町民芝居ゆうべつ  第5作

昭和の小漁師top

町民芝居top


 
脚 本 

町民芝居ゆうべつ第五回公演

    ゆうべつ物語 第五話(七〇分)

 

    「 三 段 目  杉 の 花 」(一幕六場)

 

 

時………昭和五十年頃(回想は終戦直後)

所………湧別のある小さなまち。

 

主人公のプロフィール

昭和元年に誕生する。
今は五十歳、体は大きいが、気はいたって小さい。

しかし一本気の男で、優しい男でもある。
少年の頃、大工をしていた父を亡くし、兄弟は三人で、母の手で育てられるが、その母も主人公四十五歳の時に他界したのである。
兄二人はこの戦争で亡くしている。


 主人公二十歳の時、隣町の病院の看護婦と結婚するが、子どもが出来たときに、子どもを連れて出ていく。
当時は食べるものが無く、大変苦労をしていたようである。
特に主人公は体が大きく大飯食いであることから、想像以上の苦しい生活であった。
そんな時、近くに大相撲の興業があり、相撲取りになるよう誘われ、上京するのである。
結果的には、「三段目」までは昇進したが、廃業する。
名は「杉の花」と名乗り、一時は有望視されたのである。
その後二年程東京で仕事をするが、二十五歳の時に、故郷に帰ってきたのである。
そのころ母は、二人の子どもの遺族年金で生活をしていた。
そこに転がり込み、楽ではなかったが気ままな生活を送っていた。
酒が好きで、よく無銭飲食で警察のお世話になっていたが、何時も隣の通称「親父ちゃん」に見受けをしてもらっていたのである。
 その反面正義感が強く、喧嘩の仲裁に入ったり、泥棒を捕まえて、面倒を見てやったりという、根性好しでもある。
また、いろんな所に行っては、お祭り等の余興に飛び入りをして、人気者でもあった。
しかし、昭和五十年の時、酒を呑み、寝込み、近くのストーブを蹴飛ばして火災となり、焼死するのである。
享年五十歳であった。

序 幕(五分) 









ナレーター
 

































第一場(十分)



    あらすじ






       直





























































































































 
音楽入る


音楽小さくなる

スタッフ、キャスト紹介の、ナレーション入る




さて、みなさん、今回の主人公は、昭和の時代、それも戦後の大


変だった時代を、思うがままに生きた、ひとりの男の五十年の生涯

を、舞台化してみました。

その男の名は「直」、戦争で二人の兄を亡くし、妻と子ども、そし

て母と暮らしていましたが、酒飲み、おまけに働らことが大嫌い、そ

んな男の人生には、妻と子どもとの別れ、相撲部屋への入門、それも

三年程で廃業、故郷に帰り、また元の生活に戻るのです。そして故郷

の人たちに助けられながら、一生を終えるのです。

ただ、母にだけは、苦労をかけたことの思いを、死の寸前までも、

思い続けていたようです。そんな一人の男の生涯を、これからゆっく

りと見ていただきます。



音楽大きくなり、幕上がる



照明入り、音楽小さくなる





時………昭和五十年冬、「直」五十歳

所………自宅居間


「直」酒を呑みながら、自分の生い立ち、特に相撲界に入っ

た頃を思い出しながら、ひとり言を云っている。

やー今夜は冷えるな、あー寒い。

ストーブに薪を入れる

あー、あー・・・

コップの酒を一口飲んで

俺も五十か、寒さが身に透みる歳になったな。

・・・五十か、・・・五十、五十よ・・・。

さあーて

ひと息して

・・・俺は、今まで何をやってきたんだろうなー。

おやじは、小さい時に死んだ、だからあんまり記憶にはない・・・

それに俺の一番すきだった、おっかーの・・・「あっかちゃん」が

亡くなって、

考えて、ゆっくりと

五、いや、・・・六年は経ったな。

指で勘定をする

そうよなー・・・「あっかちゃん」にはいっつも、面倒のかけっぱ

なしだったな。

俺が二十で嫁もらったとき、「あっかちゃん」喜んでくれたさ。

でも、子どもが出来て、乳代に困っていた時なんか、・・・自分が

食うのに困っていても、孫、可愛さで、「金」くれたな・・・。

俺が働けばいいのに、酒ばっかりくらっていて、「金」稼がんかっ

たもな。

そこで酒を飲む

・・・二人の兄き達は戦争に行って、帰っては来なかった。

「あっかちゃん」、毎日、毎日、神さんに頼んでいたのに。

「国のためだ」って・・・「命を捧げれ」って・・・みんな戦場に

おくられた。それも、「万歳、万歳」って旗振られて・・・「お国の

ために」だって・・・「おめでとう」って・・・ここら近所の人た

ちも大勢出世して行った。

・・・そして敗戦。

何人ぐらい帰ってきたのかなー。・・・半分ぐらいかな。

急に流れが逆流するように、今度は、何、・・・今度は自由だと

か、個人だとか、なんて云われたって、如何やって生きればいいの

か俺なんかにはわからん、それに、特に頭の悪い俺にはな。

酒でも飲まんかったらわからんて。・・・飲んだらよけいにわか

らんて。

俺も、あの頃は一人前に嫁もいた。「はな」という名前だった。あいつには悪いことしたな。

今如何しているかな・・・。子どもは・・・大きくなったろうな。

そうよな・・・出て行ってからは一度も会っていないな。こんな

こと云えた義理じゃないな・・・。

酒を飲む

あ・・・あ・・・、・・・あれは昭和二十一年の夏だったな。

 

            音楽入り、照明徐々に消えてゆく

               舞台転換

            「昭和二十一年の夏」

          照明入り、音楽小さくなる 

 第二場(回想場面)(十五分)



    あらすじ





























ナレーター








    










     









































































































































ナレーター





















 
時………昭和二十一年夏 「直」二十歳

所………三十年前の「直」の家の居間。


母は、「直」の上の二人の兄弟の復員を信じて待っている。

近所に出面取りをしながら「直」と同居して生活を支えてい

た。「直」も、拾い仕事をして妻と子どもを食べさせている。

しかし満足な生活をする事にはいかず、何時も夫婦喧嘩は

絶えないのである。そんな毎日の生活は、自分は我慢できて

も、子どもには無理であった。妻は子をつれ、親元に帰って

しまう。「直」は途方に暮れた。

そこに、相撲の地方巡業で近くまで来ていた立波親方が直」

に相撲取りにならないかと誘いに来る。「直」は、相撲取りに

なろうと決心をする。

玄関を出たところで「直」はポケットに入っていた、母の

心のこもった餞別を知る。「直」は一層決意をあらたに上京す

るのである。

ここで、昭和二十一年夏まで(さかのぼ)ります。

 

「かよ」が奥の方で「お帰り」という

上手より出て来る

かよ     あ・・・また夢みた、「ただいま」って、兄ちゃん二人で一緒

        に玄関入ってくるのをね。何度も、何度も・・・こんな夢みたね。

        死んだんだろうね、今だに帰ってこないんだから。

 

   母「かよ」玄関先まで出て見渡す


かよ     でも、今にもその玄関の戸が開いてね。「只今」って、元気な声

        でさー。

そこに「はな」が、子どもを背負い、風呂敷を持って上手

より入って来る

「はな」そこに母の「かよ」がいたのを見て驚く。

か よ    どうした、「はな」さん、こんなに早く、それにそんな大きな荷

        物持って、何所かに行くんかいね。

は な    はい、母さん・・・許して下さい・・・。

か よ    何処に行くんかね。

は な    ・・・私、この家・・・出ます・・・。

か よ    何・・・家出るってかい。・・・そんな小さい子どもを連れて。

        何処にさ。

は な    許して下さい。このままでは、私も、子どもも、生きてはいけ

        ません。

        母さんには悪いけど・・・お母さんには何時も助けてもらってい

        ながら、でも・・・お母さんに助けてもらってばかりいたら・・・、

        うちの人・・・働かないし、無いお金で酒ばかり飲んで、お母さ

        んからもらったお金も、みんな飲んでしまうの。

        こんなこと毎日続いたら、子どもも、私も。

        それに、私たちがいなくなれば、きっと判ってくれると思うんで

        す。働かなければいけないことを。

か よ    私の子どもでありながら、ごめんよ、あんなに働かない奴じゃな

        かったの。戦争が終わってから、人が変わったようになってね。私

        が悪いの、甘えさせたから、ご免ね。

は な    いや、母さんのせいではないんです。私がちゃんと云えば、()

        ったんで、それが出来ない私が駄目なんです。

        母さん、許して下さい。・・・私、一旦親の所へ行って、それか

        らゆっくりと、これからのこと考えます。

か よ    息子の「直」が、ちゃんとしてれば、いや、それより私がちゃん

        としていたら、あんたにこんな苦労を掛けないのにね。本当にご免

        ね。

は な    いや、私も悪いんですから。・・・ここは目をつぶって下さい。

        今日は………母さん。

か よ    私も少し前から、変だなと、薄々感じていたんだ。こんなに早

        くとは、・・・思ってもいなかったけどね。

        ・・・そうだね、「直」の起きない前に、行きなさい。

        「直」がちゃんと働くようになったら、知らせるからね、きっと

        戻ってきてや。

は な    すみません、きっと来ます。

か よ    そうしてや、孫の顔が見たいからね。何かあったら、何時でも

        帰ってくるんだよ。

は な    すいません、すいません。

 はな、子どもを抱き、荷物を持って、頭を下げ下げ出ていく

 かよ、玄関先まで見送る

   音楽入る

   暗転、照明入る

   舞台若干変わる

それから一ヶ月が過ぎた

ナレーター入る

  それから一ヶ月が過ぎた。ある日のこと。

  照明入り、音楽小さくなる

 「直」の家に、親方が入って来る

 

親 方     こんにちは、・・・こんにちは。

 回りを見渡して

         誰もいないんですか。・・・こんにちは。

か よ     はい、・・・はい、はい、誰ですか、こんなに早く。

           奥から母の「かよ」が出て来る

親 方      朝早くからすいません。ここは「直」さんと云う方の家ですか。

か よ      ・・・はい、「直」は私の息子です。息子の「直」に何か御用で

          すか。

親 方      はい、私は東京の相撲部屋の親方をしています、多田です。

か よ      相撲の親方、・・・うちの「直」に何か御用ですか。

親 方      はい、私たちは今、隣の町に巡業で来ていまして、そこで、こ

          この「直」さんの噂を聞きまして。

か よ      噂ですか、・・・どんな。

親 方      はい、ここの「直」さんは大変相撲が強くて、それに体が大き

          いとか、みんなの話ですがね、本職の相撲取りになれるんではな

          いかって、話していましたので、是非一度見たいものだと思い、

          今日ここに来た次第です。

か よ      そんな噂がですか、体はだけが大きいですよ、それだけですよ、

          大きいだけが取り柄ですがね、いつもおだてられて、お祭りに行

          っては、相撲をとらされているようですが、私は、余り相撲は好

          かんですよ。

親 方      どうしてですか、………そりゃー稽古は大変ですがね、でも稽

          古して出世すれば、大金が入りますよ。

か よ      そりゃー出世すればの話でしょ、ケガでもしたら、元も子も無

          くなりますよ。…………大切な私の子どもなんですからね。

親 方      そりゃそうかもしれませんがね。この時代、腹一杯食べれるの

          は、相撲取りくらいじゃないでしょうかね。

          毎日、米の飯とはいきませんがね。一日一回ぐらいは、芋やカボ

          チャだけど、腹一杯は、食べれますよ。

そこに、下手から「直」が酔って朝帰りで入って来る

  直      やーちょっと飲み過ぎて・・・「あっかちゃん」悪い悪い・・・

          こちらの方は、何方さんで。

か よ      相撲部屋の多田親方ですってよ。

親 方      あーこんにちは、お母さん、この人が「直」さんかね。

  直      あー俺は、「直」だ。

か よ      お前ば、相撲取りに誘いに来てくれたんだってょ。

          でも・・・私は反対だって云ったんだ。おまえを相撲の世界には

          入れたくないってな。

          そうだろう。・・・それにここから出たことも無い、お前が、ま

          してや、東京にだよ。

親 方      いや・・・そりゃ・・・まだ一言も相撲に入れ、何て云ってい

            ませんよ。

          ただ、今、あんたの、体を初めて見て、惚れ込んだ。今すぐに入

          ってもらいたい気持ちになったね。

          だけどお母さんのこともあるから・・・よく話してからでも結構

          だから、是非入門してくださいや。

  直      俺がね………、うれしいけど、「あっかちゃん」がだめだって云

         うんだったら、だめだな。俺んところは、親子二人きりだからさ

         ー、親ば、ここに置いて東京なんかにゃ、行けやしないって。

か よ      そうだよな………、そうしてや、二人きりの親子なんだからな。

親 方      いやー………こりゃーうらやましい親子だ、ただ「直」さん、

          あんたも男だ、一生に一度ぐらい男の世界で勝負してみたら。

          ・ ・・男に生まれたんだからさ。これから稽古がありますから、

          帰りますが。まーあんた見に来た甲斐があったというもんです。

          私はこれで帰りますが、考えが変わったら何時でも来なさい。

          喜んで受け入れてやるからね。

          じゃ、お邪魔しましたな。お母さん、お邪魔しました。

 

    親方が出て行く

    二人でそれを見送る

    しばらくは無言となる

か よ      お前、相撲取りになりたいのか。

  直      いや、「あっかちゃん」が「駄目だ」というんだから、駄目ださ。

か よ      ・・・そしたら、私がいいと云ったら、行くんかい、お前は。

  直      「あっかちゃん」が、いいといったらな。

か よ      そうか、お前は、自分の一生ぐらい、自分で決められないのか

          い。

  直        何云ってるのよ、さっきはだめだって云っていながら、今度は

          自分で決めれってかい。

          今日の「あっかちゃん」、おかしいぞ。

か よ         さっきはさっきださ、・・・なあー直、私はお前が死ぬまでは、

            生きてはいられないんだぞ、それはわかるさな、そうだろう。そ

          したら私が死んだ後でも、一人で生きていけるようにならんで、

          どうするんだ。

  直        そりゃそうださ、でもな、「あっかちゃん」が死んでみないとそ

          んなことわからんて、一度死んで見たら。・・・でも、「あっかち

          ゃん」死ぬなんて云わんでくれや。

か よ         お前は何時までたっても、馬鹿だね。

          でも、よく考えるんだな。お前が今一番やりたいことをやること

          だ。そうだろう、「直」。今が一番考える時なんじゃないのか。

 

      直、考え込む

    音楽入る、時が過ぎ、音楽小さくなる

  直      なあーおれ、いなくてもいいんだな。さみしくないんだな。・・・

          一人で生活やっていけるんだな。

 

      しばらく考え込んで

 

  直        おれ・・・、おれ・・・相撲はやってみたい、ただ、「あっかち

          ゃん」が心配でな。

か よ         何・・・、心配なのは、私の方ださ、笑わせんなって。

  直       「あっかちゃん」が心配しないなら、俺、相撲取り、やってみる

         かな。

         少しは、相撲ならば自信があるんだ。今まで酒ばかり飲んで、働

         きもしないで、みんなに迷惑ばかりかけた。・・・それに、俺に愛

         想つかして出ていった、おっかや、子ども。それ以上に、俺が一番

         やりたいのは「あっかちゃん」に、楽させてやりたいからなんだ。

か よ        そうだな、お前は今まで、ロクに働いたことはないからな。

         嫁の「はな」さん、子どもにも逃げられたしな。・・・もう少し前

         に、その気になっていて、働いていたら、嫁も、子どももにも、逃

         げられなかったのにな。

  直       俺、腹一杯・・・飯食いたいしよ。・・・出世して、「あっかちゃ

         ん」・・・、おっかや、子どもに、「飯」腹一杯食わしてやるか。

か よ        なかなか出世は出来ないよ、半端な気持ちなら・・・、半端な気

         持ちなら、はじめから行かん方がお前のためなんだぞ。

         今までの生活見てたら、無理かも知れないと思うけど、でも、お

         前も二十過ぎたんだし、ここで何か男として、やらんければ、男じ

         ゃないしな。

  直       そうだよな、このままじゃ、おっかや、子どもに逃げられっぱな

         しの、人間で終わっちゃうよな。

         うん・・・、何か他のもので、俺にやれるものがあるのかなって、

         云われたら、さ・・・、何がね、無いぞな、俺には。・・・なー・・・

         「あっかちゃん」何かあるか。

か よ        そうよな、何かあるかね、あっても、酒、・・・女かな。

  直       そうだよな・・・、自分で納得してたら、「あほ」みたいだ。・・・。

         「善は急げ」だから、明日の朝、まだ隣町に巡業でいる親方のとこ

         に、行く、いいだろう「あっかちゃん」

か よ        お前が決めたんだから、それでいいんださ。

         出世して、私よりも先に、「はな」さんと子どもを迎えてやること

         だよ。

         だが、そんなにも、相撲の世界は甘くはないんだよ。

         それを覚悟で行くことだよ、兄たちは死んだ、お前ももう少しで

         兵隊に行くところだったんだから、兵隊に行っていたら、死んでい

         たんだから、死んだつもりで頑張れるさ。

  直       そうだな、兄達が戦死したのに、出来の悪い俺だけが、生きてい

         るんだからな。・・・拾った命ださ。死んだつもりでやってみるさ。

 

     照明消え、音楽入る

    照明入る、朝である

    母が出て来る

    音楽徐々に小さくなる

    「直」の上着のポケットにお金をいれる

     そこに「直」出て来る

   直     「あっかちゃん」行って来る。何かあったら、直ぐ帰ってくるか

         らな、体にだけは「気」つけるんだよ。

か よ      何も心配するな、おれのことより、自分のことだけ考えてやれ

         って。

 

    「直」玄関から外に出る

     母それを見送る

     一、二歩歩いて、ポケットにあるお金を知る

     「直」玄関の方を見て、手を合わせて、頭を深々と下げ

      る

     音楽大きくなり、照明徐々に消えてゆく

     舞台転換

 

     照明入り、音楽小さくなる

 第三場(回想……三十分)











    あらすじ















ナレーター












1・無銭飲食(七分)















































































































































































































2・泥棒(十三分)





































































































































































































































































































































































































































































































3・演芸会(十分)



























 
時………昭和二十六年夏 「直」二十六歳

 (二場から五年後)

所………1・食堂の玄関先

    2・近所の家の玄関先

    3・お祭りの演芸会場

  五年が過ぎた、夢破れ母のもとに帰って来た。仕事が無

  く、よく無銭飲食で警察のお世話になるが、隣の山田さん

  こと「親父ちゃん」に助けられていた。

  またある時は、ドロボーを捕まえ、説教することもあっ

  た。

  この頃はよく、近くの部落に出かけては、お祭りの余興

  に出ては、賞品を貰って来のである。

「直」が相撲の世界に入って五年が過ぎた。四股名(しこな)を「杉の花」と

名乗り、三段目までは昇進したが、怪我と将来性から、結局二年前

に廃業したのである。廃業をしてから少し東京で生活をしていたが、

昭和二十六年の夏、母のいるこの湧別に帰って来たのであった。

これからは又、元の生活が始まるのである。

   

   直        悪かった、もうしないから。

竹 田            そんな言葉聞きあきた。もうこれで何回目だ。

   直           二回かな、いや三回目だ。

竹 田            何が三回目よ。今月に入って三回目だろ。

            いっも、隣の山田の親父ちゃんに助けられているくせに。

   直           頼むから、山田の親父さんには云わんでくれ、頼む。

竹 田            そんなわけにはいかん、この間ももうやらんて、云っておきなが

            ら、その舌も乾かんうちに。

   直           今度は本当だから、もう嘘は云はんて、・・・あんたも人情がな

            いな。

竹 田            何が人情よ、十回も、二十回も無銭飲食されりゃ、お人好か、馬

            鹿じゃなければされないんじゃないか。

   直           悪い、ただ一杯やりたかったんだ。・・・ご免。

 

       そこに竹田の妻「さと」子ども初子と、山田の親父ちゃ

    ん夫婦が入ってくる

 

さ と            おとうさん、山田の親父ちゃん連れてた。

山 田            またやったのか。

ミ ツ            何回やれば気が済むの。お前は。そのたびに私達が呼ばれてさ。

竹 田            やー、何時も面倒掛けてすまんな。

さ と            私も、これで何回、山田の親父ちゃんとこに走ったかね。

初 子        私だって、もう三回以上も親父さんば呼びに行ったよ。

山 田            何時も何して、竹田さんのとこばかりで、無銭飲食するのよ。

ミ ツ            竹田さんとこ、人がいいから、すぐうまい言葉ば云って、だます

           んださ。

           竹田さん、お前のごまかすのは、お透視なのぐらい、お前だって、

           分かっているんだろう。

竹 田            いや、・・・知っていても、「直」が可愛いいもんだから。つい。

さ と            うちの父さん人がいいもんだから、だまされるの知っていても、

           飲ましたり、食わしたりするのよね。

           後でいつも私にあたっているくせに。

 

初 子       そうなんだ。父ちゃんなんか、いつも母ちゃんばおこっているん

           だからね。ねーやめて。おじさん。

山 田           「直」何か云ったら。悪いことしたときは、いつも無言だな。

ミ ツ            そうよ、いつもみんな許しているけど、あんたが可哀そうじゃな

           いんだよ。

           それは、お前の母さんが可愛そうで許してやってるんだよ。

   直           「あっかちゃん」のこと、言うなって・・・、

            もう、せんから、許してくれ。

 

初 子        「直」おじさんたら、「母さん」のこと云ったら、いつもおこる

            もね。

山 田            なー「直」、お前にはプライドはないのか。大相撲で三段目まで

            行った「杉の花」だろう。ここの竹田さんなんか、一番喜んで、応

            援していたんだ。番付表をみては、店に来た人に自慢して、話して

            いたんだぞ。

ミ ツ            だから、今でも無銭飲食されること知っていたって、飲み食いさ

           せてくれるんだよ。それがわからんのかい。

竹 田            「杉の花」、懐かしいね、その名前・・・、番付表で、四股名探す

           のは大変だったけど。でも、序の口、序二段、と昇ってきたときは

           嬉しかったな。

山 田            そうださ、少しずつ四股名の字が、大きくなるのさ、三段目に昇

           進したときは、みんなで大騒ぎよ。

           虫眼鏡でなくても、見えるようになったんだからな。

           そんなお前が、何してこんなみじめなことば、するのよ。

さ と            こんな小さな街から、相撲取りが出たって、我が子のように、喜

           んでいた、家の父ちゃんのとこで、無銭飲食しなくてもいいだろさ。

           うちだって、そんなに楽じゃないんだよ。

 

初 子        私なんか、おやつは、いつも「かぼちゃ」か「いも」なんだよ。

            お菓子なんか食べたことないよ。

竹 田            もういいって、・・・云うな、そんなこと、こいつは、百も承知

            なんださ、腹減ったらしょうがないって、今回は許してやろうや。

山 田            何時もすまんな、分かったか、「直」。私もこれ以上は云わん。

            ただ、これからのこと、よく考えるんだな。お前も相撲取りの端

            くれだ、それを忘れるな。

   直        はい。

 

 

    「直」ただ下を向いたまま反省の姿である

     音楽入り、照明消える

     照明入る

     音楽小さくなる

あ や            おかしいよ、見たことないよね。

千 代            そうだよね、知っている、和ちゃん。

   和           いや、知らない、見たことないよ。

あ や            どうする、おまわりさんに知らせようか。

千 代            そうだね、それがいい。

   和           俺が警察に行って、よんでくる。

あ や            私が行く。

千 代            私も行く、和ちゃん見ていて。

   和           いやだよ、ここに居るの、出て来たらどうするのさ。

あ や            そしたら、みんなで、呼びにいこう。

千 代            それもいいけど、もし呼びに行ってる間に、出てきて、逃げたら

            どうするの。

   和           そうだよ、逃げたら、大変だよ。

あ や            そうだよね、いなくなっちゃうかもね。

千 代            したら、どうすればいいのさ。

   和           だったら、あやちゃんと、千代ちゃんここで見ていて、ぼく行っ

            て来るから。

 

 

     そこに「直」が来る

   直            何してる、三人で。

あ や            おじさん、ここに変な人入ってる。

千 代            見た事ない人が入っていったんだから。

   和           きっと泥棒だよ、きっと。

   直           何に泥棒か。

あ や            おじさん、相撲取りだったんだから、こんなのつかむの、簡単だ

           よね。

千 代            そうだよね、入って行ってつかまえたら。

   和           そうだ、中でいろんな物探しているよ。

   直           そりゃ、おれは強いよ、でもな相撲には強いが、泥棒には強いと

            はいえんて。

あ や            そしたら、どうすりゃいいのさ。

千 代            おじさん、本当に相撲取りだったの。

   和           したら、ぼくたち、警察に行って呼んで来るから。

   直           何、みんなで行くのか、そんなこと云わんで、一人ぐらい俺と、

            ここに残れて。

あ や            おじさん、怖いんだ、一人でいるのが。

千 代            和ちゃんここにいれ、私と、あやちゃんが警察に行ってくるから。

   和           うん、頼り無いおじさんと、ここにいるから、早く警察連れてき

            て。

 

 

    あや、千代舞台下手に走り行く

   直           どんな奴だった、体、大きかったか。

   和           それほどでもないけど、おじさんよりは、大きかったかもよ。

   直           俺よりもか、・・・何か手に持っていなかったか。

   和           うん、そうだ、小ちゃな風呂敷包みたいな物、横に抱えていたと

            思う。

   直           それだけか、他に何か持っていなかったか。

 

     そこに、泥棒が出て来る

 

   直           コラ、何してる、お前は誰だ。

泥棒の五郎             はい、私は、・・・ちょっと。

   直           何がちょっとだ、お前、今食ってるの、何だ。ここの人に断って

            食っているのか。

            それに、その包は何した。お前のもんか。

   和           さっきそんなに大きな物、持っていなかったよ。

   直           どら、おれに見せてみろ。

 

     「直」恐る恐る、近づく

 

五 郎            これは俺のだ、務所(むしょ)から持ってきたもんだ。

   直           嘘云え、務所からであれ、どこからであれ、そんな大きな物持っ

            てこれるか。

            ・・・何、・・・務所って、刑務所か、・・・お前脱獄してきたの

            か。

五 郎            そうだ、・・・昨日網走の刑務所をな。

   直          何、脱獄。

五 郎           ・・・脱獄、何かしてないって、・・・刑を終えて出てきたんだ。

   直          それで、何でここにいるのよ。

五 郎            金ないし、腹減って、どうしょうもなかったんで、旭川が実家だ

            けど、ここまでバス乗り換えて来たんだ。

            家いっぱいあったから、何か食べるものあると思って降りたん

            だ。・・・昨日から何も食っていないんだ。

 

    そこに、綾、千代、警察官が入ってくる

 

警察官            どら、どこに泥棒が入ったって。

   直           いや、泥棒なんていないぞ、何かの、聞き違いじゃないのか。

あ や            この人だよ。

千 代            そうだ、この人だ、ねー和ちゃん。

   和           うん、そうだよ

警察官            何、この人が、そうじゃなくて、お前だろう。

   直           何、云っている、馬鹿なこというなって。俺はまだ、泥棒までに

            は、落ちぶれてはいないぞ。

警察官            そしたら、どこに泥棒がいるんだ。

   直           なーおまわりさんよ、この人、昨日刑務所出て、ここまでは来た

            んだって、

警察官            何、脱獄か。

   直           俺と同じこと云ってるさ。この人、刑終えて出てきたんだって。

            旭川まで行くんだってよ、ここまで来て、腹減ったもんだから、こ

            こで食べさせてもらっていたんだってよ。それを見て、知らない人

            なもんだから、こいつらあわてたみたいでさー。そうだよな、みん

            な。

警察官            そしたら、なんしてここの家の主が、いないのよ、ここに。おか

            しいぞ。

   直           いや、ここの、中村さんちの母さん、味噌無いもんだから、そこ

            の店まで買いに行ったんだ。そうだよな。

警察官            そうか、……それ本当か、なあーそれ本当か、……それならいい

            けど、何で私を呼びに来たんだ、なー和君。

   直           なー和、警察官を呼びに行ったんじゃないよな、俺が頼んだの

            は、警察に行って、泥が付いてもいいロープ貸してもらってこいて、

            頼んだんだ。

警察官            何するのよ、ロープなんか。

   直           あー・・・ロープな。そうだろう、和ちゃんよ。

   和           あー・・・へ・・・、そうかもね。

   直          「そうかもね」じゃ、ないだろうさ。そうなんだ。おまわりさん

           よ。この先で、薪積んだ馬車がぬかりこんでさ、それ引っ張り上げ

           るのにロープがいるんで困っている人がいてよ、それなら、物持ち

           のいい、おまわりさんの所だったらあるんじゃないかって思って、

           行かせただけだ。

あ や            おじさん、うまいこというなー。本当みたいださ。

千 代           本当だね。

警察官           そうか、本当か。まあーそうだな、この辺には、泥棒なんていや

            しないって、・・・酒のただ飲みはいるがね。まあまあそういう事に

            しておくか。ところでこの人は、どうするんだね。

            旭川にこれから行くのかね・・・これから。

   直         いや、ここで飯食わしてもらったんだから、これ以上世話かけれん

           て、中村さんには・・・、今晩はおれ家で泊まるんださ。なー「どろ・・・」

           いや、土・・・橋さんよ。

五 郎       あ・・・はい、お世話になります。でも。いいんですか。

警察官       私も忙しいので、これで失礼するよ。てっきりお前が泥棒でもした

           んかと思っていた。お前でなくて、いかった、いかった。・・・じゃ

           な。「直」・・・さんよ、悪いことはするなよ。じゃー。

   直        あー……心配すんな、おれ、そんなに、悪い奴じゃないって。なーガ

          キどもよ。

 

   警察官下手に入る

   子どもたち、何が何だかキョトーンとしている

   直        なー、この人悪い人じゃないって。昨日刑を終えて出てきたばっかり

          で、金なんかない、食べる物がなかったら、お前たちならどうする、我

          慢して食わないで死ぬか、それとも、そこに食べ物があったら、だれだ

          って、我慢出来無くなって、手、出すんじゃないか、こいつが悪いの

          は、黙って食べたことだ。

          許してやろうや。きっと、こんなこと二度としないと思う。

あ や          どうして、おじさんは見逃してやろうと思うの。泥棒は、泥棒だよ。

   直        おじさんだって、時々だけど、いや、たまにだけど、悪いことしたこ

          とがあった。そのときに、何時も、隣の山田の親父さんに助けられたん

          で、人には許せることと、許せないことがあると思うんだ。こいつの場

          合は、一度だけは見逃してやりたいんだ。

          俺が、してもらったように、一度だけは許してやろうや。なーみんな。

千 代        悪いことは、悪いと思うけど、おじさんの云うことも、少しは分かる

          かな。

   和       だけど、俺が一人悪者に見えるんじゃないんかな。

   直       いや、お前は悪くはない、ただ「泥の付いてもいい」ロープを借りに

          いったんだからな。おい、五郎、今日は俺の家に来て泊まれ、腹一杯飯

          食べて、明日は家族のいる、旭川に帰れ。なー。

五 郎        はい、すみません、もういたしませんから。恩に気ます。

          なーあやちゃん、千代ちゃん、和ちゃんと云ったかね、どうもありが

          とう。

   直       おー、ここの人帰って来ないうちに、早く俺の家に行くぞ。

五 郎        はい

 

 

 

  「直」大きな荷物を家の中に入れて、五郎の手を引き下手に入

   る

   音楽入り、照明消える

   照明入り、音楽小さくなる

 

 

司 会      はい、ではここで、いよいよ最後の二人になりました。第三部の終

          盤に入らせていただきます。

          まずは、歌をお聞き下さい。

          相場典子さん、曲目は「リンゴの唄」です。みなさん絶大なる、拍手

          をお願いいたします。

          では、相場さん、どうぞ。

 

      相場さん、「リンゴの唄」を歌う

 

司 会      盛大な拍手、ありがとう御座いました。

          では、この余興の最後を最後を踊りで飾っていただきましょう。

          踊る曲は「港町十三番地」。踊って頂きますのは白幡ヒデさんです、

          大きな拍手をお願いいたします。

          では白幡さん、宜しくお願いいたします。

     白幡さんが踊る

     そこに、「直」が、会場の後方から出て、飛び入りさせれという

   直      最後に俺にも歌わしてくれないか、いいだろう、なーみんな。

 

       客席から拍手がでる

 

司 会      さてみなさまからの、ご期待にお答えして歌って頂きましょう。

          それでは、元大相撲力士「杉の花」さん、宜しくお願いいたします。

          歌は十八番「一本刀土俵入り」・・・どうぞ。

 

      直」歌いだす

    二番を歌い終える

    音楽はいる

    照明小さくなる

    舞台転換

 

    音楽小さくなる、照明入る 

 第四場(十分)


あらすじ




























































ナレーター     
















 
時、所………第一場に戻る



      「直」の回想は続く。母への感謝、相撲取りで成功しなか
   
       ったことの、母への詫びの気持ち、最大の親孝行であろう

      「土俵入り」を夢で見るのであった。相撲甚区が入り「杉

       の花」の土俵入りが映り、そばで母が泣いている。幕。

 

   直       やー酔っ払ったな、・・・いろんなことをしてきた、「あっかち

            ゃん」には心配のかけ同士だった。

            一番心配かけたのは、俺だろうな、・・・だけど、一番悲しませ

            たのは、兄達だって、戦争で、二人も戦死したんだからな。

            出来の悪い、おれが生きてるのも、宿命かな。

            五十年生きて、せめて「あっかちゃん」には、俺の土俵入りを見

            せてやれなかったのが、心残りだな。夢でいいから、せめても見せ

            てやりたかった。

       音楽入る(相撲甚句)

     照明徐々に小さくなる

     下手にシルエットで、土俵入りが映し出される

     上手に、母がスポットで浮き上がる

     音楽、照明消えていく

     ホリゾントに真っ赤な火炎写る

     半鐘がカン、カンと鳴り響く

     音楽入る

     小さくなり、ナレーションが入る

 

       酒に酔い、ストーブを蹴ったのである。

       酔いのため、目が覚めることなく、この真っ赤な火の中で、生涯を

       終えたのである。

       「人は、何んで生きているのだろうか」と、問われた時、あなたは

       どう答えますか。

       「直」は、・・・「人は、一生の間に、何回かは喜びを味わうことが

       ある。そのために、生きているのだ」と答えるのではないでしょう

       か。

       ・・・果たしてみなさんはどうでしょうか。

       そう云いきれることが、今までに幾つありましたか。

       さて、この気ままな生涯を送った「直」には本当にそう云えること

        が、幾つもあったと自慢して云うでしょう。

       五十年という短い生涯ではあったけれども、いろいろな人達に、戦

       後の荒んだ心に「夢」を与えたと思います。ただそれ以上に、多くの

       人に、多くの迷惑をかけたことは云うまでもありませんが。でも、こ

       れこそが、人間として、真っ正直に生きた、五十年だったので

       はないでしょうか。

       さて、みなさん、・・・みなさんはどうでしょうか。

       今一度これを機会に、自分の一生を考えて見てはどうでしょうか。

       ・ ・・あなたも今、「生」きているのですから。

 

   再び相撲甚句が大きく流れる

      〜幕〜

 
   スタッフ    企画

脚本

演出

演出補

舞台監督      

舞台製作

音楽

音響

照明

化粧

衣装









協力者











代 表

事務局

広報



        
町民芝居ゆうべつ

石 渡 輝 道


石 渡 輝 道

本 田 勝 樹


坂 本 雄 仁


大 崎 一 文

菊 池 陽 斗


中 野 純 一


仁 木 宏 紀


宮 本 則 子


小 川 敬 子

渡 辺 明 美

入 江 ゆかり

岳 上 美 智

湊 谷 まゆみ

洞 口 百合子

臼 井 智恵子

大 崎 一 恵

仲   陽 子

佐 藤 真由美

安 彦 好 子

 

本 田 勝 樹

由 野 のぞみ

茂 利 泰 史


    キャスト 
 第一場、第四場 
 



  第二場、第三場……回想場面 

 




主人公「直」(五十歳)          伊 藤 誠一郎

 

 

直(二十歳)               伊 藤 誠一郎 

妻・はな (二十五歳)         仁 木 慶 子

母・かよ 通称「あっかちゃん」(四十五歳) 

                      佐々木 絵 里

多田親方(相撲)(五十歳)      深 谷   聡

隣人山田 通称「おじちゃん」(五十歳)   

                      本 田 勝 樹

その妻・ミツ(四十五歳)        松 下 章 子

食堂の主人・竹田(四十五歳)     洞 口 忠 雄

その妻・さと(四十歳)          由 野 のぞみ

その子ども・初子(十歳)        渡 辺 静 香

警察官・近藤(五十歳)         茂 利 泰 史

泥 棒・五郎(四十五歳)         荒 井 佳 人

子ども・あや(十二歳)                  佐 藤 梨 華

その友達・千代(十歳)          大 前 琴 絵

〃  和(十歳)              仲   宗太郎

〃  静(十歳)              臼 井 愛 雅

祭典余興出演者(出演者年齢とする)

歌い手                   相 場 典 子

踊り手                   白 幡 セツ子

ナレーター                 加 藤 葉 子

 


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