「足もとの石なんか気にもとめない」または「"バビル2世"」   作/鐘辺完



 桃太郎が旅をしていると、目の前に黒い影が現れました。
「何者!」
 それは黒豹でした。
「バビ……いや、桃太郎様。私をおともにお加えください」
「わかった」
 桃太郎は民話のキャラらしく考えなく承諾しました。
「それで、おまえの名前は?」
「ロデ……いや、イヌとお呼びください」
「どうみてもヒョウだが……」
「イヌとお呼びください」
「……」

 お供になったイヌと一緒に旅を続けていると、今度は巨大な飛行物体が桃太郎 の上に現れました。
 ものすごい風圧とともに、それは桃太郎のすぐ前に着陸しました。
「くけぇぇぇぇぇぇぇ!」
 怪鳥音をあげるそれは、赤い巨鳥、……いや、どちらかというと翼竜のような ものでした。
「お供に加えてほしいそうです。バビ……いや、桃太郎様」
 ロデ……イヌは巨鳥の気持ちを代弁した。
「おまえ、このトリの言うことがわかるのか?」
「わかりますとも」
「……そうか。では、おまえもお供に加わるがいい」
 桃太郎は相変わらず深く考えずに巨鳥も仲間に入れました。
「くけえええ」
「喜んでいます」
代弁するロデ、……イヌ。
「それで、この巨大なトリの名前は?」
「くけえぁぁ」
「ロプ……、いや、キジと申しております」

 イヌとキジをお供に旅を続ける桃太郎。
 そこへ今度は巨大な金属でできた大男が現れた。
「ポセ……、サルだそうです」
 サルの代弁をするイヌ。
 こうして、イヌサルキジの三つのしも……いや、三匹のお供が揃いました。
「さあ、ヨミ……いや、オニを退治にまいりましょう」
 イヌが言いました。
 桃太郎一行は鬼ヶ島に向かいました。

 もちろん、鬼が彼らにかなうはずもなく、鬼ヶ島の鬼はあっさり退治されてし まいました。

 めでたしめでたし。  












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