昭和の小漁師top        ホッキ貝漁業

この漁業経営と営漁診断は数十年前に、大学の教授へお願いをし冊子に収めたものです。
それ以来、幾多の変遷を経てなお、改善は見られませんでした。
オホーツク海の漁業における環境は、楽観を許されない局面を迎えていると思えるが
漁業者自身の検討委員会を設けたとしても、目先の利害に誘導されるため、第3者機関の設置が待たれるところです。
漁業権


ホッキ貝・エゾバカ貝桁網漁業

 (1) 経過と現状

@ 調査事業としてホッキの生息が確認されたのは、昭和39年になってからである。
   41・42年に調査及び漁具改良を行い、43年から本格操業に移行した。
    このときの操業期間は7月16日から1231日で、3隻で操業した。
   40年から稚貝放流事業を実施し、町の補助金も支出されている。
  この事業は、40年に引き続き、42・46・49・50・51・61・62年に実施されている。
   57・58年に採苗試験が行われたが、成功には至っていない。
  また、57年から資源量調査に基づく許容量を決め、その範囲で操業している。
  ホッキの生産量は、53年まで多くて6〜7トンに止まっていたが、54年以降20トンから
   50トンに増加している。
  エゾバカ貝は数年おきに異常発生しているが、漁獲量基準は上昇傾向にある。
  生産金額については、価格の低下傾向の下で生産量程の増加はみられない。
  エゾバカ貝の生産金額は、異常発生年にはホッキ貝のそれを超え、価格も安定していて
   重要な位置を占めている。

A 操業期間は4/20〜5/20と8/1〜11/30、操業海域は沖出し1,500m以内の定置より
   三方に150m以上離れたところ、使用漁船5d未満、乗組員は原則2名である。
  使用漁具は桁網2台以内で,墳流式桁網の場合は1台以内である。
  この墳流式は、海底噴射のため定置網への汚泥の付着等が懸念されたが、試験の結果
   影響のないことが確認され58年からノルマ制の導入を条件に認められたものである。
  ホッキの総漁獲量規制は50トンで(現在は120トン)、殻長は8cm以上(現在は9cm)
   に制限されている。
  着業隻数は7隻以内(10隻)とされているが、54〜57年7隻、58・59年6隻、60〜63年
   5隻、そして平成元年6隻と資源量の変動に合わせて変化している。
  経営単位は2名以内の共同とされているので着業者数も隻数と共に変わる。
  また、操業日数は61年の68日から62年79日、63年87日と漁獲量の増加と共に増えて
   いる。

B 販売価格は、40年代には200円台から500円台へ上昇し、50年代前半には700円
   から1,000円を超えるまでに上昇した。
  しかし、50年代後半以降価格は低下を続け、600円台まで落ちている。
  札幌中央卸売市場における貝ホッキの価格は、50年代後半に入って月別変動の傾向
   が変化している。 
  すなわち入荷量の変動にもかかわらず価格変化が平坦になっていることである。
  かかる傾向は、ホッキ輸入量の増加や福嶋における「資源」 管理による出荷調整等全国
   的動向の影響という事が出来よう。
  55年以降の入荷量と価格との関係では右下がりの傾向が読み取れる。

 (2) 問題点

@ 62年以降漁獲量は安定している。 稚貝放流の効果がどの時点で表れるかであるが、
  放流数が増えた50・51年のものと57・58年の漁獲量増加との関連、61・62年の大量
  放流と次の漁獲量への影響が検証される必要がある。
   とくに、62年における放流事業費は2,000万円を超え、62年生産金額の40%にのぼ
  り、対費用効果が問われるところである。

A 噴流式桁網は、桁を曳く時の抵抗が少なく,そのため壊れ貝がツメ式の時の5分の1〜
  10分の1に減少し、曳き網等の道具の耐用年数も格段に伸びたとされている。
   5隻操業・ホッキ漁獲量50トン水準では1隻当たり10トン、操業1日当たり600kg前後
  であるが、これにエゾバカ貝約1トン以上が加わるので桁の曳き揚げ作業は必ずしも楽で
  はない。
   後継者の見習い期間及びエゾバカ貝出荷機関には1名の増員を認めているが、若干労
  働力の確保が不可欠である。
   1人当たり生産額は500〜600万円を超え、収益性の高い漁業である。
  資源増大と着業希望者をどのように調整するかが問題となろう。

B 札幌市場における入荷量は、50年代前半に400トンから一挙に1,200トン台に増加し
  50年代後半も同水準で推移するが、60年代に入り再び増加にテンジ88年には1,500ト
  ン台になる。
   これは、北海道からの出荷は1,200トン前後で殆ど変わらないので、専ら道外の出荷
  増に基づいている(主に福島県)。
   同時に、60年代の価格は低下傾向をたどる結果となっている。
   かくして、生産量の少ない産地は、価格の全体的動向に対して受動的な地位に甘んじざ
  るを得ない。
  価格を与件とした効率的な生産・販売対応を考える事が重要である。

 (3) 課   題

@ 資源培養と管理の徹底である。
  62年における稚貝放流海域は禁漁処置が取られている。
  これによる成果をどのように上げるかが今後の管理に大きく影響するであろう。
   ホタテ漁業は組合員の共同事業であるが、ホッキ貝漁業は個別漁業者による管理型漁
  業として外海における安定漁業に仕上げるべきである。
   他漁業からの間引きにも役立つ。

A 噴流式の導入効果は大きいが、桁網の操作レベルにおける省力化・効率技術の改善が
  課題であろう。
   また、ホタテ漁場との係わりでホッキ貝漁場をどのように確保し、管理するかである。
   管理について先進地に学ぶ事が必要である。

B 市場価格に対する影響力は小さいので、オホーツクものとしての品質における差別化、
  販売ルートの独自開拓による以外に価格形成における主体性を持つことはできない。
  生産が増大し、管理が徹底するなかでかかる課題が大きくなろう。

表12 ほっき・えぞばか貝漁業の制限及び規制
 

使用できる漁船 : 5d未満
使用できる漁具 : 桁網2台以内、但し噴流式桁網は1台以内
操業できる期間 : 4/20〜5/20 及び8/1〜11/30
乗組員の制限  : 2名以内
             但し、見習い期間20日間1名増員認める(報告)
             エゾバカ貝稚貝出荷期間1名増員認める
操業の制限
 経営体制    : 2名以上の共同経営
 採捕禁止    : ほっき殻長9cm未満
 漁獲制限    : ほっき総漁獲制限 50トン(現在は120トン)
 隻数制限    : 7隻以内 (現在は10隻)
 操業規制    : (1)定置より3方に150m以上離れて操業
             (2)A〜D海域の当年貝の放流区域は、当核区域の移植又は   
                漁獲終了まで操業禁止