ターミナル
 しつこいほどCMが流れ、感動のドラマ!!的要素満載をアピールした作品です。誰もが、一度はCM等を観たであろう、宣伝しまくりの作品。
 「彼には、ある約束があった」
 その約束を果たすため、ニューヨークに渡った男のお話。その「約束」って何?なんだったのぉぉぉ??? とても気になる木・・・じゃない、約束であります。映画を観たら気になる約束の正体がわかるのです。なかには、某銀河鉄道○○○のように、映画を観たのに正体が判らないこともありますが、この作品は判るようになってます。
 この作品は、約束がなんであるか、がポイントだとワタシは思います。空港内に留め置きされることより、謎になっている約束の中身が問題。それを知ったとき、作品の価値が決まるわけです。そして、それを知ったときのワタシの心の声をお聴き下さい!
 はぁ・・・・・?
 この、ちっちゃい「ぁ」が全てを物語ってます。
 ひょっとして、この、どーでもいい行為のために、あんなに大袈裟にドタバタしていたわけ?たぶん、いや、おそらく、主人公ビクターは頭のネジが一本ゆるんでるんだと思う。幼少時代、「ビクターちゃんは天使なの」と形容されたのではあるまいか。
 よくまぁ、こんなユルい脚本でOKが出たね。オチが不味すぎるんじゃないの?なんだか、トム・ハンクスにおんぶに抱っこで作っちゃった感ありありだよ。そりゃ、トム・ハンクスなら、そこそこ演技力でやってくれちゃうさ。でも、脚本が良ければ佳作になるだけに、詰めが甘かったなぁ。
 約束の内容は、映画をご覧になっていない方のために伏せておきますんで、DVDレンタルか、(数年後の)テレビ放映でご確認下さいませ。



ネバーランド
 大変よい作品だと思います。心温まる佳作という形容がふさわしい、家族で観る映画。
 ケイト・ウインスレットも良かったし、おばあちゃん役も良かったし、子役もそこそこ上手いし、全体的に良かったと思います。
 主役のジョニー・デップも、家庭を持ってからは出演作が変わってきましたかね。こういう役もやるんですねぇ。演技に温かみが出てきたように感じました。「ブレイブ」の時に父親役で家族愛をやりましたが、正直いってあの時は本物の父親っぽさが感じられませんでした。が、今回は父親役でもないのに、父性愛がビシバシ感じられました。
 この作品は、親となった人が見ると、おそらく受け止め方がもっと違うのではないかという気がします。子供を持ったことがない人には感じられないなにかを、きっと感じられ、感動も強いのではないかと。
 周りの反応をみても、お子さんのいる方は大絶賛プラスαを感じておられるのですが、独身の方からプラスαを伝えられることがないんですよね。かくいうワタシも「良い映画だったね」以上の感想が正直いって出て来ません。良いということには違いないんですが、感想の温度差がちょっと興味深かった作品です。
 作品中で劇中劇のピーターパン役が思いの外よかった。
 ワタシ自身、ピーターパン症候群という言葉があまり好きではないので、ピーターパン自体をまともに読んだことも観たこともありません。大人にならない子供、という観念がワタシの価値観と大幅にずれてるところもあり、大人になりたがらない現実逃避=ピーターパンのような図式が出来上がっていたわけですが、少なくとも、ピーターパンの作者はそんな意図を持ってピーターパンを創ったわけじゃなかったんだな、ということが判りました。子供から大人への成長を歓迎するこの作者のキャラが事実なら、大人への現実逃避を「ピーターパン症候群」と呼ぶのは筋違いって気がするのですが・・・・ま、映画には関係ないハナシですが。
 真実が判明しても、ピーターパンを読む予定はありませんけども。
 この作品の中で一番好きなところは、最初は微妙な関係だった客席同士が、舞台を共に観ることによる一体感を味わう部分が描かれていたことでしょうか。上流階級の紳士淑女と孤児院の子供達。おばあさんと子供達。いろんな種の垣根を越えて、横一線に楽しむ姿こそ、舞台を楽しむ真骨頂ですからねぇ。それが芝居であってもミュージカルであっても、コンサートであっても、生のステージへの連帯感はいいものです。特に、劇場の空気が一体になる瞬間があって、それに遭遇したときの気持ちは経験しないと判らないほどの幸福感なのですが、そういうのを、ピーターパンを観劇した客席から感じられました。
 人の心をハッピーにしてくれる。
 映画であれ舞台であれコンサートであれ、それが全てじゃないかなと思うワタシでございます。小難しい理屈なんて要らないのよね。観た人が幸せな気持ちになって帰れる。これはとってもすごいことじゃないかな。

 それにしても、ジョニー・デップはどんな格好をしても、いい男だわ〜。しみじみ実感。