安全な食品はどこに?
 
    昨年は、食品スキャンダルに明け暮れた一年と言ってもよかったでしょう。一昨年より引続いてBSE(狂牛病)に端を発して様々な食品での偽装表示が明るみになりました。札幌のスーパーマーケットでは、輸入肉を国産と偽ったことを認め、購入した覚えのある人すべてからの払い戻しに応じたところ、普段スーパーに来ないような茶髪の若者や、暴力団関係者までが携帯のメールなどで情報を得て大挙し、ごまかして儲けた金額の何百倍もの金額をスーパーが支払うという珍事件まで起きました。スーパーが余りの金額に音を上げて、途中で急に払い戻しを打ち切ったものですから、さらに騒ぎは大きくなり、暴れた若者から逮捕者も出る始末でした。もうこうなるとどっちもどっち、道徳も倫理もあったものではありません。世の中悪い連中ががっぽり儲けているのだから、少しくらい分け前をいただいたって罰は当たらないとでもいうつもりだったのでしょうか。全く情けないというか、寒々しい限りです。
  ほんの20年前にはほとんどなかった生鮮野菜の輸入も激増しており、中国などでは安い労働力を当てにして、日本の商社が日本向けの品種と規格で栽培をどんどん進めています。しかし、国内で禁じられている農薬の高濃度での残留が見つかったり、加工食品や健康食品などでも表示とは異なる添加物や薬品などが相次いで検出されました。インターネットで気軽に手に入る「やせる漢方薬」では、副作用の強い薬品が使われていたため、複数の死者も出ました。
 輸入農産物が増える一方で、北海道ではタマネギの豊作で市場価格を維持するため、過去最大規模で廃棄処分されました。そして、国民の基本的食糧である米に関しては、市場価格が生産費を下回る低価格化の一途をたどり、輸入も関税さえ払えば自由ということになった中で、きちんとした食糧政策のないまま減反政策が打ち切られることが決定しました。農政=No政とは、よく言ったものですが、生活のかかっている生産者はたまったものではありません。そして、このツケは必ずや消費者に来ることになります。
 一方、国産農産物も、決して安全とは言えません。単位面積当たりの農薬や化学肥料の使用量は、世界でも群を抜いていますし、昨年は未登録農薬の使用が初めて全国的に発覚して問題となり、多くの地域で作物が廃棄処分されるに至りました。BSEや農薬などの問題から、トレーサビリティー(=追跡可能性)ということが言われるようになっています。つまりその食品が、どこでどのように作られたかをはっきりさせることが求められているわけですが、私はこのことに関しては、懐疑的です。やろうと思えば、いくらでもごまかすことなんて、できるからです。日本人はブランドに極めて弱いので、お墨付きのマークとかシールとかを、すぐ信用しますが、ブランドなんて大して信用できないし、かえってニセモノを奨励するようなものです。魚沼産の「コシヒカリ」なんて、北海道産「ほしのゆめ」の何倍もの値段がするけれど、ブラインド(目隠し)テストでは「ほしのゆめ」の方がおいしいという人の方が多いくらいだし、世に出回っている魚沼産のコシヒカリは生産量の何倍、いや何十倍にもなります。農産物や水産物の産地偽装なんて日常茶飯事です。「国産○○使用」だとか、「有機○○原料」なんて表示は、ほとんどウソっぱちと考えた方が正解です。もちろん添加物たっぷりの安いだけが取り得の加工食品を買うよりは、よほどましではありますが。
 本物は、決してブランドを必要としないし、かえってブランドにはなりにくいのです。有機農産物も、JAS法に基き認証を得なければ表示ができない仕組みになりましたが、良心的な有機農家は、この表示をほとんどしていない、というかできない状況にあります。うちもJAS法での表示は今のところ行う必要がないし、コスト的にもできるものではありません。
 では賢い消費者は、何を信用し、何をたよりにしたらよいのでしょうか。もちろん一番いいのは、自分で畑を耕し、自ら栽培して食べることです。これが一番確実ですが、それでもなお、使用する資材、土壌、水、大気など、知らず知らずのうちに汚染されていることがあり、必ずしも100%安全というものではありません。やはり、信用できる生産者と付き合い、その生産している現場を直接見て確かめ、時には手伝ったり、というような関係を築く事が、最も必要なことでしょう。安全な食品を扱っている流通業者なども、全国組織から個人経営の小さな店までありますが、私の知る限り全くごまかしのないという組織は、ほとんどないと言ってよいです。もちろん良心的な流通業者も大切にしたいのですが、本当によいものだけを扱って商売が成り立つことは、限りなく不可能に近いと思われます。それよりは、やはり面倒でも生産者から、直接仕入れることが最も確実であり、価格的にも安く手に入るベストな方法だと思います。もちろん、安いといっても不当に高くないという意味であり、今のディスカウント店のような不当に安い価格ということはあり得ません。
 えこふぁーむ生産物の価格は、世間の相場に比べると決して安くはありませんが、常に生産コストと品質に見合う正当な価格をつけさせていただいていますので、十分お買い得なものばかりと、自負しております。ちなみに、まだブドウジュースには在庫がありますので、ぜひご注文ください。  

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