アメリカが滅びる日は近い
 日本の政治は、太平洋戦争での敗戦以来、アメリカのいいなりである。政権を担い続けて来た自民党は、アメリカの意向を国民に隠して実行する党でしかない。現在の郵政民営化法案、そして次に来る憲法改正法案、すべてアメリカの意向に基づいた法案であることがはっきりしている。かつて農業基本法は、アメリカの余剰農産物を日本に売るために作られたし、新しい食料・農業・農村基本法も同様に、WTOに合致しなくなってしまった農業基本法を作り変え、日本への農産物輸出を促進することが一番の目的であった。それでいて、アメリカは国内の農産物に莫大な補助金を与えて保護している。
 自民党は、アメリカの利益と自らの利益を一致させることのできる資本家と自作農民によって支えられて来た。しかし、このままでは日本はアメリカと心中しなければならない。アメリカは、かつて栄華を誇ったローマ帝国が滅びたように、滅亡への道を突き進んでいるからだ。
 アメリカには、夢があった。アメリカ合衆国は、イギリスから逃げてきたピューリタンによって、建国された。自由を求めて。しかし、そのバックボーンには強い福音主義的なキリスト教信仰がある。それが今、命取りになりつつある。アメリカは、世界で最強の経済力・軍事力を誇ってきた。そして、世界の警察を気取ってもきた。しかし、経済の中身はお粗末そのものだ。経済が軍需に依存し過ぎているのだ。経済がダメなだけでなく、色々な面で、世界で最も遅れた国になりつつある。それは、私の推測するところでは、神がかり的な信仰がもたらした不幸である。
 アメリカは、人権先進国と見られてきた。70年代ベトナム戦争で敗れてからは、ドラッグ、フリーセックス、同性愛というような、カウンターカルチャーも市民権を得られるような、リベラルな雰囲気が生まれた。しかし、アメリカ人の多くは、今でも超保守的である。カウンターカルチャーについては、今では日本の方がずっと普通に受け入れられていると言えるだろう。もともと日本には、同性愛を罪とするような倫理観はなかったとも言える。アメリカでは、それが聖書に罪だと書いてあるから罪と信じている人が大勢いるのだ。アメリカで神の存在を信じる人は95%、イギリスでは35%でしかないという。日本はもっと少ないに違いない。そして、ダーウィンの進化論を否定する人は7割。日本ではほとんどいないだろう。アメリカでは、聖書にある創造論を信じる人の方が多く、創造科学という非科学的なものを信じている人も少なくない。聖書に書いてある言葉を一字一句、神の言葉と信じるファンダメンタルな人が3割もいる。私は自分がクリスチャンであると思っているが、ダーウィンの進化論は欠陥もあるけれど、聖書の創造物語よりはまともだと思うし、イエスが処女から生まれたとか十字架で殺されてから3日目に肉体が甦ったなどという記述を字句通りに信じるつもりは毛頭ない。そんなことを信じなければならないのなら、キリスト教ほど馬鹿げたものはないとさえ思う。占いとか迷信の類を信じるよりはましかもしれないが、信じる態度に違いはない。
アメリカは、世界の常識が嫌いで、変な伝統にしがみつきたがっているのだ。例えば世界中どこでも単位はメートル法にしているのに、アメリカだけは未だにポンド・ヤード法で、温度は摂氏でなく華氏で、紙のサイズもレターサイズなどというA4より少し違うサイズを使い続けている。アメリカ人の意識は、実は世界で最も遅れていると言えるのではないだろうか。
 アメリカは、第二次世界大戦以降も、ほとんど常に世界中にどこかで戦争を行い、多くの民衆と兵士を大量に殺して来た。ブッシュはテロとの戦いなどと言っているが、世界中のテロリストに金と武器をばらまいてきたのもアメリカで、ソ連のアフガン侵攻の時はビン・ラディンを支援し、イラン・イラク戦争の時にはフセインに生物兵器や化学兵器を与えてきた。多くの謀略にCIAが関わって来たのも周知の事実であり、日本でも戦後多くの謀略事件があったことは疑いない。
 そして、アメリカ国内では人種差別がなくならず、教育や文化の世界でも実質的な融和は図られていない。個人主義を錦の御旗に掲げるが、経済格差は世界一、健康保険や年金などの公的保障は世界で最も遅れたレベルである。子どもの権利条約、女性差別撤廃条約など、世界中のほとんどの国が批准している重要な人権条約についても、アメリカだけは未だに批准していないのだ。
 アメリカは、中国が人権を抑圧していると言うが、自国のことは棚に上げてよく言うものだ。アメリカでは現在刑務所に囚人が220万人いるが、これは人口10万当たり700名超で世界一、人口比率では中国の4倍以上、日本の15倍以上である。犯罪は、貧困と裏腹であるが、アメリカでは黒人男性(アフリカ系)の3人に1人は刑務所に入った経験があり、ヒスパニックでは5人に1人という高率である。死刑については、廃止した国が多いが、アメリカでは中国に次いで死刑が多い。
 環境についても、アメリカは最後進国と言わざるを得ない。石油の使用量は莫大で、CO2(炭酸ガス)の排出量は世界の半分、地球温暖化防止の京都議定書も、頑として批准しようとしない。原発推進からは手を引き始めたが、未だに世界で最も多くの原発があるし、世界を何度も滅ぼすことのできる核弾頭を保有し、実戦で使いやすい小型核兵器などというものの開発を進めてもいる。ネヴァダには地上核実験場の跡地があるし、核廃棄物を地中に処理するのではなく、劣化ウラン弾などというものを作りイラクに雨のように降らせ、多くの白血病患者や先天性異常の子どもが生まれている。ベトナム戦争の時の枯葉剤によるダイオキシンと、同じような状況である。イラクで大量に使ったクラスター爆弾という非人道的な兵器は、地上で全部は爆発せず地雷のように後で民間人の足を吹き飛ばすように設計されたものである。
 ブッシュ2世は、北朝鮮の金2世(キムジョンイル)を独裁者と呼ぶが、自分も米国初の世襲大統領で、できの悪いぼんぼんだったことを自覚していない。ピーナッツ農家から大統領になったカーター氏は、南部バプテストの信者だったが、リベラルな政策を進めて平和に貢献した。一方、ブッシュは石油会社を経営し、軍需産業ともつながりのある一族だけに、戦争好きのようだ。
 「戦争=悪」という思想は、聖書の中にもあるのだ。旧約聖書にはむごたらしい話や神の恐ろしい一面もたくさん書かれているが、イエスは「非暴力」ということを貫いた。「右の頬をぶたれたら、左の頬を向けよ。」とまで言っているのだ。聖書原理主義者には、イエスの言葉こそ一字一句守ってみろと言ってやりたいものである。 

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