犬がやってきて桃太郎に話しかける   作/モーゲン王



「ワンワン、桃太郎さん、桃太郎さん。お腰につけたきびだんご、ひとつ私に下さい な」
 桃太郎は、素朴な疑問を投げかけました。
「おい、どうして犬が人様の言葉をしゃべるんだ? それから、俺とお前は初対面な のに、どうして俺の名前を知ってるんだ? それに、袋を開きもしないのに、どうし て中身がきびだんごだとわかるんだ?」
「………」
 犬には、返す言葉がありませんでした。
「どうしたワン公、早く答えてみろ! なぜそうなるのか? 三十字以内で答えよ
(配点・五点)
 犬は、桃太郎の調子に乗った態度に、大いに怒りました。
「うるせえ! ぐだぐだ抜かさねえで、とっととよこしやがれ!」
 犬は桃太郎から袋を強奪して、中のだんごを口に放り込みました。
「もぐもぐ…うーむ、いい味だしてる。意外なことだ。……うっ、く…苦しい…!」
 犬は全身を震わせて苦しみだしました。
 桃太郎、袋の中身を調べていわく、
「ややっ! おいコラ、これはゴキブリ退治に使う、ホウ酸だんごではないか! こ んなもの食ったら、死ぬぞ」
 犬は、苦しみながら文句を言いました。
「て…てめえ…このワン公様にホウ酸だんごなんかを食わせるとは…いい度胸だな… !」
「何言ってやがる。お前が勝手に、強奪して食ったんだろうが」
「や…やかましい! お…おい、サル、キジ、この野郎をやっちまえ!」
 犬の号令で、どこからともなくサルとキジが参上して、犬といっしょになって、 あっと言う間に、桃太郎を包囲しました。
「それ、一斉攻撃だ!」
「ちょ、ちょっと待て! 話せば……」
「うるせえ!」
 こうして桃太郎は、犬サルキジの三匹にボコボコにされてしまいました。

[妄言王作:『桃太郎ラプソディー』の一部を転載]
 





この続きを作って。
この続きを作って。






蟹屋 山猫屋