政府は、社会保障・税一体改革で消費税率の引き上げと、その財源を活用した医療サービスの機能評価、重点化・効率化に取り組み、2025年に向けて、医療提供体制の再構築、地域包括ケアシステムの構築を図ることを方向付けた。 これに伴い、急性期病床の位置付けの明確化など医療機関の機能分化・強化と連携、長期入院の適正化の推進や在宅医療の充実について、医療法改正等で対応することとされた。今春の診療報酬改定では、これら改革に先駆けて一部を実現していくための議論が進んでいる。 都道府県は、次期医療計画を念頭に平成27年度から2次医療圏等ごとの各医療機能の将来の必要量、地域にふさわしい医療機能・連携を推進するためのビジョンを策定することとされており、その基礎データ構築へ、26年度中に病床機能情報の報告制度がスタートする運びとなっている。 日医と四病協は、超高齢社会にあって世界最高水準の健康水準を守るため、発症からリハビリテーション、在宅復帰支援まで患者の病態にあわせて、柔軟に最善の医療を切れ目なく提供する体制の構築を目標に掲げており、こうした理念に沿って、各地域の特性に応じた機能が整備される見通しだ。 新春号では、報告制度の病床区分案にある「高度急性期」「急性期」「回復期」「慢性期」に、「精神科」や「有床診療所」の機能も加え、地域の中でこれまでに提供してきた医療の現状を踏まえ、将来求められる機能について方向性を探った。 高度急性期を担う中核病院は、救急医療の充実をはじめ、高度・先端医療実現に向け施設や医療機器の整備を急ピッチで推進。医療資源が不足している地方の急性期病院には、脆弱な医療基盤をカバーする幅広い機能、都心にあってもシームレスなサービスの提供が課題となっている。回復期はチーム医療を柱とした多角的な展開やリハビリ機能の充実、慢性期では介護保険施設や在宅サービス等との連携を含めた循環型医療、急性期病院との連携による緩和ケアの実現などがキーワードに挙げられる。精神科は急性期から社会復帰までを網羅した地域生活のサポート、有床診については、これまで以上に地域に密着して、行き場がない患者を支えることがポイントとなる。 連載企画「和衷協同」は、地域の産婦人科医療を親子2代で支える取り組みや、医師不足に悩む病院と住民・行政が一体となって地域医療を守っている現状を紹介する。 |