いやぁ〜、芸術って素晴らしいですわ。
 やはり人間には好みってのが深く深く関係するんだなと実感しましたね。ワタシはパリオペラ座バレエ団贔屓です。キッパリ。
 ジャニーズもそうなんだけど、贔屓だと、どこから観ても「ちょっと、ちょっと、これってもしかして退屈?」なーんて場面ですら、そこそこ楽しく観られるもんです。が、別にナンの特別感情も持っていないと「えー、なにこれーー。お金返してー」とか、平気で思ってしまうわけです。
 同じバレエ公演であっても、他のバレエ団だと感激度の低いこと低いこと。「ザハロワちゃんしか記憶にないわ〜」なんてコトになってしまうわけです。皆さん同じような状態なのでしょうが。
 エレガントという言葉が美少年の次に好きなワタシ。エレガントが踊っているようなパリオペに傾倒しないハズがないのですわ。ジョゼ&アニエス、そしてニコラ。来日を待ってるからね。

 前置きはこのくらいにして、7月24,25日に行われた「ルグリと輝ける仲間たちBプロ」の、かくも賑々しいミーハー感想の幕開きでござりまする〜。


 
『パキータ』
 実に単純なシンデレラストーリィ作品の、クライマックスのみの抜粋。
 金糸銀糸の刺繍の入った豪華な衣裳のオレリーとマニュのパ・ド・ドゥがメイン。ですが、何故か脇を固めるダンサーがいらっしゃいまして、東京バレエ団の皆さんらしい。日本人の体型も変わりましたねぇ。皆さんスタイルがグーンと良くなっている。キッチリと踊ろうとするあまり、どことなくモタついて見えてしまったな。仕方なてよね、天下のルグリと共演だもんね。
 これはDVDでアニエスとジョゼが踊るのを観ましたが、今回は抜粋なので比べようもなく、オレリーは無難に踊っていたという印象かな。


 
『スターズ・アンド・ストライプス』
 アメリカの星条旗をモチーフにした舞台でした。特に印象が無い(汗)。


 
『モーメンツ・シェアード』
 生ピアノの演奏に乗せたダンス。紫の衣裳が曲の雰囲気に合っていて綺麗。こういう踊りはエレオノラは合うのよねぇ。1月に観た「イワン雷帝」での愛のダンスを思い出しながらウットリしてしまうワタシ。やっぱりエレオノラ贔屓(笑)。曲もどこか寂しげではかなげで、ワタシの好みでした。


 
『チャイコフスキー・パ・ド・ドゥ』
 とても有名な小作品です。ワタシはこれをオレリーとマニュという、ベストカップルで観ておりまして、あれに勝るチャイコは大変難しいと実感しました。
 今回もドロテちゃんは良かったんですよ。とってもエレガントだったし、足さばきもお見事で。でも相手のオドリック君がねぇ〜、両日とも決めるところでグラついたり、ちょっと心許なかった。
 女性が身体を投げ出して、男性が受け止める振りが連続してあるのですが、オレリー&マニュはもの凄く自然で、オレリーがふわっと飛んでしまって、ワタシは観ていてビックリしたものです。それが今回はモロに「飛びますっ」「受けます」って感じで身体を跳ばせていたので、やっぱりダンサーによって印象は違うんだなぁと、興味深く思いました。



 
『さすらう若者の歌』
 今回のメインはコレですわ、奥様>だれ
 マニュとイレールがベジャールの世界を踊るのです。1本の張りつめた糸のような、緊張した空気がホールを包みましたね。ベジャールが「この作品は君たちにものだ。いつ踊ってもいいよ」と言ったらしいけど、なるほどと納得出来ます。
 観客の心を鷲づかみにするような踊りではなく、静かで、だけど深い空間に、自分から迷い込んでいくような、そんな作品でした。
 今が表現においての円熟期なのだと思います。そんな二人を同時に観られるなんて、パリのファンから呪われそうなくらい、ワタシ達ってばラッキー!
 この作品で第一部が終わって休憩に入るんですが、2日目のとき、席を2つ挟んだ方が感動あまり泣いていまして、席を立てないでいました。その姿にジーンときましたね。お嬢さんの涙で、ワタシの汚れた心を洗い流してほしい・・・・・。


 
『精密の不安定なスリル』
 大好きなエレオノラやドロテちゃんが出ている作品なのですが、今いち印象がない。


 
『眠れる森の美女』
 オペラ座の期待を一身に集めて飛び越しエトワールに就任したての、今回の目玉!マチュー・ガニオ君のお目見えです。が、疲れているかマチュー。容姿は大変美形で麗しく、もうどこから見ても王子様にしか見えないんだけど、踊りはなんだかなーーー。
 パリでは絶賛されたらしいから、単に調子の問題なんだろうけど、マニユやイレールが40代であそこまでのダンスを見せたわけだし、エトワールお披露目なんだから容姿以外でもっとアピールせにゃイカンぜよ。
 相手役のミリアムちゃんは、マチューに気を取られて記憶が・・・・(汗)。


 
『ル・パルク』
 今回、最大の収穫。一生忘れないわ、イレール。
 これも長い作品のクライマックス場面のみでしたが、さすがはエトワール。それだけでも十分過ぎるくらい伝わりましたわ。特にイレールが素晴らしくて、自分だけじゃなく、相手のオレリーも普段の何倍も素晴らしく見せてしまう。
 究極の愛の形を表現した場面なのですが、切なかったり甘かったり、愛の姿が凝縮された世界。キスしたままの連続ターンに至ってはワタシの魂は別世界へ浮遊しておりました。
 踊ってくれたイレールにも感謝なんだけど、一番感謝なのは企画してくれたマニュよね。よくぞイレールを連れてきてくれた。よくぞこの作品を選んでくれた。よくぞオレリーを組ませてくれた。
 オレリーはマニュと組むことが断然多くて、今回でもパキータを踊っているわけですが、メインの作品では踊っていない。マニュはモニクと踊ってるしね。
 この作品はテレビで観てから好きな作品でしたが、実際に見ると、好きを通り越して感動!!!是非、全幕をイレールとオレリーで見たい。


 
『アレス・ワルツ』
 大感動のル・パルクの後は、なんと、オペラ座ジャニーズコーナーだった(笑)。
 若手男性ダンサー5人が、黒のスーツ姿でカッコよく踊りまくる作品。カッコいいーーー。なんか、恐ろしく美形に変身したMAみたいじゃん>おいおい
 特にマチュー。あんた、さっきの王子とは別人のように生き生きしてんじゃん。
 ついきっきまで感動に打ち震えていたワタシなのに、即座にジャニコン状態に心がリセット。もう、軽すぎていやになるわさ。
 でもワタシ、美形大好きっ>キッパリ


 『椿姫』
 大トリ。かつてのエトワール、モニク・ルディエールを相手にマニュが踊る椿姫。たった一場面の再現なのに、既に空気は全幕物。素晴らしすぎるわ、モニク!
 そうなんだよね、なにも足を高くあげたり、ブンブン飛ぶだけがバレエじゃないわな。物語をいかにダンスで表現するかのほうが大事だし難しいんだよね。
 だからこそ、ル・パルクや椿姫に、ワタシは一番感動したのよ。
 モニクは素晴らしいダンサーで、ワタシは彼女のジュリエットで泣きました。バレエ観て初めてないたのはモニク。そのモニクを生の舞台で観ることが出来て、本当に嬉しかったです。
 たぶんもう、マニュとモニクが踊る姿って、一生見ることが出来ないと思う。それを思うと、今回、東京まで行って本当に良かったなと、改めて思います。
 ファイナルアンコールで、舞台に居並ぶパリオペのダンサーを見たとき、やっぱりワタシはパリオペが好きなんだと実感しました。


 今回の来日公演で気になったのは、マチューの不調。
 飛び越えエトワールにしたくらい、オペラ座から期待されているわけだから、先輩のマニュやイレールのような、いつも万全なエトワールに成長して欲しいと思います。
 あのマチューで許されることになったら、ニコラとジョゼでオペラ座の男性エトワールが絶えてしまう。次に見るときは、そんな危惧を払拭させるような素晴らしいダンスを見せて欲しいものです。
 来日ならではの密度の濃い作品も多々ありましたが、あくまでもルグリと仲間たち。オペラ座の真の姿ではないわけです。層の厚いオペラ座ダンサーが控える、本場パリで全幕物を、やはりもう一度観たいものです。
 アイドルと一緒で、バレエにも好みがあると思いますが、一見大人しくて地味に見えがちなパリオペですが、エレガントなバレエも良いですよ。なんたってダンサーが美形揃いですのよ、奥様>だから誰