★デイ・アフター・トゥモロー★

 「インデペンデンス・デイ」を大ヒットさせた監督さんの作品。ということは、判りやすいアメリカンな映画に、最新のSFX技術を加えて完成させた作品に仕上がっているわけですね?という予想は大当たりです。
 インデペンデンスよりはグ〜ンとバージョンアッフしていまして、前回は宇宙人による地球侵略だったのが、今回は地球温暖化がテーマです。凄い進歩でしょ。前回はスーパーマン並みの若き行動派大統領が自ら戦闘機に乗り、宇宙人から地球を護り、拍手喝采されちゃいましたが、今回はそんなスーパーマンは、正直いって出てきます。
 出て来ますが、若くてカッコいい大統領ではないところがポイントですね。今度は若くないお父さんがスーパーマンの役をやってます。戦闘機のオイルすら凍る外気なのに、普通の防寒服でも無事なのです。マンハッタンのビルですら一瞬で凍り付くのに、お父さんの防寒服は凍り付いたりしないのです。スーパーマンに匹敵する強さです。ミラクルです。
 地球温暖化を甘くみていた先進国の指導者たちに、大自然が下した警告と罰ともいえる自然災害。相手が自然なら、どんな物を壊しても非難されることはありません。ゴジラでもそうですが、こんな時に真っ先に狙われるのは有名な建造物です。LAではハリウッドの看板がトルネードによって木っ端微塵に砕かれてしまいました。大津波に呑み込まれたNYではもちろん、自由の女神が格好のターゲットになるは「猿の惑星」以降のお約束。
 津波がどんどん大きくなっていく様子は、SFXだとわかっていても酔いそうになるくらいリアル。この様子を実際に見たら確実に命は無いだろうから、現実に見て感想を述べることはないでありましょう。よって、本当かどうかは置いといて、現代の技術によって私たちは、あり得ない場面(あり得た時には既に目に出来ないはず)を疑似体験出来るわけです。
 津波って、ああいうふうに、徐々に高さを増してくるんだ〜。海の壁が、ビルの向こうから押し寄せて来るってわけね。
 いろんなエピソードをばらまいていて、それをちゃんと活かして物語りにしている、正当法な作り方。途中で、逃げたオオカミが後で襲ってくるとかね。ベタなエピソードだけど、忘れずに使っているところを評価するわ。邦画じゃ、オオカミが逃げるシーンだけ入れて、それっきりオオカミは姿を見せないまま終わっちゃうからね。それを思ったらオオカミ逃走がちゃんと伏線になってるだけ上出来よ。
 一瞬のうちに全てが凍り付いても、主人公と仲間だけは絶対に凍らない。危機一髪で絶対に助かる。でも初老男性の貴い犠牲は必ずある。黒人と動物は死なない。絶望的な場面になるが、どういうわけか自然災害が止んでしまう。凍り付いたNYに生存者が!壊滅した世界に希望の光。また再生しよう、星条旗の下で、大統領と共に。
 嗚呼、変わってないねぇぇぇ、嬉しくなっちゃうじゃないか。「インデペンデンス・デイ」を見たときの感動が、まんま蘇ったよ。
 作品中に登場した東京が、全く東京とは違った都市だったこととか、そこにいた日本人(らしい)サラリーマンの言葉にヘンな中国語訛りがあったことは気づかなかったことにしよう。
 余談ながら、作品中の気象データによると、オーストラリアはどうやら無事ではいかと思われます。



★トロイ★

 ブラット・ピットとオーランド・ブルームの豪華共演。そんな宣伝文句に釣られて見る方、きっとたくさんいると思います。しかし、二人の接点はラストにしかなくて、ブラピ演ずるアキレスのライバルは、オーランド演じるパリスの兄ちゃんであります。兄ちゃん、顔が地味すぎて名前を覚えてません!
 物語は「トロイの木馬」なんですが、トロイの木馬のハナシを、ギャル達は知りませんでした。少なくとも、職場のうら若きギャルは誰もしらない。ワタシはどうして知っているんだろう??そんな疑問が生じるくらい、あまりにも知られていない歴史のひとコマらしい。
 オーランド・ブルームことオーリーに釣られて見たギャル諸君。これがトロイの木馬伝説だよ。しかし、オーリーの役のパリスって、あまりにも情けないというか、バカ男というか、チャラ男というかダメ男というか。もう、知ってる限りの非難系形容詞を全て使い切りたいくらいのキャラなのだわ。事件の元凶。「バカな子持つと火事より怖い」という昔からの言い伝えの、「バカな子」そのものでした。立派な兄ちゃんが死んで、バカな弟が生き残ってしまったのは、やっぱり顔が綺麗だからかしら。
 オーリーはパリスのバカさ加減が、ムカつくくらいよく出てました。しかし、矢を射る姿勢がロード・オブ・ザ・リングのレゴラスまんま。一瞬、ロード〜を見てるのか?錯覚しそうになったわよ。しかも、トロイは城壁に囲まれた要塞都市なもんだから、まるでミナスティリス。後半は「LOTR王の帰還」を見ているようだったわ。
 ブラピ演じるアキレスは、これまた有名な「アキレスの踵」と形容されるくらいの有名人。ギャル達が知っているかは別として、踵を射抜かれて死んじゃうのよね、という結末があまりにも有名なため、最初からネタバレ大あり。じゃ、見所はなんなのさ!ってわけですが、そーですねーーー。戦うときのポーズが美しいことでしょうか。
 ブラピ様は、冷たい表情だとカッコいいんですが、悲しそうな顔になるとサル顔になっちゃうんですねぇ。そうなると、美形好きな私としては別の意味で悲しくなっちまうわけです。
 ライバルの地味系兄ちゃん。役は超オイシイのですが、容姿があまりおいしくなかった。ゴメンよ。でもワタシって容姿第一なの。地味顔に感情移入が出来ない人種なのよ、許してね。ついでに、アキレスの従兄も実にオイシイ役ですが、やっぱり顔が・・・。ワタシ、この役が若き日のエドワード・ファーロング並みの美形、もしくはヘイディン・クリステンセン並みだったら萌えに萌えましたね。煩悩の炎で、アキレスより早くに兄ちゃんを焼き尽くしていたかもですわ。
 全体的にはよく出来た歴史スペクタクル娯楽映画です。今から3500年前のお話ですよ。そんな頃から戦争だけはなくならず、延々と続いているわけです。それを考えると凄いというか、なんというか。人間の本能って、食欲・種の保存の他に戦いの本能もあるんじゃないか?と思えるくらい、争いは絶え間ないっすわ。
 で、ワタシ的なこの映画最大の見所はですね、冒頭に朝寝坊しているアキレスを起こしに来る少年!!!!彼ですね、もう彼しかいません。あどけなさと美しさを兼ね備えた男の子。やっぱり少年かよぉぉーと自分に軽くツッコミを入れながらも、やっぱ彼ですわ。アキレスを起こしに来た少年に、オバサンしっかり目が覚めてしまいましたわさ〜〜。