夢の余市農民芸術村(ファーマーズ・アート・ヴィレッジ余市)

   共同体作りを目指して研修中の木村氏と語り合ううち、農民芸術学校の将来像についても、だんだん夢が膨らみ、いずれこんなことができたらいいなというヴィジョンが見えてきました。これは、現段階では余りにも壮大な幻に過ぎませんが、多くの人の力を得ることによって、数百年かかって完成に至るヨーロッパのカテドラル(大伽藍)のように、一歩ずつ実現に近づけるものと思っています。
 この村は、子どもも若者もお年寄りも、障碍をもった人も末期ガンの人も、日本人もアイヌもどんな民族の人も、誰もが等しく、そのいのちを輝かせ、自分に合った働きを社会に向けて行うための場所です。また、誰もがそこを訪ねて、いのちをリフレッシュさせることができるような場所にもします。そして、この村のスローガンは・・・
  祈り! 働き! 学べ!!
です。この3つは決して強制されるべきものではありませんが、規則や罰則を設ける代わりに、常にこの原則に立ち返ることによって、自由で平和な社会が築くことができるものと信じます。  では、この村に何を作って行きたいか、具体的に説明しようと思います。これらは、木村氏と2人で出し合ったアイディアを、私がまとめたものです。

1.ファーマーズ・チャペル(礼拝堂 兼 奏楽堂)
これは、村の中心となるもので、ここでは神に感謝の祈りを捧げ、音楽で神を賛美します。また、小編成のオーケストラの演奏や、演劇も楽しめるようにします。決して、特定の宗教を強要することはしません。各自の信仰を尊重し、お互いを認め合うことだけが、この村での、唯一のルールです。

2.ファーマーズ・アートスクール(農民芸術学校)
 祈りと労働を行いながら、自然科学や社会についても学び、音楽を中心に多様な芸術活動を行うための人材を育成する学校です。農民管弦楽団の担い手として、最低限何か一つオーケストラ楽器の演奏技術を習得することとしますが、伝統芸能やアイヌの音楽についても学び、オリジナルのミュージカルや能などにも挑戦します。

3.エコファーム余市(農業生産部門)
 自然と人間に優しい有機農法により、様々な食用作物、工芸作物(繊維作物、薬草ほか)、果樹や野菜を栽培し、また放牧を主体として様々な家畜を飼い、養魚、養蜂、養蚕にも挑戦します。家畜のみならず人間の糞尿まで廃棄物とはせず循環させ、自然エネルギー(バイオマス、風力、水力、太陽熱、薪炭)を利用してエネルギーの自給をし、雪を利用した貯蔵庫など、エネルギーの節約にも取組みます。

4.アート工房(職人・手仕事部門)
 農産加工品(パン・麺類・和洋菓子、植物油、ジャム・漬物・乾物、味噌・醤油・豆腐・納豆、ハム・ソーセージ、バター・ヨーグルト・チーズ、ワイン・ビール・日本酒等)、衣類や工芸品(毛織物、草木染、革製品、ローソク、蔓製品、ドライフラワー等)、陶芸品、木工品、鍛冶製品、等々あらゆる自然の恵みを無駄なく活用し、職人技で実用的な一流のアートクラフトに仕上げます。

5.アート・ショップ&ミュージック・レストラン(直売・料飲部門)
 農民芸術村の生産物は、村での自給を基本としますが、余剰に生産されたものは、直売のアート・ショップとレストランで、村外の方にも楽しんでいただけるようにします。レストランのメニューは、当然村の農産物や加工品(もちろんワインも)がメインの食材ですが、地元のすばらしい海産物も少々楽しめるようにします。でも、何と言っても最高のごちそうは、村の音楽家による、生の音楽!です。

6.ファーム・イン&チャレンジ工房(宿泊・体験部門)
 農民芸術村の活動を体験したい方のための宿泊施設を用意します。もちろん宿泊者以外も、農作業体験や手仕事体験ができるようにして、村の動物たちと触れ合う遊び(ホース・トレッキングなど)や、自然の中でのサバイバル体験(川遊び、木登り、歩くスキー、山菜・きのこ・木の実狩り、釣り、キャンプ)なども行い、人間が本来備えているべき生命力を養う場とします。

 ちょっと欲張りすぎのこれらの夢(ヴィジョン)を、一度に実現することは当然無理なことですが、まずは来年、何とか隣接する農地を取得して、農民芸術学校をそこに建てるための資金集めにもとりかかりたいと考えています。カリキュラムや授業料(寮費)など、課題はまだまだ沢山あるのですが、何とかこの学校を第一歩として実現させ、いずれは卒業生がそこで生活して行くことができる場として、このような村作りを進めたいと思っているのです。村の形が見えてくれば、次には、病院や産院、幼稚園、ホスピスなど、もっと色々な取り組みも加わって来る必要があるかもしれませんね。まあ100年後くらいには、この学校からそのようなところまで行けたらなあと、夢見ています。

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