ナショナル・トレジャー

 ブラッカイマー監督の最新作(だよね?)、奇想天外に楽しめる、なんでもアリで楽しめる、とくかく楽しめる、楽しめることしか無いとも言えなくはない、ハリウッド映画の神髄のような娯楽作品です。
 お宝探し映画です。謎解きが次から次へと出てくるわけですが、ワタシのオツムがバカすぎて謎解きが今いち判らない。説明されても判らないの。でも別にいいよね、だって娯楽映画だし、判らないのはひょっとしてワタシだけかもしれないし、何よりそんなこと判らなくてもちっとも気にしない。楽しけりゃいいだろ?そんなコトバがどこからか聞こえてくる。あれはブラッカイマーの呪い?
 主役はニコラス・ケイジ。・・・地味・・・・・
 派手な娯楽映画に何故にニコラス・ケイジが!?という疑問をちょっとだけ抱いたりしましたが、何年か前に観たメグ・ライアン相手の天使役よりゃ外見的にはOKか。あんときゃ参ったわ。だって、出演者中の誰より天使に見えないんだもんさ。
 敵役はボロミアですね。
 世界のお宝を探し当てたわけですが、そのお宝は今頃どの辺りに・・・。なーんてコトも追求しちゃダメ。この映画は、春休みだ!東映まんが祭り的な位置づけの、とっても楽しい作品なのです。見終わって「あー楽しい」と思えたら、それでいいんです。
 たとえ、映画館の出口を一歩出た瞬間に忘れちゃっても、いいんです。
 彼氏(彼女)と、子供と、友達と。とにかく一緒に見て楽しみたいアナタにピッタリの、これぞハリウッド娯楽映画です。




ローレライ

 邦画は肌に合わないから見ない宣言をしてから、まだ日も浅い彼岸晴れのレイトショーで、ワタシは宣言を撤回し邦画を観ました。
 理由その1
  潜水艦モノである。男の映画である。
 理由その2
  ユルい恋愛場面が無い。
 理由その3
  話題性のみの出演者がいない。

 第二次世界大戦、終戦直前の日本が背景でして、広島に原爆が投下され、第二の投下を阻止するべく、ドイツから秘密裏に運ばれた最新鋭の潜水艦イ−507が太平洋に向けて出航する、という話になってます。
 もちろん、フィクションでありましょうが、ドイツから潜水艇を運ぶという計画は現実にあり、運行途中でドイツが敗戦し連合国に吸収。潜水艇は同盟国から敵国所有のものとなり、同乗していた日本人技術者は捕虜となるも、それを恥じて自害するといった哀しい実話があったといいます。おそらく、それをベースに創られたのではないかと。
 この作品はドキュメンタリーではないので、多少の誇張したエピソードがあっても特に気にもならず、映画としてとても楽しめました。
 最初から期待度ゼロだったことが功を奏しているのか、近年観た邦画の中ではブッちぎりで最高傑作です。
 主役の役所広司さんが文句なしですし、脇を固めた中堅俳優やベテラン俳優陣も素晴らしく、脚本に深みを加えてました。
 唯一の女性(橋爪さんの奥さん役がいたけど、それは論外ね)出演者である、パウラ役も良かったです。ドイツ人とのクオーターで、祖母が日本人だという設定で本来はヨーロッパ人の血が濃く出ているはずで、日本人が演じると不自然かと思えるわけですが、なんせ終戦直前という時代なので、その当時の日本女性の容姿を考慮すると、エキゾチックな顔立ちに現代的なメイクをした女優さんは、立派にクオーターに見えてくるのです。幼い頃からナチスのもとで実験台にされていたわりには、上手な日本語を誰に習ったのかな?なんて疑問も帳消しよっ。
 祖国のため!家族のために!と命をかけて立ち向かう姿に、大和魂にすこぶる弱いワタシは目を潤ませて観ておりました。
 ただひとつ惜しかったのは、技術者役の俳優さんがまるっきりテレビドラマレベルの演技だったこと。彼が台詞を言うと緊張感が切れる。本当は、彼が出てくると緊張感が増すという脚本だと思うのですが、その逆なのよねぇ。特に棒読みとかいうレベルではなく、雰囲気が戦争していないの。ハッチの向こうで人妻と不倫でもしていそうな雰囲気を漂わせながら登場するんだな。あれはイカンよ。
 途中で艦を降りる兵士に至るまで、個々の人生を感じさせた俳優さん達なのに、技術者だけなーんの過去も発しなかったんだもん。
 とはいえ、全体的には大満足の仕上がりになっていまして、やれば出来るじゃないかフジテレビ、という感想です。
 こういう映画をもっと作ろう。テレビドラマの焼き直しじゃなくてさ。そうしたら、邦画はもっと面白くなるって。
 世界大戦時代の日本が受け入れられない、というポリシーのある方にはお勧めしませんが、そうでない方には是非。
 愛国心や祖国に対する誇りが若者の気持ちから消えつつある昨今、生まれた国を思う気持ちが、少なくとも当時の日本人にはあったわけで、戦争は愚かなことだし、あの過ちは繰り返しては絶対にいけないと思うからこそ、そんなに遠くない過去の戦争を知るキッカケになってくれれば、更に良いことなのかなと思いました。

 最後に出てきた日本青年ですが、彼は何者?もしや、パウラの子供なのかな?と思ったのですが、クレジットには「作家」というよな役名しか書かれていなかったんですよねぇ。でもあの腕時計は・・・という、疑問を残して終わるあたりも憎い演出です。