コルドバ

メスキータ(Mezquita)


 コルドバのメスキータ(回教寺院)は、メッカにある世界最大のカーバ回教寺院に次ぐ大規模なもので、コルドバ・カリフ王朝の絶頂期を象徴する記念碑ともいえます。メスキータそのものはイスラム寺院なのですが、歴史を重ねキリスト教と混じりあった一種独特な寺院とも言えます。その外壁は高くまるで牢獄の壁のようですが、進入する敵でもあったのでしょうか。
 北側の「免罪の門」が正式な入口で、入ると「オレンジの中庭」に進みます。回教徒はこの中庭の池でまず沐浴し、中庭に面した19ヶ所のアーチ型の出入口から直接寺院へ入ったといわれています。今では池はなくなり、わずかに10世紀の井戸が当時をしのばせるのみでした。その後アーチ型の出入口は塞がれて、現在出入りするのは「シュロの門」からです。


メスキータ;大理石柱


 入り口の「シュロの門」から一歩足を踏み入れたとたん、外界の光も殆ど入らない不思議な世界に一瞬戸惑います。8世紀後期にアブデラマン1世が建てた一番古い部分ですが、ここにまず目に入るのが850もの大理石柱の林立で、柱を支える天井のアーチが白い石と赤のレンガが交互にはめ込まれた様はまさに幻想的な雰囲気なのです。イスラムの人たちにとっての憩いの場所、オアシスには必ず生えているヤシの木をまねてこの柱が建てられているそうです。


メスキータ:カテドラル


 円柱の森を抜けるとそこにはキリスト教の大聖堂が、イスラムに負けじと天井の高いドームをはじめ、大理石や金を施した豪華な装飾などで光り輝いています。カテドラルがメスキータのど真ん中にあるというのが何とも奇妙で、回教寺院の中にキリスト教がこのように堂々と共存する例は、他には例をみない特異な存在なのです。


メスキータ:ミフラブ


 さらに奥へ進むと9世紀後期のアブデラマン2世の増築部分、そしてつきあたりが10世紀後期のアルハカム2世の増築部分へつながり、そこには回教の寺院では「ミフラブ」と呼ぶメッカの方向を指す部屋が残っています。普通は単なる壁龕があるだけだそうですが、ここでは非常に大きく豪華な造りで繊細なアラベスク模様や大埋石のモザイク、そしてドーム天井も見るものを圧倒します。


ユダヤ人街


 メスキータの隣は「ユダヤ人街」と呼ばれる観光地になっています。細かな路地がたくさんあり、どの家も白い壁の窓に植木鉢が置いてあり、ゼラニュウムが植えてあります。ゼラニュウムはヨーロッパの各地で見る事ができるのですが、主な目的は夏に虫が部屋に入ることを防ぐためだそうです。


花の小道


 そんな路地の一つが観光名所である「花の小道」で、ゼラニュウムの鉢で飾られた白い壁と壁の間にメスキータのアルミナル塔(ミナレット)が顔をだしています。2人がやっとすれ違えるほどの狭い道にもかかわらず、人気の観光名所ゆえいつでもカメラを手に持つ人で溢れています。


レストラン:Comedores


 メスキータのすぐそばにあるレストラン。メスキータを意識したのか、アーチ状の柱で区切られた室内にテーブルが配置されています。壁や柱の造りのせいでしょうか、一瞬洞窟の中にでもいるような感じがします。メイン料理は白身魚のグリル、ポテト添え。見た目通りの味でした。





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