ハリー・ポッター/アスガバンの囚人

 過去2回と併せて、今回が一番面白かった。テンポがとても良く、話の流れもスムーズで飽きない。アスガバンの囚人シリウスが極悪人なのかどうか、引っ張るあたりはありふれた展開ではあるけれど、ところどころにスリリングな展開を作り、従来のハリポタの雰囲気を壊さず、しかし監督の味はほどよく付いていたように感じる。
 主要キャラ達がどんどん成長していくものの、作品を見る限りでは巷で言われるほど気にならない。それしか話題づくりのないマスコミ効果(?)なんだろうなと一人納得。
 スター・ウォーズがSFファンタジーなら、ハリポタは正当派ファンタシーの傑作ではないかと思う。愛くるしいキャラクターに、夢を掻き立てられる背景描写。
 今回の評価は脇を固めたベテラン俳優の力も大きく、皆さん大変魅力的。主役のハリーの愛らしさは周知の事実であろうか、なかなかどうして、中年俳優も負けていない。容姿の愛らしさに対抗するのは、やはり個性と積み重ねた芸歴。数十年後、ラドクリフ君が魅力的な中年キャラで観客を唸らせることが出来るかどうか、楽しみはまだまだ続きそう。
 とにかく、文句なく楽しめるファンタジー映画。損はありません。

スチーム・ボーイ

 期待の大友作品。満を持しての公開になるわけですが、作品としての完成度はさすが!の一言。細部に渡っての緻密な作画、動画は文句のつけようがありません。大友センセ、オタクよのぉ〜と扇子でパタパタあおいでしまうところ。
 しかし、どんなに作画がオタクで素晴らしい仕事をしても、配給元の力には勝てないのか。それとも大友ファミリーも納得していたのか、声優陣、酷すぎやしませんこと?
 いえ、タレントを出すなと言うつもりはないんですけどね、出してくれてもいいんですけど、ここ数年、満足できる結果を聞いたことないんですわワタシ。
 特に祖父役。ロレツが回ってないじゃん。この人、アル中なのかと思ってしまったわよ。テレビで活躍なさっているタレントさんで、滑舌の悪い方は多々いらっしゃるようですが、ご本人の容姿込みでなら個性として魅力になるのかもしれませんが、声優にとって滑舌が悪いって、致命的なんじゃなかったのー!?
 とっても地味ーーな容姿で素敵なのは声だけの声優さんが、フジの月9枠で福山雅治さんの相手役でヒロインだったら、ドラマ好きの方はブーイングするでしょ。アニメフファンも同じだと思うんです。
 つまり、どこを切っても木村拓哉な人気タレントさんに、宮崎アニメの主役の声をやられちゃ、ブーイングなわけですよ!!!!
 最近のアニメはそういう傾向がとても強く、特に○宝が配給だった日にゃ確実に声はタレント起用。スチームボーイも、せめて祖父役だけでも、納谷吾郎さんであったなら作品の完成度は倍に跳ね上がったと思うのです。アニメにはアニメの声の見せ方ってのがあって、役者の映像で補うそれとは根本的に違うのですよ。
 宝塚歌劇や歌舞伎で、トレンディドラマと同じ演技をしてもつまんないでしょ。同じなんですよ、アニメも。
 キャラが喋るたびにイライラが募り、全く楽しめない作品になってしまいました。が、作画は完成度の高い作品です。
 物語としては、産業革命時代の英国が舞台でスチーム城はちょいと設定に無理はあるものの、そこはアニメ、苦しいことは言いっこなし。しかし、城が崩れるというのは「天空の城ラピュタ」の二番煎じになってしまい、あれを超えなければ感動は呼べないのでは。また、飛行石=スチームボールの図式も浮かんでしまい、どうしても損をしてしまう。
 作品のテーマはよく判るのだが、スチームボールの偉大さ重要性が今ひとつ伝わってこなかったのは、声優陣にイライラしていたせい?
 あと、個人的な好みですがヒロイン(?)のエリザベス嬢。すっげー邪魔。

 
ウォルター少年の夏の日

 天才子役といわれたハーレイ君もすっかり青年になりつつある少年。時は過ぎていくんだなぁ〜と感傷にひたってしまいつつ鑑賞。
 夢物語ではありますが、実社会での喧噪や煩わしさからほんの少し離れて、おとぎ話を楽しむのもいいのでは?という作品。
 息子がいたら、こんな子に育って欲しい。ハーレイ君演じるウォルター少年はそんな子です。親の愛に恵まれていない少年と、世間からちょいと外れた二人の老人との心の触れあい。実にアメリカ的な映画であります。
 ウォルター少年のように、伯父さん(おじいさん)を誇りに思えたら、世の中は素晴らしくなるんだろうな・・・と夢物語のようなことを思ってしまう映画でした。
 スナフキンの冒険話を、目を輝かせて聞くムーミン。
 銃で同級生を皆殺しにする映画じゃなく、こういう映画を観て子供時代を過ごして欲しいなと、心の底から思います。