世にも危険な物語2



釣りをしていてとても危険な場面に遭遇したことがある方も多いことだろう。我々も年に一度はそんな目にあっている。・・・

<エピソード#2>1998年4月朱太川

 昨年、冬に江ノ島海岸でウミアメを狙った帰りに事故を起こしてから、真冬の釣りはしなくなった。行きたい気持ちはあるのだけれど今のところほとぼりが冷めるのを待っている。といっても春までは待てず3月になって近場での釣りをはじめた。千歳川中流域は毎年釣り人でこの時期賑わっているが、今年はあまり釣れている話は聞かれなかった。

 そんなとき何気なく見ていたニュースにアメマスがボコボコ釣れている映像が目に入ってきた。ナンダここは?どこだ?ニュースはサケの稚魚放流からそれを狙うアメマス、そのアメマスを狙う釣り人たちといった構成で3分程だったように思う。はじめは油断してみていたが川の名前だけはしっかり書き留めた。ー余市川だ!

 次の日、仕事帰りに高速をとばして余市へと向かった。それほど釣り人を見かけない。「変だなあ」と思いながらも河口で竿を出すが全く当たりもない。そういえばテレビで釣っていたのは漁港だったな。しばらく車を走らせ漁港発見!この時点で「もらった。」と確信した。数投目のキャストの後ついにヒット!「NHKありがとう。受信料は無駄ではなかった。」初めてのウミアメ感謝感激!さすがに良く引くなあ。・・・ん?形が変。なに、釣れたのはカワガレイ、しかもスレ。良く引くわけだ。でもまさか、スプーンにカレイがかかるとは夢にも思わなかった。その後はむなしいキャストを繰り返すのみ。

 その週の休日、まだあきらめきれない私は、友人とともに再び余市川へ。が、やはり当たりなし。そして、地元の人曰く「あんたたち来るの遅いわ。アメマス釣るんだったらもっと寒いときにこなきゃ。」そうだったのか。つくづく間抜けだな。あれは録画だったのね。「もう紅白は見ないぞ!!!」

 前置きがかなり長くなった。

 そして、ウミアメがあきらめきれない私に朗報が。***今、朱太川でアメマスが釣れている***これはかなり有力な情報だ。
 朱太川到着。(前置きが長くなったのでかなり展開が速くなってきた。)どこだかポイントは分からないので、手当たり次第釣っているとお巡りさんがやって来た。

  「何釣ってるの?」   何かフレンドリーな態度ではない言い方だ。
  「アメマス狙ってます。」
  「アメマスならみんな橋よりも下で釣ってるぞ。」

何が言いたいのかやっと気が付いた。初めっからそういえば良いのに。おそらくサクラマスでも狙っているのかと思ったのだろう。でも、アメマスのポイントが思わぬところから分かり、早速橋の下流へと向かった。やはり釣り人は多い。・・が、釣れるのはウグイばかり。まだ釣りたかったが、J氏が7時までに車を工場に取りに行かなければならないと言うことで仕方なく帰ることにした。

 その帰り道、喜茂別を過ぎセブンイレブンで噂のクイニーアマンを買って、中山峠に向かって走り出した。しばらく走っていると、車が揺れだし、次第にユレは激しくなった。おそらく震度3は越えている。完全にパンクだと思った。車内ではみんな動揺し騒いでいる。

後部座席のJ氏   「おい、どうしたんだ!」
助手席のハニー   「な、なんだ!!  あ!?左に路側帯があるぞ!」
 これはラッキー!ハンドルを左に切った。
J氏   「ナンダあれ!タイヤが転がって行くぞ!!!」

 何でタイヤなんか転がるんだとと思った瞬間、ガクンと車体が斜めに。いやーな金属音とともにブレーキが利かなくなる。そして、おそらく見ていないが火花を散らしながら数メートル進んで停車。窓の外を見ると、J氏が言ったとおり我が愛車のタイヤがころころと転がり止まった。

 こうなる前兆はかなり前から現れていた。

前兆1:ここ数日前からハンドルを取られることが多かった
      ・・・でもホイールバランスが崩れていると思っていた。
前兆2:行き道で車の後ろの方でカタカタ音がしていた。
      ・・・荷物が車体に当たっているかと思っていた。
前兆3:喜茂別に入る途中ブレーキの効きが少し甘くなった。
      ・・・やっとなんか変と気づいたが走り続けた。
 今考えればこれだけ不思議なことがあったのに、すべてを見逃していた。

 原因はタイヤ交換の時のボルトの閉め忘れだった。でもこれだけですんで良かったとつくづく思う。
 もし、峠のカーブでタイヤがはずれたら・・・
 もし、札幌の中心街でタイヤがはずれたら・・・
 もし、はずれたタイヤが通行人やお店に直撃したら・・・
考えれば考える程恐ろしい。

 どうにかこうにかタイヤを取り付け、ゆっくり札幌へ帰ろうとした。が、ブレーキが全く利かず、近くの民家の電話を借りてレッカー車を呼んでもらった。(お婆ちゃん親切にありがとう!)

 20分後レッカー車到着。ん、見覚えのあるお兄さん。そう、昨年追突事故を起こしたとき、来てくれたお兄さんだ!!あのときは寒い中本当にありがとう。今年もよろしくね。結局、その場で車はなおらず、代車で札幌へ。

 後に残された車には、J氏の食いかけのクイニーイアマンが笑って転がっていた。


Sample image

レッカー車に引かれながら


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