農民芸術学校セミナー開催

  急な計画で実施したため、この通信ではご案内できなかったことが残念ですが、北海道大学でドイツ語とコミュニティ論と芸術理論を教えている堀田真紀子さんという方から、8月上旬ホームページ掲示板にセミナーのご提案があり、急遽8月21日(日)に実施することにし、ホームページで宣伝をしました。昨年は、日本グルントヴィ協会(グルントヴィは、フォルケ・ホイスコーレ創立者であるデンマークの思想家)において、年に数回、全国各地で開催されているウィークエンド・ホイスコーレというセミナーが札幌で行われ、私は瀬棚フォルケホイスコーレ校長の河村正人さんと共に、講師としてお招きいただき、河村さんとヴァイオリンの2重奏も演奏しました。
 私としてはあくまでも、教師と生徒が生活を共にする学校というものを目標としていて、これは建物ができるまで実現できません。でも、週末のワンデイ・セミナーだったら、今すぐにでも、できると思ったわけですが、他になかなか日程がとれなかったため、急な計画でしたが実施することにしました。
 当日は、堀田先生中心に、芸術家仲間で作っている地域通貨「アートピア」の仲間である画家の大井さんと日野間さん、教え子の北大教養部の学生、地域通貨研究の北大経済学部の大学院生、北大オケ後輩のオーボエ池田氏夫妻ら、14名の参加がありました。
 午前中は畑を見学しながら作物学の講義、予定していた農作業体験は余り時間がなく、トウキビの収穫のみ。午後からはあいにくの雨でしたが、ブドウハウスの中で、ブロックのかまどを作って炭火を起こし、もぎたてのトウキビ(キャンベラとゴールドラッシュ)を茹で、ジャガイモ(キタアカリ)をダッチオーブンにトウキビの皮を敷いて蒸し焼き、パプリカ、ナス、ズッキーニ、ササゲ等は鉄板焼き、ミニトマト、キュウリは生かじり、と畑の幸を堪能、えこふぁーむ自家製2000年産シャルドネ・ワインと、04年産ブラックオリンピア・ジュースで乾杯しました。
 食事の片づけを簡単にしてから、講義とディスカッション、最後に持ち寄りの楽器でコンサートという予定でしたが、「なぜ有機農業と芸術なのか」という話をして、参加者全員にも少しずつ話をしてもらっているうち、あまり時間がなくなってしまい、全員での音楽会はできず、急いで帰らなくてはいけない人も多かったため、余市(教育福祉村のログハウス)に泊まることになった4名だけで、自宅の居間に移ってミニコンサートをしました。私は、北大パイプオルガン研の鈴木せいらさんの伴奏で、バッハのカンタータなど、3曲ほどヴァイオリンで演奏しました。堀田先生も、習い始めたピアノを披露。今回は、スローフードで食べることに時間をかけたので、第2回はもう少し音楽やその他の芸術、パーフォマンスなどに時間を割けるようにやってみたいです。農作業もできなかったので、やはり1泊2日の企画でないとあれもこれもというのは、無理のようでしたが、第1回目としては、まずまずの充実ぶりでした。

  堀田さんの掲示板書き込みから(その一部を抜粋)
 国際広報メディアという大学院で、今年の前期はユートピア論講義をして、ウィリアム・モリスとか、アメリカの超越主義者によるブルック・ファームとか、トルストイズム、など、とくに芸術家によるコミュニティヴィジョンを概観しました。宮沢賢治の農民芸術概論綱要も大好きで、そればかりしばらく講義したこともあります。後期は日常生活にとけこんだ芸術的要素という観点から、「様式論」をやる予定です。
 音楽も好きで、音楽理論を学びながらピアノも少しずつやってますし、去年は札幌交響楽団と北大とのジョイント授業も組織しました。そこでは、楽団メンバーに北大に来て講義してもらったり、わたしたちの方でキタラに押しかけてリハーサルから見学させてもらったりしました。
 でも、理論ばかりで実践がともなっていません。だから、牧野さんのように、すでにこれだけ実践しておられる方がいらっしゃると知って、脱帽しました。実際、はじめてみられると、本当に大変なことだと思います。農民芸術学校の主旨には、全的に賛同します。ただ、全日制の学校という形だと、興味はあっても参加しづらい人も多いのでは?とも思いました。たとえば、週末、ワークショップの形で、凝縮した体験をする、というようなコースもあったらよいかと思います。


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