戦争をなくすために・・・イラク戦争の意味と究極の平和

 イラクには、世界で最も多くの未開発石油資源が眠っている。エネルギー大量消費によって成り立っているアメリカにとっては、何としても支配下においておきたい国である。そこで、何とか侵略する口実を作るため、大量破壊兵器の所持を理由にすることを思いついたわけである。しかし、それならば北朝鮮の方が間違いなく持っているだろうし、何よりアメリカには核兵器も毒ガスもうんざりするほどある。今イラクを攻撃しなければならない理由など、どこにもない。イラクは、持っていないと言っているのだし、プライドはかなぐり捨てて査察も全面的に受け入れ、自主的に大量破壊兵器ではないミサイルの破棄まで始めた。これでは、アメリカも大義名分が立たない。軍事侵攻を認める国連決議も不発に終わった。それなのに、ブッシュはフセインが48時間以内に退陣しなければ侵攻すると最後通牒をつきつけ、期限を過ぎるやいきなりフセイン宮殿を新型ミサイルで狙い撃ちし、戦争を始めた。酷暑と砂嵐の前に決着をつけようというわけだ。アメリカは査察を利用しでイラクの軍備を減らしておき、自らは放射能兵器である劣化ウラン弾や、大量殺戮兵器であるクラスター爆弾など、生物・化学兵器に勝るとも劣らない非人道的兵器をつぎ込んで攻撃をしている。全く、テロに反対する民主主義国家の大統領とは思えない行動である。その戦争への支持を表明した小泉は、国際紛争を解決するために武力を行使することを(所持することも!)禁止する平和憲法を持った国の総理大臣である。こんなふざけたことが、何故まかり通るのだろう。また、そのブッシュや小泉を支持する国民というのが、決して少なくないのである。戦争とは、力だけが善という論理だ。そんなことを支持する人間は、真っ当な人間ではなく、人間の姿をした悪魔である。
  日米同盟が大事? 日本中に張り巡らされた米軍基地によって、日本は言いたいことの一つも言えないだけじゃないか。日米同盟(=不平等軍事条約)を支持する人が、世論調査では8割以上。お人よしというより、馬鹿なだけである。ああ、何たる愚かな民! イラク解放のための戦争なんて、誰も信じてはいない。イラク国民だって、フセインのことを心から支持しているわけじゃない。強圧的な恐怖政治は、いつか崩壊する。しかし、戦争で解決できると考えるのは、間違っている。戦争とは、悲惨以外の何物でもない。市民も兵士も死ぬ時は同じだ。戦争を喜んでいるのは、兵器産業、そして復興特需を期待する建設産業、そしてそれら産業の代弁者である政治家である。ブッシュ一族は、石油産業と軍需産業に連なっている資本家一族だ。アメリカでは、すでに2ヶ月も前にチグリス・ユーフラテス川の新しい橋の入札が(現在ある橋が戦争で破壊される前提で)数百億ドルで行われている。始めに戦争ありきで、大義名分は後から考えるということに過ぎない。日本も今回は、湾岸戦争時のように軍備に金を出さず、復興支援に金を出すと言っているが、結局その金が再びゼネコンに戻ってくることを期待しているのに違いない。他人の不幸で稼ごうとする資本家と政治家。これらの悪魔どもを退治しない限り、戦争はなくならない。反戦デモは、悪いことではないけれど、今回はあまりに虚しい。戦争は、こんなデモでは止められない。悪い奴を倒さない限りダメだ。もちろんテロではなく、正当な方法によらなければならないが。
  アメリカという国は、軍需産業によって成り立っているため、アメリカには常に敵国が必要なのである。ソ連という敵国が崩壊してしまった現在、テロリストとそれを支援する国家(本当かどうか別として)は、アメリカ(の軍需産業)にとって、実はとてもありがたい存在なのである。ブッシュにとって、9・11は本当にタイミングよくやってきて、彼の支持率をぐんと上げ、ゴアとの選挙戦での灰色の勝利を国民から忘れさせてくれた。そして、これはテロでなく戦争なのだと、彼は待っていたかのように戦争を始める宣言を述べた。
  アメリカは、ソ連がアフガニスタンに侵攻していた時に、それに対決するべくテロリストであるビンラディンらに武器と資金を与え、タリバン政権を後押しした。しかし、ソ連が撤退してタリバン政権が言うことをきかなくなると、一昨年の9・11同時多発テロを口実に、ビンラディン(未だに犯人の正体は不明)をかくまっているとしてアフガニスタンに侵攻し、傀儡政権を樹立した。そして、早速ロシアからの石油パイプラインをアフガニスタン経由でインド洋に引くことを決めた。暫定政権のカルザイ議長は、ダンディないでたちで突如登場し、紳士的な言動で日本のマスコミでもヒーロー扱いしていたが、私は一目見て気に食わなかった。彼の過去を調べてみれば、さもありなん、旧体制の元国王派であるだけでなく、米国石油資本ユノカルの顧問をしていた男で、CIAとも密接な関係がある。また元国王派と共に政権の一翼を担う北部同盟は、タリバンに抵抗していた勇敢なゲリラとして日本でも人気があるが、少数派であるハザラ人(モンゴル系イスラム教シーア派)を大量虐殺したテロリスト集団でもあるのだ。タリバンの抑圧政治は去ったかもしれないが、アフガニスタンに平和は程遠い。ハザラ人の難民流出はまだ続いている。
  また、イラクのフセイン政権に核施設や化学・生物兵器の開発を進めるため援助したのもアメリカであり、親ソ連であったイランのホメイニ政権を打倒するためにやったことである。フセインは、イラン国境に近い少数民族のクルド人(イラン・イラク・トルコ・アルメニアなどにまたがって住む)をイランのスパイと決め付け、化学兵器を世界で初めて広範囲に使用して数千人を殺した。(イランも同様に、化学兵器をクルド人に使用した。)そしてアメリカは、言うことをきかなくなったフセイン政権を倒すため、湾岸戦争後はイラク国内のクルド人ゲリラを支援しているが、利用するだけしておいて、決してクルド人の独立は認めないに違いない。また、湾岸戦争の前に、クウェートにイラクの石油利権を侵害するよう仕向けたのもアメリカ(CIA)であり、たまりかねてイラクが1991年にクウェート侵攻するのを黙認しておき、ブッシュ父は世論を見方に国連多国籍軍を組織してイラクを攻撃したのである。この戦争を始めるにあたっては、フセインが残虐行為や環境破壊を行っているように見せるため、赤ん坊を殺されたというクウェートの少女の証言(実は駐米クウェート大使の娘によるウソ)や油まみれになった海鳥(実はアメリカの爆撃によるもの)など、様々な捏造映像をマスコミを使って全世界に配信したことが明らかになっている。戦争のためになら、アメリカは何でもやる。戦争広告代理店がちゃんとあるのだ。この戦争とその後の経済封鎖で、アメリカはイラク国民を130万人殺し、冷戦終結で瀕死の状態だった軍需産業を復興させガタガタだった経済を立て直した。
  9・11のWTCビルやペンタゴンの衝撃的な映像も、改めて考えてみると非常に不自然なもので、ブッシュはテロを事前に知っていたという疑いがぬぐいきれない。太平洋戦争の日本軍の真珠湾奇襲攻撃も、ルーズベルト大統領は事前に知っていたことが今では明らかになっている。ルーズベルトは2000人のアメリカ兵士を見殺しにすることにより、それまで反戦ムードの高かった世論を見方につけることに成功し、満を持して開戦に踏み切ったのである。
  いずれにしても9・11の事件は、テロに対する戦い=テロ支援国家に対する先制攻撃という、今までは決して認められなかった理由での戦争を正当化するためのプロパガンダとして、極めて効果的に利用されたことは間違いない。WTCのツインタワーが崩壊した映像の直後に、CNNはパレスチナの民衆が狂喜する映像を流した。いくら自爆テロにはなれっこのパレスチナ人とはいえ、あんな無差別テロを喜ぶパレスチナ人がそうそういるわけがないのだ。あれは、捏造映像だと断言できる! アラファト議長も、先日来日した元ハイジャックの女王と言われたハリドさんでさえも、WTCビル崩壊は、悲惨な事件だと語っている。
  今回のイラク攻撃は、湾岸戦争の時とは違い、フランスやドイツのようなアメリカの同盟国も含め、ロシア、中国など、アメリカに買収された弱小国(日本もか?)以外はほとんど賛同しなかった。理由は単純である。フセイン政権は、クウェートから撤退したのち、フランス、ロシア、中国と共同で油田を開発し、これらの国々はイラク国内での石油の利権をすでに確保している。一方、米英にはこれらの権利がない。今回の戦争は、米英vs仏露中の石油を巡る利権争いに過ぎないのである。
 ではなぜ、湾岸戦争の時に、アメリカは完全にフセイン政権をたたいておかなかったのか。それは、イラクがクウェートからあっさり撤退したので、それ以上攻める大義がなくなってしまったことや、フセインがどこにいったか分からなくなったことも理由のうちだが、最大の理由はそのままイラクを悪の枢軸として温存しておいた方が、中東におけるアメリカの軍事力支配を強めることができるからであった。湾岸戦争後は、それまで決して親米ではなかったサウジアラビアにも、米軍の基地ができたし、クウェートは完全に米国の軍事支配下となった。
 軍隊というものは、外に向けては侵略、内に向けては治安維持、つまり民衆の抑圧をするためにある。防衛のための軍隊などというものは、存在しないのである。なぜならば、人間の尊厳を守るために、武器は必要ないからである。武器は、他人を支配する時だけに有効な道具であって、正義を守るためには全く役立たない。武器と正義は、決して相容れない。日本には、米軍基地と自衛隊基地がたくさんある。米軍が日本を守ってくれているなどと考えるのは、全くのナンセンスである。在日米軍は、アジアへの前線基地であると同時に、日本を支配するための基地である。そして自衛隊も、明らかに軍隊であって、国民を守るためにあるのではないことは、有事立法(案)を読めば明らかである。国家(=国体=天皇制)を守るために、国民の権利は奪ってよいという法律なのだ。そんなものが、自衛隊と言えるものか。戦争をなくすためには、軍隊をなくさなければならないのだ。在日米軍の完全撤退と、自衛隊廃止(自衛には海上保安庁でも十分過ぎるほどだ、大型装備を廃棄し、災害救助隊に改変せよ!)、これが実現するまでは、日本に平和は決してやって来ないのである。
  イラクが片付けば、アメリカは北朝鮮との戦争を考えるだろう。その時には、日本も戦争に巻き込まれる可能性が十分ある。石原慎太郎など、今でも北朝鮮を攻めるべきだなどと物騒なことを言っているのだから困りものだ。その石原都知事が、次の首相候補として一番人気だという。彼のような民族主義者(差別主義者)が庶民の人気を得やすいのは分かるが、あのような男に権力を持たせたら日本もおしまいである。朝鮮に対しては、日本は平和をもたらす義務がある。なぜなら、日本が占領しなかったら、南北分裂もなかったのだから。自衛隊が北朝鮮軍と闘うなんてことは、万が一にもあってはならないことである。南北の統一のために、日本はできる限りの支援をすべきであろう。それだけが、唯一の罪滅ぼしであるように思う。

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