|
|
|
☆吉良吉影さんへ(せんさんからの投稿・吉良に殺された女性からという設定)
吉良吉影さんへ
覚えてる?
あんたが忘れていても私は忘れないわ。
そうよ、決して忘れない。
あんたに初めて逢ってから、あんたの事を忘れた日は一度も無かったわ。
あんたは優しい声で何も知らなかった私に近付いてきた。
「一寸すいません。 これ、落としませんでしたか?」
差し伸べられた大きな手と、優しく微笑む綺麗な顔にどぎまぎしながら
私はうっかり落っことした指輪を受け取ろうと手を伸ばす。
その時だった。
あんたは私の手首を掴んでこう言ったのよ。
「君が欲しい。 愛しているんだ。」
何が起こったのか分からなかった。
私の身体は粉々にブッ飛んで、消え去った。
あんたは、そこに残された『私の手』を優しく拾い上げて、
血まみれの薬指に指輪をはめた。
…ゾっとするほどしびれる笑顔で。
「あなたが欲しい。 愛しい人。」
待っているのよ。
昼も、夜も、あんたの事ばかりを考えてるわ。
さあ、早くここへ来て。
端正な顔を恐怖に歪ませて、死への絶望に全身を支配されたあんたが見たい。
私はあんたを粉々に砕いて
あんたのかけらを永遠に私の中に閉じ込めてあげる。
………ほら、やっぱりやって来た。
さあ、振り返って。
あんたを捕まえたくて私はうずうずしてるのよ。
あんたが悲しみで壊れていく姿を側で眺めていられるなんて、考えただけで興奮するわ。
『安心』なんてさせてあげないわ。
これからはずっと一緒よ。
後悔してる? 「愛してる」なんて気安く言うからいけないのよ。