お風呂免許習得物語
<其の14>

【み・弟子】
「頑張って下さいよぉ。あの山を越えた所ですぅ。」

【Q修行者】
「もう、いや。疲れた。腹減った。眠い。汗かいた。風呂入りたい。」

【み・弟子】
「名人、お願いしますよ。私だって同じ気持ちです。もう少しです。
それにこれがもう修行でしょう?」

【Q修行者】
「判っている。言ってみただけだ。俺もそうそう堕落してるわけじゃないさ。しかし 北海道の山だろ?ここ。 熊は大丈夫か?」

【み・弟子】
「秋ですからねぇ。冬眠前の一番食欲のある頃ですね。」

【Q修行者】
「行くぞっ、ぐずぐずしてると置いて行くからな。」

【み・弟子】
「あっ、待って下さい。置いていかないでぇ〜。」

【Q修行者】
「滝が見えた。あれか?凄いな。」

【み・弟子】
「はい。宿はその隣の小さな建物です。良い露天風呂があるんですよ。」

【Q修行者】
「あの滝・・ちょっと大きすぎないか?大丈夫かなぁ。俺。」

【み・弟子】
「名人はきっと出来ますって。そして必ず何かをつかんで試験に挑むことが出きる人 です。私はそう信じていますから。」

【Q修行者】
「お前はそう、簡単に言うがマジでやばいぞ。この滝・・・。」

【み・弟子】
「ごめんくださーい!予約していた者ですが。部屋ありますよね?はい。そうです。 判りました。名人、部屋はこっちですって。
今日はもう遅いので宿の露天に入って、明日から滝修行すればよいと宿の主人が言ってました。滝修行の白装束も用意してあ るそうです。」

【Q修行者】
「・・・・。」
(ここで滝に打たれて死んでしまうか、または、熊に喰われて死んでしまうか。たぶ んどっちかだな。俺の命もここまでか・・・。)

【み・弟子】
「名人!何、暗くなっているんですか!?名人が入らないのなら
私が先に露天に入ってきますよ。わー。すごーい!」

【Q修行者】
「何んで楽しそうにはしゃいでいるんだ?こいつは。にぶいのか?明日から地獄だ ぞ。」


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