ヴァン・ヘルシング

面白かったです。
これぞ娯楽映画!という具合に、次から次へとテンポよく話が進み、飽きのこないうちにラストへなだれ込む、というハリウッド式娯楽映画の王道。
ヴァン・ヘルシングというキャラクターは、いろんな物語に登場する、ドラキュラ物に関係した「老人」なのですが、この作品では名前だけ採用し、全くもって別のキャラ設定のようです。
ドラキュラに狼男、果てはフランケンシュタインまで登場させ、ハリウッド怪物オールスター総出演。まるで新春スターかくし芸大会なのであります。ここまで聞いたら、ほとんどの映画ファンは「こりゃ駄作だな」と自分のなかに位置づけたりするわけですが、この作品はちょいと違いました。
ヴァン・ヘルシングが想像以上にオトコマエだったのであります!!!
主演はヒュー・ジャックマンと聞き、「Xマン1&2のハサミ男じゃーーん」と思ったのはワタシだけではないはず。そう、あのハサミ男じゃ、どこをどういじってもオトコマエにはならないだろうと、ワタシは確信していたのです。
ところが、そうならないのがハリウッドの七不思議。ハサミ男がニヒルな二枚目になっちゃってるんですよっっ。やっぱ、コスチューム物はオトコマエに限るね。
感激の涙にむせびながら、別人になったハサミ男に熱い視線を送るワタシ。
ドラキュラ伯爵もなかなか味のあるキャラで、なかなかナイスでございます。ヒロインも、ちょっとキツイ顔だけど十分許容範囲の美貌。
マシュー・ボーンバレエ団のダンサーが出ていると、そりゃもう宣伝しまくっていたので期待していたらば、美しいのは確かに美しいけれど、出番が少ない。いや、そこそこ多いんだけど、出番の半分くらいは狼男に変身後なので、あまり意味がないのだ。
どちらかというと、ヘルシングの従者役(指輪物語のファラミアだよね?彼)のほうが目立っていたし、キャラ的重要度も高いと思う。なのに扱いは狼男のほうが上・・・なぜ・・・?

痛快な活劇物ですが、年代背景が今いち判りにくい。エッフェル塔が途中まで建設されていたからその時代なんだろうけど、昔のシーンでフランケンシュタイン博士を殺しに行く村人が、本編でも登場していたし、ヴァン・ヘルシング自身が何百年も生きていたらしい。過去が謎で、記憶が不明という設定なのだけど、そのへんがほったらかしにされた感があり、続編があるのかも・・・・という不安を思わせる。
冒頭に、ヘルシングがハイドと対決するシーンがあるのですが、パリのノートルダム大聖堂が舞台なんですね。ハイドがステンドグラスもろとも外へ放り投げられたわけですが、思わず「ああーっ、パラ窓がぁぁぁ」と叫びそうになりました。次の場面で、バチカンの僧侶から「バラ窓壊したでしょ」と説教されてましたけどね>ヴァン・ヘルシング
テレビCM等ではFSXシーンがふんだんに採用されてますが、CM以上に面白いです。あのCMは失敗ですね。かえって安っぽい作品に見えちゃうもの。ドラキュラ主催の仮面舞踏会の場面とか、質の高い雰囲気の場面が結構多いです
ラストはちょいとファンタジー入ってますが、そのくらいは大目にみましょう。
とにかく、ヘルシングがオトコマエ。これに尽きます。


作品には全然関係ない話ですが、ロビーで「ハルクの動く城」の予告を初めて観ました。主要キャラを拝ませて頂いたわけですが、ヒロインの90歳ばーちゃんは、ラピュタにも出てたよね。で、主要キャラの声優陣が全員、映像界の方ばかり。生え抜きの声優畑はゼロ(脇役にはいるんだろうけど)。今までの経験上、アンチ映像界声優派のワタシは、英語版日本語字幕の上映を、切実に祈ってしまいました。
アニメーションなのに、声優の容姿がスクリーンこびりつく状態が我慢出来ないのよ。声優オンリーだと声に馴染みはあっても容姿は被らないからね。それに、滑舌が違うのよ、声優さんは。アニメに乗せられる「声」というものを創る才能があるのよね。
だから、映像界の役者さんは、容姿と声はセットであり、それを別々に分けたら魅力が半減、もしくはなくなっちゃう。ワタシが吹き替え映画を避けるのも、それが理由なんですけどねぇ。