「しかし、偵察は失敗しました・・・」 犬山は、はっはっと苦しげに息を吐いた。犬だからして、当然である。 「バ・・・バカな」 おばあさん改メ袋田タキは驚愕した。車○正美調である。 「るんるん村どうぶつ第7中隊の精鋭が、3匹がかりでなお失敗とは・・・」 「私も失敗することなどありえないと思っていました・・・。しかし、予想外のアク シデントがあったのです」 犬山はひと声唸り、吐き棄てるように言った。 「猿谷が・・・裏切りました。買収されて、我々の行動を敵にリークしたのです」 「まさか! 猿谷は金で仲間を売るような奴じゃないよ」 「いえ、金でなくモンキーバナナ1年分で」 「あ、そりゃ売るわ」 猿谷は昔から食べ物には意地汚かった。 「私はなんとか逃げのびましたが、キジ島は捕らえられて、こんな姿に・・・」 犬山が差し出した紙箱のフタには、世界一有名なケンタッキー州出身者の肖像がプリ ントされていた。 「あんれまあ」 「うおお、キジ島! おまえの仇は必ず取ってやるからな!」 感極まり号泣する犬山。しかしその口まわりの油っぽい食べかすを、元・鬼教官の眼 は見逃さなかった。 「所詮は、畜生か」
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