お風呂免許習得物語
<其の15>

【み・弟子】
「いよいよ今日から滝修行ですね。名人、こっちです。足元滑りますから気を付け て。」

【Q修行者】
「おいおい、大丈夫か?ほんとうにこの滝で修行した人っているのかな。おや?お 前、何か不自然な所に立ってないか? どけよ、一体何を隠してる?」

【み・弟子】
「え?何も隠してなんか・・、あら、そんな、押さないで。」

【Q修行者】
「看板か。『熊出没注意!ここは熊が鮭を捕りに来ることがあります。刺激しないで 下さい。』・・・。帰ろうかな、俺。」

【み・弟子】
「ここで帰っちゃダメですよ。修行しましょうよ。」

【Q修行者】
「わかったよ。入りゃいいんだろ。うっひゃぁ〜。つめてぇ〜。なんて冷たさだ!ち くしょー。頑張るぞ!わわわわわわわ。痛て痛て痛て痛て痛てぇ〜、立ってられない ぞ。わっっっ!」

【み・弟子】
「あー。名人が、流されちゃう〜。しっかりして名人!困ったな・・・名人!熊です !」

【Q修行者】
「うわぁ〜。俺を喰ってもうまくないぞぉ。いや、死んだふりしてた方がいいのか な。」

【み・弟子】
「嘘です。さぁ、もう一度、滝へ。」

【Q修行者】
「え〜。やだ。今日はもう宿へ帰る。」

【み・弟子】
「待って下さいよぉ。もうちょっと頑張ってみましょうよぉ。」

【Q修行者】
「だったらお前ちょっとやってみろよ。」

【み・弟子】
「そんなぁ、死んじゃいます。」

【Q修行者】
「とにかく今日はもう帰る。」

【み・弟子】
「あっ、名人、熊!」

【Q修行者】
「何度も同じ手に引っかかるもんか。」

【み弟子】
「ホントです、ほらあそこ。さっきまで名人がいた滝壺の近く。」

【Q修行者】
「うっひゃぁ〜。」

〜〜〜〜〜数時間後〜〜〜〜〜

【Q修行者】
「ここの露天風呂は最高だなぁ。空気が綺麗だから満天の星空だ。宇宙を感じる。 ちっぽけだよなぁ。俺なんて。昼間の熊も同じ星空を見ているんだろうか。ん?あの 熊の立ち姿勢。あれは見習うべき物があるかも。う〜ん。」


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