

「ユウベツコタン」の人々は、それに立ち向かい戦うのだった。

子どもたちも協力をするのである。しかし、なかなか終わらなかった。でも、それが「話し合い」と云う最高の方法で解決をするよう提案して、戦いは終わるのである。

 

 

        照明入る。

 

        B歌入る。

 

        「コタン」での毎日の生活を歌う。子供たちは不自由ではあるが、アイヌの人たちの生活を知りながら共同生活が始る。

        ダンス 振り付けを入れる

        (作業・動作をする)子ども十二名

 

 

MB歌詞 作詩 石渡輝道・作曲 仁木慶子・編曲 伊藤雅裕

 

      今日は山に行って 動物や山菜を採りに行きます

      明日は海に行って 魚や貝を採ります

          僕たち 初めは 何も出来なかった

      でも ちょっとずつ ちょとずつね 出来るようになったよ

         熊 鹿 ウサギ 鮭 ホタテ アサリ

      昔の「ユウベツ」って こんな暮らしなんだね

         ここにいる人たちは 何でも たくさんは捕らないよ

      食べるだけ 少しの備えだけ 必要な分だけ捕る

         僕たち この前 いっぱい捕ろうとしたら

      一緒に 暮してる おばさんが 教えてくれたよ

      「樹木も水も 【カムイ】がいるんだよ」

      「すべてが 自然からの授かりもんなんだよ」

 

       そして みんな いつも自然にお礼を言っています 

       僕たちも そうやって 毎日過ごしてるよ

 

 

 

      歌終わる。

 

      そしてある日のこと、隣のアイヌと和人が、ここの人たちの漁場を

      独占して、魚を捕りだしたのだった。

      アイヌの人二人があわてて来る。

 

 

アイヌ イロツテ     大変だ、大変だ。

             俺たちの漁場に、隣のアバシリコタンの連中が来て、魚をとってるぞ。

 

アイヌ アペヤンケ    そうよ、俺たちを追い出して、和人もいたな。

             このあいだから、変だったよな。

             木の陰からちらちら見ていた。

 

酋長           何でだ。やっと船着場も作って、これからだと云っている時に。

 

アイヌ イロツテ     そうなんだ。みんなでやっと作ったのに。

 

アイヌ アペヤンケ    あいつら、きっと食べるだけでないぐらい魚捕ろうとしてる。

             どうも近頃、和人たちと一緒になって、いろいろな所で魚捕ってるからな。

 

アイヌ 妻 ピリカ    何時も私たちは食べるだけの物しか捕らないのに。

             そんなことをしていれば、いつかはいなくなってしまうのにね。

             その時を、どう考えているんだろうね。

 

酋長           あいつらは、先のことなんか、考えていないって。

             和人の連中は、いっぱい魚や、鹿、クマを捕って、内地に持って行くんだからな。

             それをコタンの連中は手伝わされて、少しの、米や着る物を貰っているんだろうさ。

 

アイヌ アペヤンケ    そうみたいだ。少しの食べ物ぐらいで、働かされているみたいだ。

 

アイヌ イロツテ     前までは、俺の仲間だったやつもいる、無理矢理やらせられている者も、

             今じゃたくさん居るみたいだ。

 

アイヌ アペヤンケ    初めは、良いことばかり云うけど、少したったら、無理矢理やらせられているみたいだ。

 

アイヌ 妻 ピリカ    でも、戦いだけは、したく無いね。

             戦えば、必ず死ぬ人がでるからね。

 

酋長           だけど、戦わなければ、俺たちが殺されるかもしれないぞ。

 

アイヌ イロツテ     私も、戦うことはいやですが、このままだと、魚を捕ることができなくなりますよ。

 

アイヌ アペヤンケ    でも、戦う事しかないんじゃないですか。

 

酋長           よし、何かいい考えはないのかな。

 

 

 

      アイヌの人たちが円陣を組み、作戦会議のようなことが始る。

      音楽、効果音を入れ、動作が入る。

 

 

子供 宗次郎     何か変なことに、なってるんじゃないかな。

 

子供 れいか     この話、聞いたことあるよね。

 

子供 涼介      教科書に書いてあったよな。

 

子供 夏希      そうだよ。先生も云っていたよね。

 

子供 龍       大丈夫なのかなー。

 

子供 基貴      戦いになるのかね。

 

子供 健治      マジ。

 

子供 羅羅      ヤダよ、怖いよ。                         

 

      C歌、ダンス(子ども十二名)が入る。

      振り付け

      (同時に踊りで戦いの場面も表現する)

      戦いが始り、それを子供たちも協力するが?

      バック幕では、大人シルエットが人形劇(影絵劇)で戦いを行う。

 

MC歌詞  作詩 石渡輝道・作曲 仁木慶子・編曲 伊藤雅裕

 

      平和な里に 人が攻めてきた

      ユウベツコタンの人は 里を守るため戦った

 

      母なる大地 真っ赤に染まる

      僕たちも一緒に 「ユウベツ」のために戦った

 

      「ユウベツ」を 暮らしを 家族を 守りたい

 

      「ユウベツ」を 未来を 生きてゆくために

 

      人が傷つく 相手も自分も

      戦うことの意味は 力で戦うだけだろうか

 

             

             

 

      歌終わる。

 

      しかし、子供たちは戦うことの愚かさを知り、

      子供たちはアイヌのみんなに和解をするように働きかけるのである。

 

 

 

子供 宗次郎     まだ、相手の考え聞いないよ。

 

子供 れいか     どうして、あの人たちが攻めて来たのか、聞いて、それからでも、遅くないんじゃないのかね。

 

子供 涼介      僕達に優しくしてくれたコタンのみんなが傷つくのは、やっぱり悲しいな。

 

子供 夏希      人は言葉があるんだから、話し合うことができるって。

           言葉で戦ったら、どうなの。

 

子供 龍       おれ、思うけど、ユウベツコタンで、たくさんの自然と生活してみて、

           やっぱり自然には勝てないと思う。

           人間だって自然だよ。自然に逆らえないんじゃないかな。

 

子供 基貴      うん、自然の流れに逆らって、そのために人間同士が争うなんて、違うと思う。

           自然に、そして神様に感謝すること、俺ここで学んだ。

 

子供 羅羅      答えはでたね。話しあおう、未来の「ユウベツ」で生きる私たちのためにも。

 

 

 

      D歌入る。

      振り付け、動作が入る。(子ども十二名)

 

 

MD歌詞

      戦いなんて もうやめよう             

      お互い 傷つけ合っているだけ

      みんなが傷ついたなら 悲しむのは

      僕たち みんななのだから

      戦うのは やめよう

 

      こんなに素晴らしい 人間同士

      戦うことは 愚かなこと

      話そう! 言葉という 人に与えられた

      神様からの贈り物

      伝えよう 恐れずに

 

      僕たちは小さな人間 だけど話し合える

      何度も何度も話し合い やっとみんな 解ってきた

 

      言葉を使って 解り合い

      人間同士 喜び合う

      山も川も海も 笑っている

      そして この里にも やっと 平和がやってきました

 

      戦いなんて もうやめよう

      お互い 傷つけ合っているだけ

      みんなが傷ついたなら 悲しむのは

      僕たち みんななのだから

      戦うのは やめよう

                          

 

      歌終わる。

 

      音楽入り、照明消える。



第四場  ユウベツコタンーそして現代。そして未来の地球
  (三十分)
 
 さて、子供たちは、そろそろ、家が恋しくなる、親たち、先生たちは、それに一番大事なこと、どうしたら現代に帰れるのかを、話し合うようになった。

 そこで見つけたものは「将来、未来を考える」ことで現代に帰れるのではないかと結論づけて、「歌創り」が始まる。アイヌの子供たちも協同でつくるのである。そして出来上がった曲をみんなで歌う(踊る)。すると、舞台は現代に戻っていくのである。

 

 

      照明入り、音楽消える

 

      子供たちが話だす。

 

 

子供 宗次郎     なあーみんな。先生、どうしてるかな。

           俺たちを探しているのかな。

 

子供 れいか     生徒がいなくなったんだから、みんなで探しているよ。

 

子供 涼介      そうださ。きっと探しているって。

 

子供 夏希      先生たちより、親の方が探してるって。

 

子供 龍       いや、親たちは捜してなんかいないかもしれないさ。

 

子供 基貴      どうしてさ。親だもん、探すのあたりまえじゃん。

 

子供 健治      いや、そうでもないかもね。だって、勉強は出来ない、何時もゲームばかりしている。

 

子供 羅羅      それに親に云うことは聞かないんだったら、いないほうがいいと思っているかもよ。

 

子供 宗次郎     そうかもしれないね。だってみんな親の云うこと聞かないもの。

 

子供 れいか     警察も探しているよ。きっと町中が大騒ぎになってるって。

 

アイヌの子供 ハルリ     親が捜しているよ。それに家族や親戚の人が。

 

子供 涼介      そうだよね、みんなで探しているよ。

 

アイヌの子供 ハンクル     ここに来て、何日もたったものね。

 

子供 夏希      そうださ。私たちを探しているさ。

アイヌの子供 イヤンテ     みんなが探しているよ。親も、兄弟も、親戚の人も。

 

子供 龍       そうだよね。絶対探しているって。

 

アイヌの子供 ルミ       私たちの村では、一人でも見えなくなったら、村の人みんなで探しに出るよ。

 

子供 基貴      でも、探せないよね。こんなに昔に来てるんだからね。

 

子供 健治      そうさ、父さんや、母さんの時代より、まだまだ先の、爺ちゃんや、婆ちゃんの時代だものね。

 

子供 羅羅      まだ、それより、古いじゃないかなー。

 

子供 宗次郎     あれ、夏希さん足から血がでてる。

 

子供 れいか     ねー、どうしたの。

 

アイヌの子供 ハルリ     痛そうだね。

 

子供 涼介      本当だ、大丈夫。

 

子供 夏希      さっき、そこで転んだから。

 

アイヌの子供 ハンクル     何かに引っかけたんじゃないかな。

 

子供 夏希     ちょっと痛い。どうしよう。

 

子供 龍      誰か、呼んでこなくちゃ。

 

子供 基貴     私云って来る。酋長さんの所に。

 

アイヌの子供 イヤンテ    ぼくも行く、一緒に行く。

 

子供 健治     俺も、一緒に行くか。

 

子供 羅羅     三人行けばいいしょ、私たちここで夏希さんば見ていようよ。

          基貴さん、たのんだよ。

 

アイヌの子供 ルミ      夏希さん、動いたらだめだよ。血が出てるよ。来るまで静かにしてよう。

 

 

      龍、基貴、イヤンテ、外に走って出て行く、みんなして夏希の回りで心配そうに見ている。

      酋長と、その妻ピリカと三人が走って帰って来る。

 

酋長             どうした。どうしのよ。ケガしたって、どら。

 

アイヌ 妻ピリカ       あらあら、どれ見せてごらん……。あー傷は深くないようね。

               あの葉っぱ、ハルリ持ってきてくれない。

 

アイヌの子供 ハルリ     はい、いつもの葉っぱだよね。分かった。

 

 

      ハルリ 外に行き、直ぐに帰って来る。

      アイヌ妻ピリカそれを傷にあてる。

      アイヌの子供たちも夏希を囲んで手当ての手伝いをする。

 

 

子供 宗次郎     それ、何なの。

 

子供 れいか     木の葉っぱだよね。

 

酋長             これはな、ケガをしたときに、一番よく効く葉っぱなんだよ。

               俺たちは、何時も自然にあるもので、薬や食べ物や着るもの、それに、

               道具なんかも作っているんだよ。

 

子供 涼介      木の葉で、血を止める薬なんかあるんだ。

 

子供 龍       俺、聞いたことある、薬草だよね。それ。

 

アイヌの妻ピリカ       ほーらね。もう大丈夫でしょう。

               血は止まった。もう少しガマンすれば痛みも無くなるから。

 

子供 基貴      本当だ、血が止まってる。

 

子供 健治      本当だ……痛みは、痛くなくなった。

 

子供 羅羅      もう、ここに来て何日もなるけど、テレビやゲームがなくてもあまりさみしくないね。

 

子供 宗次郎     うん、そうだね。車が無くても不便じゃないよな。

 

子供 れいか     でも、毎日忙しいよね。山に行ったり、海に行ったりしてさ。

 

子供 涼介      でも、アイヌのハルリちゃんなんか、一日中父ちゃんや母ちゃんと一緒にいれていいよな。

子供 夏希      いつも、山や海や川なんかと一緒にね。

 

子供 龍       俺たちのいる湧別いや北海道、あんなにひらけてしまって、いいのかな。

 

子供 基貴      山を削って、道路をつけてもいいのかね。

 

子供 健治      な、俺たちの時代に、こんなにまでも地球をこわしてもいいのかな。

 

子供 羅羅      なー、先生が云っていたよね。

           あれ、夏希ちゃん、痛いの。さっきの傷痛いの。

 

アイヌの妻ピリカ     どうしたの、まだ傷むのかい。

 

酋長           どうした、痛むのか。おかしいな。そんなはずがないのにな。

 

子供 夏希      うん、この傷じゃないんだ。あのー………お母さん思い出しちゃって。

 

子供 れいか     夏希さん、泣かないでよ。私まで涙が出てきちゃうよ。

 

子供 宗次郎     そうだよ。泣くなよ。俺も泣きそうになってきた。

 

子供 涼介      やばいな、みんなが泣くなんて言い出すもんだからさ。

 

子供 龍       本当、俺も泣きたくなった。

 

子供 基貴      父さん、母さんの話をするから。

 

子供 健治      うん、俺だって、先生の話をするしよ。

 

子供 羅羅      やめて、私だって泣きたくなってきた。

 

子供 宗次郎     みんな、いつまでそんなこと云ってるって、しょうがないって。

           泣いていたって、解決なんかしない。

           それより、どうやったら、父さんや母さんのところに帰るか、

           考えた方がいいんじゃないかな。

 

子供 れいか     でも、どうやってさ。

 

子供 涼介      俺も、わからん。みんなだって分からんしょ。

 

子供 夏希      ごめんね。私が悪いんです。思いだしちゃったんだから。

           でも、何か、帰れる方法があるんじゃない。ねー委員長さん。

子供 龍       おまじないでも、あるんだったらな。

 

子供 基貴      あるわけないって、そんなもの。

 

子供 健治      どうしたら、いいんだろうね。

 

子供 羅羅      あー、こんな時、ドラえもんでもいたらいいね。

 

      バック音楽が入る。

                         

 

酋長         なーみんな。……お前たちの言ってることは、わしには良くわからない。

           でもな。ここアイヌの世界では、悲しいとき、楽しいときには、歌を唄い、

           踊ることをするんだよ。子供も、大人も、男も、女も、みんなで唄って、踊るんだよ。

           歌の内容は、この自然の中で、みんなして、生きていることに、お礼の心を込めて、

           唄うんだよ。みんなして、生きていることに、お礼の心を込めて、唄うんだよ。

           踊るんだよ。

           私たちは、いつも自然の恵みにお礼を込めて、生活をしているんだからな。

           人は、自然の力には適わないもんなのだ。

           人は、自然の営みと恵みに、感謝を込めて、生かされていることを、忘れてはいけない。

 

アイヌ妻ピリカ     そうだね。私たちの生活を見ていたから分かったでしょう。

            何時も、自然にお礼の心をもって、今、あるものに、満足と感謝を込めて、

            生きて行くことではないのでしょうかね。

            人の持っている欲望とは、限りがないものです。

            でも、人の命には限りがあります。だから、その生涯を、

            自然と共に生きると云う気持ちで、生きていくことではないのですかね。

            人間も、自然の中の一つなんですからね。

            その心が分かれば、きっと、お父さんや、お母さんの所に、帰れますよ。

 

 

      音楽が消える。

 

 

 

アイヌの子供 ハルリ     さみしいな。みんないなくなったら。

 

アイヌの子供 ハンクル    本当だ。いやだな、行かないでよ。

 

アイヌの子供イヤンテ     みんな、ここにいて。

               せっかく、友達になれたんだから。

 

アイヌの子供ルミ       いてほしいけど、父さんや母さんたちが心配してるって。

 

 

子供 宗次郎     ここを、離れるのは、さみしいけれど、僕らも持っているいる。お父さんや、

           母さんのいるところに帰りたいんです。

 

子供 れいか     いつも、云うことをきかなかったけど。

 

子供 涼介      勉強もしなかったけど。

 

子供 夏希      お母さんの手伝いもしなかったけど。

 

子供 龍       ゲームばっかりしていて、怒られてばっかりだったけど。

 

子供 基貴      僕は、いつもマンガばかり読んでいたけれど。

 

子供 健治      宿題を時々忘れて、怒られてばかりいたけど。

 

子供 羅羅      私も、何時も怒られてばかりいたけれど、……お父さん、お母さんに会いたい。

 

子供 宗次郎     そうだ。……酋長さんが云ってた歌を作ろう。

           なーみんなして、作ろう。

 

子供 れいか     それに、ハルリ、ハンクル、イヤンテ、ルミさんにも手伝ってもらって。

 

子供 涼介      いいでしょう。ハルリ、ハンクル、イヤンテ、ルミちゃん。

 

アイヌの子供ハルリ     いいよ、私達も入れてよ。

 

子供 夏希      そうしよう。

 

アイヌの子供ハンクル     ね、早く作ろうよ。

 

子供 龍       酋長さんも、奥さんも。

 

子供 基貴      みんなでさ。

 

アイヌの子供イヤンテ     そうしようよ。酋長さんも。

 

子供 健治      そうしよう。

 

アイヌの子供ルミ       そうだね。みんなでつくりましょう。

 

子供 羅羅      よーし、決まった。ねー学級委員長。歌を作ろうよ。 

      音楽が入る

      みんなが輪を作り製作に入る……

      制作は、出演者がセリフを考え、話す。

      (自作セリフで)子供八人ひとこと

      アイヌ四人ひとこと

      酋長とその妻ピリカが作り出す

  E歌が出来上がる。

      喜ぶ。歌ってみる。

      踊ってみる。

      そしてまず子供たちがE歌い出す。

 

      途中から合唱団が入り、一緒に歌いだす。

                         

 

 

ME歌詞(合唱曲) 作詩作曲 仁木慶子・編曲 伊藤雅裕

      緑 青い 地球 僕たちは

    美しい 麗しい この地球(ほし)で 育ってきた

 

    大地 生命(いのち) 大気 水の音

    尊い 素晴らしい この地球(ほし)を 生きている

 

    桜舞う 萌える季節も

    天の川 見上げる日も

    たった一つの この地球を 大切に守りたい

 

    龍田川 歩く夜明けでも

    流氷に 閉ざされても

    これから生まれ 育つ子どもに このまま引き継ぎたい

 

    この自然の中で 感謝を込めて

    歌を歌おう 歌うとは 自然と共に 生きること

    祖先の教えを 胸に抱こう

    私達の 歩むべき道は ふるきをたずねること

    日は昇り すべては移りゆく

    空(くう)の元素に 宇宙(そら)を見る

    使うのであって 使われるものではないのが 文明

 

    この自然の中で 感謝を込めて

    歌を歌おう 歌うとは 自然と共に 生きること

    古(いにしえ)から続く 歌を繋ごう

    私達の歩むべき道は 新しきを知ること

 

    この自然の中で 生きることは

    伝統の中の美しさを 明らかにすること

    天を仰げば 照らす太陽

    生かされていることを忘れずに ()を育てよう

 

 ラストシーンは

 そして、アイヌの人たちも、曲の中盤で周辺は現代の景色に変わり、そして、未来の地球へと変わっていく、先生たち、親たち、地域の人たちが入って、大合唱と最後には子供たち等が踊りだす。

 バックスクリーンには、月から見た青い地球の映像が写しだされる。

現代に戻った生徒たちは、父兄、先生達と抱き合って喜ぶ。歌手達の照明が消え、大きな地球のみが映り、合唱、音楽大きくなる。

      幕

 

      カーテンコール 幕上がる。

 

      スタッフ、キャストあいさつ。

 

      主催者あいさつ。

 

      再び合唱始まる。

 

      幕

スタッフ  企画           町民芝居ゆうべつ

監修資料提供       ふるさと館JRY

             湧別図書館

脚本、演出        石 渡 輝 道

演出補          本 田 勝 樹

脚本補          佐々木 絵 里

舞台監督         坂 本 雄 仁

舞台監督補        茂 利 泰 史

音楽・音響班       中 野 純 一

(作曲・作詞補)     仁 木 慶 子           

(編曲)         伊 藤 雅 裕

照明班          仁 木 宏 紀

             伊 藤 雅 裕

合唱班          片 岡 節 子

             坂 本 雄 仁

             茂 利 泰 史

ダンス班         本 田 ちず子

             佐 藤   香

             加 藤 葉 子

舞台製作班        坂 本 雄 仁

(大小道具)       洞 口 忠 雄

             中 尾 一 也 

             梅 津 茂 

             藤 本 祐 司                                            

衣装、化粧班       渡 辺 明 美

             相 場 典 子

             増 山 澄 子

             小川敬子

             入 江 ゆかり

協力班          大 渕 美 夏

             洞 口 百合子

             後 藤 知 子

             阿 部 なおみ

             坂 本 千恵子

             野   亜早美

             久 保 幹 江

             蹴 揚 さゆり

             平   架奈子

             斉 藤 奈 美

座長           本 田 勝 樹

副座長          伊 藤 誠一郎

事務局          由 野 のぞみ

 〃           茂 利 泰 史

会計           佐 藤   香  

 
 キャスト こども 宗次郎       仲   崇太郎       

こども れいか       野   悠 月

こども 涼介        齋 藤 麻 央

こども 夏希        久 保 さやか

こども 龍         渡 辺 静 香

こども 基貴        阿 部 基 貴

こども 健治        後 藤 広 太

こども 羅羅        蹴 揚 菜々子

 

こどもの親 加藤        加 藤 葉 子

こどもの親 佐々木       佐々木 絵 里

こどもの親 阿部        由 野 のぞみ

こどもの親 太田        仲   陽 子

こどもの親 長谷        長谷川   洋

 

担任の天馬先生       深 谷   聡

アイヌ酋長         伊 藤 誠一郎

その妻 ピリカ       松 下 章 子

アイヌのこども ハルリ   平   葉 月

こども ハンクル      野 大翔(ひろと)

こども イヤンテ      後 藤 純 太

こども ルミ        坂 本 実 優

アイヌのおとな イロツテ  荒 井 佳 人

おとな アペヤンケ     太 田 雅 史

賛助出演          上湧別混声合唱団

              湧別さざ波合唱団





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