北海道医療新聞社

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週刊:北海道医療新聞

2020年(令和2年) 7月17日付

道内市町村の地域医療確保、19年は独自事業実施が微減

 道は、道内179市町村(うち公的医療機関を有するのは155市町村)を対象に、2019年12月〜20年1月に行った「地域医療の確保に関する事業等調査」の結果をまとめた。前年と同様に医師等の医療従事者を対象とした奨学金貸付事業に約半数の市町村が取り組む一方、独自事業を行う市町村は減り、やや頭打ちとなった格好だ。

 19年時点で「医療従事者を目指す学生に対する奨学金の貸付事業」を実施しているのは90市町村(前年比2増)で、割合は1.1ポイント増の50.3%。医学部生・歯学部生向けは40市町村(増減なし)が取り組み、貸付額(月額)は「20万円以内」が9割を占め、「10万円以内」「15万〜20万円以内」が前年から各1自治体減り、「10万〜15万円以内」「20万〜30万円以内」が各1自治体増えた。


道厚生連19年度決算、医業収益1.8%増加

 道厚生連は、2019年度の決算概況をまとめた。医業収益は前年度比1.8%増の810億5,100万円、その他事業と事業外を含む事業収益合計は1.0%減の837億4300万円だった。

 19年度は「第9次中長期計画」の初年度として、具体的な指標とアクションプランを明確にし、健康増進のサポートや質の高い医療提供、地域医療の確保・向上を推進。

 人口減少や高齢社会の進展、医療の高度化、経済・医療情勢、地域偏在の進行などの影響を受け、年々厳しさが増す中、総合病院は消費税増税に対応した診療報酬改定等で診療単価増になったものの、患者減少が大きく、入院・外来の診療収益は計画を下回り、新型コロナウイルス感染症対応にも追われた。


膵がん腹膜転移に光明、腹腔内投与併用療法が効果─北大消化器外科●2

 北大病院消化器外科●2(科長・平野聡教授)を含む全国7大学の研究グループは、腹膜転移を伴う切除不能膵がん(ステージ?)に対し、標準化学療法のゲムシタビン・ナブパクリタキセル(GnP)療法に加え、パクリタキセル(PTX)腹腔内投与を併用する新規治療法の国内多施設共同臨床試験を行い、高い治療効果と生存成績が得られたと発表した。現在は、S─1内服投与とPTX経静脈・腹腔内投与の併用療法に関する第?相臨床試験が進行しており、同科では腹膜転移膵がん患者(肝転移などの他臓器転移合併例は除外)を募集している。

 膵がんは消化器がんの中でも治療成績が極めて不良で、5年生存率は未だ10%前後。早期発見が難しく、診断時には既に局所進行や遠隔転移で切除不能の患者が70〜80%といわれる。(●2は、ローマ数字)


新札幌整形外科、21年3月移転新築着工

 札幌市厚別区の新札幌整形外科病院(吉本尚理事長・88床)は、新さっぽろ駅周辺の複合開発プロジェクトの新街区へ移転するため、2021年3月に新築工事を開始する。22年7月にオープン予定で、1床当たりの面積拡大などでアメニティを向上させるほか、スポーツ整形といった専門医療にも力を入れていく。

 同病院は、1987年の開院で、建物の老朽化、狭隘化が課題となっている。10年ほど前から、同じ地区での建て替えを検討してきたものの、十分な敷地面積が得られないなどの理由で、先延ばししてきた。

 そうした中で、今回の開発プロジェクトへの参加を打診され、JR駅、地下鉄駅、バスターミナスのトリプルアクセスで、日高や夕張、小樽など地方から訪れる患者の利便性が良くなることから、移転を決めたという。


         

札幌徳洲会、CEにシミュレーション教育

 札幌市厚別区の札幌徳洲会病院(鈴木隆夫理事長、奥山淳院長・301床)は、臨床工学技士向けに、内視鏡的逆行性膵胆管造影検査(ERCP)のシミュレーションを実施。リスクの高い手技を実践形式で学ぶ機会を設けることで、不安の解消と技術の向上につなげた。

 内視鏡検査室は、ERCPを年間約200件実施し、内視鏡的逆行性胆管ドレナージ術や消化管ステント留置術も多数手がけている。これらの手技は、高い技術や知識が求められることから、これまで2〜3人の看護師が介助者を務めていた。

 2017年からは、看護師のタスクシフトの一環として、16人いる臨床工学技士を日替わりで1人ずつ専従で配置したものの、知識や技術の習得が難しい状況であった。


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