日本の伝統野菜 その4  たかな類       

たかな類 アブラナ科 アブラナ属
学名:Brassica junce
英名:leaf mustard, chinese mustard

 タカナ・カラシナ類は、中央アジア原産と考えられ、油料作物としてはインドで、野菜としては中国と日本で成立した。種子から油とマスタード(芥子)を採るものは、インドの他ヨーロッパでも発達した。
ゲノム(染色体数)はn=18で、ナタネ(n=10)とクロガラシ(n=8)の交雑したものと考えられる。ナタネは野菜としてはカブであり、菜っ葉の場合はツケナ類と総称し、染色体数18のタカナ類と区別している。ツケナ類には白菜(結球ハクサイ、非結球〜シロナ、パクチョイ、チンゲンサイ=青軸パクチョイ)、山東菜(サントウサイ=半結球、べカナ)、広島菜、野沢菜、体菜(タイナ、シャクシナ)、水菜(京菜=千筋京菜、壬生菜)、茎立菜、如月菜(ターツァイ、ビタミン菜)、小松菜、水掛菜(大崎菜など)、中国野菜の紅菜苔(紅菜花)、菜心などがある。
本題のタカナ類であるが、『新選字鏡』(892年)には太加奈(たかな)、『本草和名』(918年)には加良之(からし)として登場し、かなり古くから栽培されていたことが分かる。以下の6つに分類できる。

@ 葉カラシナ類(最も原型に近い)
   葉芥子菜(関東)、山潮菜(福岡)、アギオシ菜(福岡)、二塚芥子菜(石川)、黄芥子菜(種子が黄色)など。東北、北海道にも在来種があるが、岩手にはヨーロッパ系のものがあり、北海道のものはロシア系に近く、暖地のものとは起源を異にする。アザミ菜(マスタード・グリーンなど)は、アメリカからの導入。

A 分枝性カラシナ類(中国中北部原産)
   1939年導入されたセリフォン(雪裡紅)=千筋葉芥子=雪菜(シュエツァイ)=遅菜(チイサイ)は、外観が壬生菜に似る。同年導入されたニンスーカ(銀糸芥)は、外観が京菜に似る。いずれもあまり普及しなかった。

B タカナ類(中国南部原産)=カキナ
   長崎高菜、広島紫高菜、石川高菜、カツオ菜(福岡)、島菜(沖縄)など。ややカラシナに近縁のものとして、花茎を、とう菜として漬物に利用する阿蘇高菜や久住高菜(変化に富む)、イラカブ=江戸かぶ(宮崎)など。

C 多肉性タカナ類(明治時代に中国より導入)
   三池(大葉縮緬)高菜、柳河高菜、山形青菜(セイサイ)、芭蕉菜(関東以北、地方により性質異なる)、雲仙こぶたかな(1940年頃の導入)、結球タカナなど。

D 茎タカナ類
   搾菜(ザーサイ)=大心菜、国内でも千葉県など極一部で栽培。

E  根ガラシ類
  カブのように肥大した根を利用。

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